5 / 31
第壱譚
0005:脱出
しおりを挟む
「……これ、本当に大丈夫なのですか、ツクヨミさん⁉」
「な、なんとかなるさー!(汗)」
どうも、夜遅くに木登りをしている灰かぶりです。
魔法使いツクヨミさんが言うには、急いでこのお屋敷から出ないといけないとのことで、必死に出口を探している途中なのですが、全然外に出られません。
当のツクヨミさんは、お手上げ状態で、ヘロヘロしてばかりです。
――私の自由なひとときを返してください、神様ーー。(泣)
【回想 始】
「灰かぶり姫、今すぐここから脱出するよ‼」
「お、落ち着いてください、ツクヨミさん。(汗)」
私は、縄で椅子にくくりつけられたまま動こうとしているツクヨミさんを必死で宥めました。
「……正直な話、君を閉じ込める結界のせいで出られない可能性もあるんだ!(焦)」
「け、結界⁉(汗)」
「そう。……対象者(灰かぶり姫)に疑問や矛盾を与えない、最上級の結界がこのお屋敷に張られているんだよ。……質問だけど、灰かぶり姫が生きてきた中で、門の外まで出たことってあるの?」
「……無いですわ。(シュン)」
「そうだよねー。お庭には出れても道路には一歩たりとも出たこと無いよね?」
「ぐぬぬっ、……仰る通りです。」
私はツクヨミさんの言う事実に強く打ちひしがれました。
……思い返してみれば、私の今までの世界はお屋敷の中だけで、外の世界を見たことは一度もなかったのです。
つきつけられた現実に納得すると同時に、私は、これまで外に出たいという気持ちさえ起らなかったことに、はたと気がつきました。
むしろお家が大好きで、『ずっと死ぬまで引きこもりたいー!』と、本気で思っていたほどです。
「気づかないのも無理はないよ。それが、結界なんだから。」
シュパパッと椅子と胴体を縛っていた縄をほどき、ツクヨミさんは立ち上がりました。
「目隠ししたままでも僕視えるから、さあ、行こうか。」
……目隠しも外してください。
【回想 終】
「ツクヨミさーーん! てっぺんまで登りましたよー!」
「了解ー! じゃあ灰かぶり姫、外に向かってジャンプだ‼」
「……それ本気で仰っているのですか⁉」
「本気本気ー。大丈夫だよー、落ちる前に受け止めるから!」
「……死んだら許しませんからね‼」
私は目を瞑り、しなる大木から大きくジャンプしました。
ビュンッ!
ビリビリビリーー‼
キシャーーーーーー‼
「へぶし‼」
案の定、私は、謎の目に見えない壁にぶち当たりました。電気ショックのような痛みを浴びて、重力のおもむくままに下へ下へと落下していきます。
――会ったことないけど、お父さん(?)、お母さん(?)、今までありがとう。私は星になります。
ドサッ
「いやいや、星になられたら僕お師匠様に殺されちゃうよー。(笑)」
…………どうやらツクヨミさんが受け止めてくれたらしいですね。……何故でしょう。癪に障って仕方がありません。
「お姫様抱っこ、嬉しい?(♪)」
「早く降ろしてしてください、ツクヨミさん!(怒)」
私は素早くツクヨミさんから飛び降りました。
「正門からも駄目、裏口からも駄目、じゃあ、お空ならいいかなって思ったけどそれも駄目、いやはや、お手上げだねー。(困り眉)」
「ツクヨミさん、もっと考えてください‼」
「……でもさ、これ以上いいアイデアが思い浮かばないんだよー。どうすればお外に出られるのかな?(困り眉)」
「……ツクヨミさんの魔法(?)で、なんとかならないのですか?」
「僕も出来るならしたいんだけどね、……生憎、バトルが専門だからさ、結界を解くことは難し過ぎてできないんだ。(泣)」
「な、泣かないでください、ツクヨミさん。……こんな、目に見えない壁は切り捨ててしまえばいいのです‼」
私は、はらはらと涙を流すツクヨミさんの横で、常時腰にぶら下げている愛刀『霧雨』を鞘から抜き、見えない壁へ向かって大きく振りかぶりました。
ブンッ
カッ…………パリンッ!
すると、何かが割れる音が辺り一面に広がったのです!
「…………結界が、割れてる。(驚)」
見えない壁を凝視していたツクヨミさんは、私に向き直って一言、言いました。
「……灰かぶり姫は、お師匠様よりも強いかもしれない。(真顔)」
「御冗談は後にして、早く外へ出ましょうよ‼」
「……本気なんだけどな。(困り眉)」
――井の中の蛙だった灰かぶり姫は、未知の世界へと歩み出す!――
「な、なんとかなるさー!(汗)」
どうも、夜遅くに木登りをしている灰かぶりです。
魔法使いツクヨミさんが言うには、急いでこのお屋敷から出ないといけないとのことで、必死に出口を探している途中なのですが、全然外に出られません。
当のツクヨミさんは、お手上げ状態で、ヘロヘロしてばかりです。
――私の自由なひとときを返してください、神様ーー。(泣)
【回想 始】
「灰かぶり姫、今すぐここから脱出するよ‼」
「お、落ち着いてください、ツクヨミさん。(汗)」
私は、縄で椅子にくくりつけられたまま動こうとしているツクヨミさんを必死で宥めました。
「……正直な話、君を閉じ込める結界のせいで出られない可能性もあるんだ!(焦)」
「け、結界⁉(汗)」
「そう。……対象者(灰かぶり姫)に疑問や矛盾を与えない、最上級の結界がこのお屋敷に張られているんだよ。……質問だけど、灰かぶり姫が生きてきた中で、門の外まで出たことってあるの?」
「……無いですわ。(シュン)」
「そうだよねー。お庭には出れても道路には一歩たりとも出たこと無いよね?」
「ぐぬぬっ、……仰る通りです。」
私はツクヨミさんの言う事実に強く打ちひしがれました。
……思い返してみれば、私の今までの世界はお屋敷の中だけで、外の世界を見たことは一度もなかったのです。
つきつけられた現実に納得すると同時に、私は、これまで外に出たいという気持ちさえ起らなかったことに、はたと気がつきました。
むしろお家が大好きで、『ずっと死ぬまで引きこもりたいー!』と、本気で思っていたほどです。
「気づかないのも無理はないよ。それが、結界なんだから。」
シュパパッと椅子と胴体を縛っていた縄をほどき、ツクヨミさんは立ち上がりました。
「目隠ししたままでも僕視えるから、さあ、行こうか。」
……目隠しも外してください。
【回想 終】
「ツクヨミさーーん! てっぺんまで登りましたよー!」
「了解ー! じゃあ灰かぶり姫、外に向かってジャンプだ‼」
「……それ本気で仰っているのですか⁉」
「本気本気ー。大丈夫だよー、落ちる前に受け止めるから!」
「……死んだら許しませんからね‼」
私は目を瞑り、しなる大木から大きくジャンプしました。
ビュンッ!
ビリビリビリーー‼
キシャーーーーーー‼
「へぶし‼」
案の定、私は、謎の目に見えない壁にぶち当たりました。電気ショックのような痛みを浴びて、重力のおもむくままに下へ下へと落下していきます。
――会ったことないけど、お父さん(?)、お母さん(?)、今までありがとう。私は星になります。
ドサッ
「いやいや、星になられたら僕お師匠様に殺されちゃうよー。(笑)」
…………どうやらツクヨミさんが受け止めてくれたらしいですね。……何故でしょう。癪に障って仕方がありません。
「お姫様抱っこ、嬉しい?(♪)」
「早く降ろしてしてください、ツクヨミさん!(怒)」
私は素早くツクヨミさんから飛び降りました。
「正門からも駄目、裏口からも駄目、じゃあ、お空ならいいかなって思ったけどそれも駄目、いやはや、お手上げだねー。(困り眉)」
「ツクヨミさん、もっと考えてください‼」
「……でもさ、これ以上いいアイデアが思い浮かばないんだよー。どうすればお外に出られるのかな?(困り眉)」
「……ツクヨミさんの魔法(?)で、なんとかならないのですか?」
「僕も出来るならしたいんだけどね、……生憎、バトルが専門だからさ、結界を解くことは難し過ぎてできないんだ。(泣)」
「な、泣かないでください、ツクヨミさん。……こんな、目に見えない壁は切り捨ててしまえばいいのです‼」
私は、はらはらと涙を流すツクヨミさんの横で、常時腰にぶら下げている愛刀『霧雨』を鞘から抜き、見えない壁へ向かって大きく振りかぶりました。
ブンッ
カッ…………パリンッ!
すると、何かが割れる音が辺り一面に広がったのです!
「…………結界が、割れてる。(驚)」
見えない壁を凝視していたツクヨミさんは、私に向き直って一言、言いました。
「……灰かぶり姫は、お師匠様よりも強いかもしれない。(真顔)」
「御冗談は後にして、早く外へ出ましょうよ‼」
「……本気なんだけどな。(困り眉)」
――井の中の蛙だった灰かぶり姫は、未知の世界へと歩み出す!――
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
【R18】エリートビジネスマンの裏の顔
白波瀬 綾音
恋愛
御社のエース、危険人物すぎます───。
私、高瀬緋莉(27)は、思いを寄せていた業界最大手の同業他社勤務のエリート営業マン檜垣瑤太(30)に執着され、軟禁されてしまう。
同じチームの後輩、石橋蓮(25)が異変に気付くが……
この生活に果たして救いはあるのか。
※サムネにAI生成画像を使用しています
【R18】スパダリ幼馴染みは溺愛ストーカー
湊未来
恋愛
大学生の安城美咲には忘れたい人がいる………
年の離れた幼馴染みと三年ぶりに再会して回り出す恋心。
果たして美咲は過保護なスパダリ幼馴染みの魔の手から逃げる事が出来るのか?
それとも囚われてしまうのか?
二人の切なくて甘いジレジレの恋…始まり始まり………
R18の話にはタグを付けます。
2020.7.9
話の内容から読者様の受け取り方によりハッピーエンドにならない可能性が出て参りましたのでタグを変更致します。
腐女子な女兵士がボロボロな少女を助けたら…。
星 佑紀
恋愛
『班長、本日をもって、私エリン・マラスカスは除隊致します!』
トルネード王国のとあるカルスト台地にて、軍事演習に参加していた救護班所属兵士エリン・マラスカス(隠れ腐女子)は、とある草むらで横たわっている少女を発見する。エリンは、すぐさま上司に報告するが、上司は、既に被爆した少女がもう助からないと告げ、少女に対してサーベルを振り下ろす。サーベルで切られる寸前だった少女を庇って負傷したエリンは、除隊を申し出て、少女を背負って部隊から外れることになった。しかし、エリンが助けた少女は、指名手配されていた、とある王族のお方で……。
『皆に、エリンが腐女子ってこと黙っておいてあげるから、……わかるよね?(真顔)』
『な、なんでそうなるの〜⁉︎』
※関連作品
『親友に裏切られて国外追放された悪役令嬢は、聖女になって返り咲く』
マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました
東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。
攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる!
そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。
何故か地雷を踏んでしまうモブの受難
星 佑紀
恋愛
僕、ロイド・フォルセットには、とある悩みがある。それは――。
「れ、レイン様、おやめください‼」
「カリン、もう私は待てないのだ!」
「レイン様、……好き。(赤面)」
「カリン――!」
――いつも、男女がイチャイチャしている場面に出くわしてしまうことだ。(困惑)
――世界を旅するモブの、色んな意味での冒険が、今始まる!――
「いや、始まらなくていいから!(激おこ)」
【実話】高1の夏休み、海の家のアルバイトはイケメンパラダイスでした☆
Rua*°
恋愛
高校1年の夏休みに、友達の彼氏の紹介で、海の家でアルバイトをすることになった筆者の実話体験談を、当時の日記を見返しながら事細かに綴っています。
高校生活では、『特別進学コースの選抜クラス』で、毎日勉強の日々で、クラスにイケメンもひとりもいない状態。ハイスペックイケメン好きの私は、これではモチベーションを保てなかった。
つまらなすぎる毎日から脱却を図り、部活動ではバスケ部マネージャーになってみたが、意地悪な先輩と反りが合わず、夏休み前に退部することに。
夏休みこそは、楽しく、イケメンに囲まれた、充実した高校生ライフを送ろう!そう誓った筆者は、海の家でバイトをする事に。
そこには女子は私1人。逆ハーレム状態。高校のミスターコンテスト優勝者のイケメンくんや、サーフ雑誌に載ってるイケメンくん、中学時代の憧れの男子と過ごしたひと夏の思い出を綴ります…。
バスケ部時代のお話はコチラ⬇
◇【実話】高1バスケ部マネ時代、個性的イケメンキャプテンにストーキングされたり集団で囲まれたり色々あったけどやっぱり退部を選択しました◇
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる