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第2章

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「「いってきます!」」

「はいよー、気をつけていくんだよー。
あ!ミクロ、きちんと手袋つけなさい!
フィラもマフラー巻いて!」

「「はぁい。」」

手袋に耳まで隠れる帽子に首元にぐるぐる巻きにしたマフラー。
寒くないように着込ませているから若干着膨れしている双子。

いつにも増してころころしたフォルムになっている気がしないでもないがかわいいからよし。

元気に教室へ駆け出して行った双子を見送って、俺はお菓子の詰め合わせを持ってエルヴィスさんのところへ。

薬屋の中へ入ればお客さんはいなかった。

「エルヴィスさん、手伝いに来ました~。」

「ユーリさんいらっしゃい。」

エルヴィスさんはちょうど薬の調合をしていた。
チェルロさんはいつものごとく薬の材料の調達に行っているようだ。

「これ、双子と俺の看病をしてもらったお礼です。」

「当たりまえのことをしただけですけれどユーリさんのお菓子をもらえるのはありがたいですねぇ。

待っててください、今何か淹れますから。」

かごに詰め込んだお菓子を渡せば、嬉しそうに受け取ってくれた。
数分経ち、エルヴィスさんが淹れてくれたのはあったかいミルクティー。

紅茶党のエルヴィスさんらしいチョイスだ。

「アトラ熱はいつ治まりますかね。」

「私の見立てではもう少しかかりそうですね。
でも峠は越えたと思いますよ。」

エルヴィスさんは喋りながらも魔法のように薬包をどんどん生産していく。
俺が1個作っている間にエルヴィスさんは3個作っている。



カランカラン……


「お客さんが来ましたね。」

店に出ればいつぞやのげっそりした人がいた。
なんか前にも増して幽鬼っぽ……げふんげふん。

「前に出してもらった薬とポプリをもらえないだろうか?」

なんでも前に渡した生薬とポプリは効いたらしいのだが仕事に忙殺されて薬が切れてもここに来れず、前に使っていた強い胃薬で間を繋いでいたそうだ。

「……少々お待ちください。
今用意しますね。」

前のように容姿を変えたエルヴィスさんが生薬を調合するために裏へ引っ込んだ。

「……失礼ですが、きちんとごはんは食べていらっしゃいますか?」

「あ、あぁ……そうだな……最後にきちんとしたものを食べたのは……1週間ほど前だったかな……。」

うん、これはいけない。

「ちょっと待っていてくださいね。」

昨日作りすぎたものの中から適当に見繕う。
温かいものを中心に。

いくら疲れていても、しんどくても、温かい食べ物はどこか身体をほっとさせてくれるものだ。


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