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第1章
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しおりを挟む「ユーリさんはこちらとこちらどちらが好みですか?」
「このウォルナットの方が素敵だな、と思いますけど……?」
「このセットで。
ベッドは一番大きいものを。
テーブルは丸い方で。
後は……。」
俺からの返答を聞くや否やエルヴィスさんが店員さんに買い付ける。
「エルヴィスさん!?」
俺がいいな、と言った方をエルヴィスさんは豪快にまさかのセットで買った。
「エルヴィスさんが好きなものを買いましょうよ!
そんな俺の好みじゃなくて!」
「私がいいなと思ったものからユーリさんに選んでもらったので私の好みでもありますから大丈夫ですよ。」
「……そうですか?」
一旦納得はしたのだが、その後もエルヴィスさんは俺になぜか好みを聞いてそれはもう気持ちよく買い物をして行った。
「良いものを買えました。
ユーリさん、ありがとうございます。」
ホクホクした顔をしているエルヴィスさんに、なんだか別の世界を垣間見た気がした。
その後もエルヴィスさんは細々したものも買って行った。
エルヴィスさんもなんとアイテムボックスを持っていた。
エルヴィスさんは右手の中指につけている金色の指輪がそれになっているらしい。
なぜれば空間が歪んで、切れ目ができ、そこにエルヴィスさんは買ったものをどんどん入れていく。
俺のとは違うその仕様に少しドキドキした。
エルヴィスさんはアイテムボックスの存在を隠すつもりはないみたいだ。
というよりも強そうだし、隠す必要もないのかもしれない。
「そうだユーリさん、ここから私のコップを選んでもらえませんか?」
目の前にはいろんな形、いろんな色のコップが棚一面に並んでいた。
「……俺が選ぶんですか?」
「えぇ、みんなの分のコップを買いたいと思いまして。
双子ちゃんたちが薬屋に来たときに飲み物を出せないと困りますし。
それで私のコップはユーリさん選んでもらいたいなと。」
俺がエルヴィスさんのコップと双子たちのコップ、エルヴィスさんは俺とチェルロさんのコップを選ぶことになった。
「あ、ミクロとフィラはこれだな。」
まるで2人のために作られたようなコップにひと目でこれだと思った。
飲み口の方は赤で下にいくにつれて白になっていくコップ。
少し小ぶりなのも2人が持ちやすそうでいい。
どのコップにもお金を払えば名前を印字してもらえるようだから2人の名前を入れてもらおう。
双子の分はすんなりと決まったのだが、難しかったのはエルヴィスさんのコップ。
紅茶が好きそうだったからティーカップにしようかな。
種類を絞ってもティーカップだけで数十種類もあってまた悩む。
どうしようかなぁ……。
ウロウロしていたら奥の方にあるひとつのテーカップが視界に入ってきた。
白地に金色の蔦が巻かれているデザイン。
優雅で、その金色がエルヴィスさんの瞳のようで惹かれた。
これにしよう。
エルヴィスさんが俺に選んでくれたのはまっくろなマグカップ。
艶やかなその黒な滑らかで使いやすそう。
「なんで黒なんですか?」
「シンプルで良いでしょう?」
「そうですね。
使いやすそうです。」
チェルロさんには真紅のコーヒーカップだった。
なんで?って聞いたら、見た目が赤いから、だそう。
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