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第1章
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しおりを挟む「いい?オランジは皮がツヤツヤしていて、色が濃い物を選ぶんだ。
そしてゴリンもツヤツヤしていて、赤いものを選ぶ。
よし、じゃあ、選んでみよっか。
それで明日のおやつを作ろう。
そうだなあ、とりあえず3つずつよろしくね。」
いつもお世話になっている果物屋さんに協力してもらって、ふたりに食材選びの勉強をさせる。
美味しいものを作るには美味しい食材を選ぶ目を育てなきゃだめだ。
ふたりは
「フィラ、これは?ツヤツヤ!」
「……こっちの方が色はきれいだよ?」
「「うーん。」」
ああでもない、こうでもないと話し合いする姿が和む。
果物屋さんの店主も微笑ましく見てくれている。
悩みに悩んで決めたオレンジとりんごを店主に渡してもらって、俺はふたりにあらかじめ用意していた小さな袋を2つ渡した。
「ミクロはオランジの会計をよろしくね。
フィラはゴリンの会計ね。」
ふたりは緊張した面持ちで小袋を受け取った。
「オランジは3つで594イェンだよ。
ゴリンは669イェンね。」
ふたりはゴソゴソと小袋からお金を出す。
ミクロもフィラもピッタリ出すか、細かいお釣りをもらうかと思っていたがまさかの端数を出してキリよくお釣りをもらっていた。
このふたりまだ5歳なのに……。
もしかしたら天才なのか!?
褒めるだけ褒めて、店主にお礼を言い、買った果物は俺の鞄に入れて、次の目的地に向かった。
そう、なんと貴族街。
貴族街に入るにはタグを衛兵に見せなきゃいけない。
なんでも犯罪歴などをチェックしているんだとか。
でもそれだけで一般市民も入ることができる。
初めて入るだろうふたりは少し不安なのか俺の手をさらにギュッと握ってきた。
「さぁここだ。」
貴族街まで来たのはここに来るため。
子どもはみんなだいすき(なはず!)おもちゃ屋さん!
「すきなおもちゃをひとつ買ってあげよう。
2人が俺の元に来てくれた記念にね。」
「でも……。」
「……ここ、高い……。」
「そう、安いものじゃない。
だから今日買ったものは大事にしてくれ。
それとこの後、俺の行きたいところに付き合ってもらうよ。」
そういえばふたりは嬉しそうに店内を物色し始めた。
うんうん、子どもは子どもらしく!
嫌でも大人になるんだから急いで大人にならなくていい。
楽しそうに歩くふたりを出入り口付近の邪魔にならないところで見守る。
「……双子ちゃんかわいいですね。
お兄さんのご親戚ですかぁ?」
見守っていれば、10代後半くらいの女性が話しかけて来た。
「私も妹の付き添いで来たんですぅ。」
「そうですか……。」
うーん日本にいたときからだけれど、妙に絡まれやすいんだよな……。
カモにできそうな雰囲気でも出てんのかな……?
そんな考えごとをしていれば女性の話が右から左に流れてしまっていて両手にぬくもりが。
「ん?どうした?」
「「一緒に見る。」」
「そ、そう……?
じゃあ一緒に回ろうか。
すみません弟たちもこう言ってくれているので失礼。」
ふぅ、2人のおかげで抜け出せた。
考えごとしていたから何話していあのか途中から聞いていなかったから返事できる自信なかったし。
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