愛が歪んでいく

壱婁

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幼少期

夜の留守番

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母が手が空いた時や、祖母がたまに迎えに来てくれて一旦お家に帰るが用事などでだいちゃんと2人きりになることが多い。

「ね~♪だい」
「ワァフッ」

まだ夕方明るめの時はそんなに怖くない。玄関の日本人形だって悪さしないし、仏間のタンスの上にいる大量の人形の目だって光らない。

そして、故人なひぃばあちゃんが割と近くで面倒みてくれているからだ。物心ついた時には生まれるはずだったお兄ちゃんが見え、知らない目玉達もいっぱい見えていた。

「とうさんまだかな~?」

今日も泥だらけになりながら働いているであろう父を待ちながら玄関で足をパタパタさせながら待つ。




「6じのチャイムだ。おじゃ○のじかん!!」
この地域は6時にチャイムがなるので、時計が分からない代わりとして覚えている。その時間になると子供番組が1時間続けて放映されるのでテレビを観て気を紛らわすことにしているだ。

「だい~テレビおわった。おなかすいた」
「ワフゥ」

父が帰ってくるのは8時頃、おばあちゃんが帰ってくるのは9時。父は鳶職なので現場によってはかなり遠い場合もある。だから、どちらが早く帰ってくるか待ち遠しかった。


ガンガンガンガッ
「~!?」

玄関のドアを叩く音がする。大輔に抱きつきながら外に目をやると大きい大人の影がある。
知らない大人。ここ最近ニュースでやってたドアを開けたら殺す殺人犯かもしれないと小さい子供ながら恐怖でいっぱいだ。他の知らない場所で同じくらいの子がドアを開けたら殺されたのを聞いていたので尚更恐怖しかない。

   
「グルルルルルッ」

だいちゃんが玄関に向かって威嚇している。

「○○新聞です。居るのは明かりでわかってるんです。居留守なんてやめて出てきてください」


知らない大人。しかも男の人だ。男の先生はいつも叩くし怒鳴る。男というものはそうなのだろう。意思が制御出来ないというのをテレビでしてた。開けたら殺されてしまうだろう。


ドンドンドンドンッ


ドアを乱暴に叩き続け、やがて諦めて去っていったらしい。あんな怖い記憶たぶん一生忘れられないのだろうと大輔を抱きしめながら思う。
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