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憩いの場~新たな出会い~
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ボクは目覚まし時計を恨んだ。何でこんな時に限って電池が切れてるんだ!
・・・と言いたかったんだけど、母親に聞いたところどうやら目覚ましは10時過ぎに鳴っていたらしい。目覚まし時計よ、恨んでごめんな。
と、そんなこと思っている間にも時間は進んでいる。今は・・・11時半。
とにかく吉永に電話だ。急いでるときはメールより電話だ。
・・・・・・
・・・・・・
「ん、もしもし・・・」
なにやら聞き取りにくい声。これは・・・寝ぼけているのか。
まさかとは思うが。
「吉永、もしかして今起きた?」
「うん・・・って今何時!?」
何かおかしいとは思っていた。11時過ぎてたのに連絡ひとつ入っていなかったこと。彼の性格なら、何かあったのかとメールをいれるはずだと。
「そっか、吉永も寝坊したのか」
「ご、ごめん!って吉永も?ってことは二階堂君も・・・」
「・・・1時に集合しよう」
墓穴を掘った。あっちも遅刻してるならわざわざ吉永「も」なんて言わなきゃ良かった。てなわけで、話を流しつつボクは電話を切った。
皆が思う喫茶店のイメージはなんだろう。ちなみにボクは、髭を生やしたマスターが淹れた500円位のコーヒー。そして30~50代のサラリーマンが通うイメージ。
僕みたいな若造たちは、ファミレスとかファーストフードに走ってしまう。もちろんご飯を食べるために来てるんだけど、ご飯を食べながらのおしゃべりがメインとなる。後半に至っては、ドリンクバーでどれだけ粘れるかが勝負となる。
・・・そうこうしているうちに家を出る時間だ。
集合の10分前に着いた。吉永はいない。
「ごめん~!!待った~?」
お前は、ボクをドキッとさせるな。付き合いたてのカップルみたいになってるじゃねぇか。・・・とは口に出さず、心の中だけで呟いた。
「いや、全然待ってないよ」
ボクもボクで、勘違いさせるような言い方をしてしまった。だってホント待ってないんだもん。ただ、この言葉を言いたかったのは確かだ・・・女の子に。
カランコロンカラン
なんとも懐かしい雰囲気を醸し出すドアの音。
レインボーロック。パリの街並みを想像させるレトロな外装。
中はカウンター席が10席ほど、あとテーブルが2席。こじんまりとしていてボクはこの感じ、嫌いじゃない。
「いらっしゃいませ~!・・・あ!二階堂君と吉永君!」
元気な声が聞こえてきた。他のお客様だったらきっとすぐ「連絡先教えてください!」とか言うんだろうが残念だったな諸君たちよ、ボクはもうアドレス持ってるんだよ。羨ましいだろ。
「もう少しで落ち着くから、なんか飲みながら待ってて!何飲む?」
「僕はコーヒー、二階堂君は?」
「僕はオレンジジュース」
「かしこまりました」
そう言って彼女はキッチンへと入って行った。
「働く女ってなんか良いよね~」
「二階堂君、何言ってんの?それまたちょっと違う気が・・・」
「何が違うんだよ!!」
「いや、それは高校生に対して言う言葉じゃ・・・」
「何話してるの~?はい、コーヒーとオレンジジュース」
おっと岩崎カットイン。これはあまりご本人には聞かれたくないお話だ。
「い、いやこっちの話。もう大丈夫なの~?」
「うん、もう大丈夫だからってお母さんが。」
3人が集まった。心なしか、岩崎さん片づけを早く終わらせてくれてた気がする・・・気がするだけか。
「あのさ~今度どっか遊び行こっか!」
いきなりその話題!?岩崎さん、積極的な人なのか!
「んん~エジプトとか!」
「なんでいきなり外国なんだよ!岩崎さんが言ってたのはそんな規模じゃないだろ!・・・てか何でエジプト?」
「あ!いいね~!私スフィンクス見てみたかったの!」
「そこで岩崎さんも乗らないで!!!」
ボクは高校で2人の友達に出会った。「吉永智春」と「岩崎那智」だ。今まで生きてきてこんな個性的な人と出逢ったのは初めてかもしれない。
「ごめんごめん、せめて国内にしよっか」
「せめてうちの市内でお願いします!」
ボクは思った。ボクが制御役にならないと二人は暴走しまくる。でもこんな毎日も楽しいのかもしれない。
「ねぇ!男子ってショッピングって興味あるの?」
「ショッピングって買い物のことだよね~?」
吉永よ、俺はツッコまないぞ。
「まぁ、ボクは何かを見て回るってのは嫌いじゃないよ。電気屋さんとかはよく寄るし」
「ホント!?じゃデパート行こうよ!いろいろ回れるし!」
ちなみにだけど、男って買い物って結構好きなんだよ。おしゃべりだって大好きなんだよ。スイーツだって大好きだよ。女子より女子っぽい男の子結構いるんだよ。・・・少し話はズレたが、デパート巡りめっちゃ楽しみ。
「じゃあいつ行く?私来週は家族と出かけるからそれ以降がいいな~」
「僕も来週はバイト入ってるから・・・」
二人は来週は予定入ってるのか。じゃ、ボクも来週はシフト入れてもらおっと。
「じゃ再来週の土曜日!!」
ボクがそう言うと
「大丈夫!」
二人の同意が得られた。初めて三人で遊ぶ日が決まった。大袈裟かもしれないが、ボクにとってこの日は記念日になるだろう。それまではアルバイトに勤しもう。
ボクのアルバイト先は、家の近くのファミレス。昔からよく通っていて店長とも顔見知り。その店長にアルバイトしたいと話した所、快く了承してくれた。コネの力恐るべし。
そこまで大きなお店ではないため、僕以外では店長含め8人のスタッフで営業している。平日は基本3人。休日は5人でお店を回している。
店長は40代のダンディーなおじさん。おおらかでとっても優しい。丁寧に仕事を教えてくれるのですぐに覚えることができた。
ほかのスタッフもやさしい人ばかりだ。その中でも1人、ボクとほぼ同時に入った子がいる。名前は「#小島泉水_こじまいずみ_#」
いつもテンションmaxで、天真爛漫という言葉がお似合いな女の子。仕事は真面目で始めて一ヶ月も経っていないが、お客さんからもかなり評判が良いらしい。きっとこの元気な感じが好印象なんだろう。
そんな彼女と今日は、休憩時間がかぶった。
「そういや小島さんって高校どこ?まさか猿ヶ丘?」
「違うよ~アタシは孔雀院だよ!で、学校から近かったからバイトここにしたの!」
「孔雀院!?あそこめっちゃ頭良いところじゃん!ボクもそこにしようと思ってたけど、見事前期で落ちて滑り止めで猿ヶ丘に行ったんだよね~」
「あたし凄く勉強したもん!!あんなに勉強することもう二度とないと思う!ってか真一郎くん猿ヶ丘なの!?じゃ、岩崎那智知ってる?」
「知ってるよ!同じクラスだよ!でも何で岩崎さんの名前を?」
「何でって那智と私、小中同じ学校だったもん!」
・・・マジか。世の中狭いもんです。
「そっか~那智と同じクラスなんだぁ。那智って結構寂しがり屋さんだから、・・・仲良くしてやってね?」
あの一瞬の間はなんだろう。「仲良くしてやってね」何か引っかかる。何といわれたらよく分からないんだけどこの小島さんのお願いは絶対守らなければと思った。
バイトが終わり家に帰り、布団の中でボクは考え事をしていた。
あの小島さんの言葉だ。
「仲良くしてやってね」決して不思議な言葉ではない。少しおせっかいな友達が言ったりすることもあるだろう。
でもあの心にドシッとくる感じは何だったのだろう。昔何かあったのか?そんなこと本人に聞けるわけがない。小島さんに聞くのも気が引ける。
いや、考えすぎかもしれない。気のせいだろう・・・
学校だったりアルバイトだったり毎日楽しくてあっという間に時が過ぎ、気が付けば約束の日
10時にレインボーロックに待ち合わせ。
ボクは・・・8時に起きた。今回こそは寝坊せずに済んだ。「二度あることは3度ある」ではない。「3度目の正直」だ。
ボクは普段出かけるときはいつもジャージだ。だがさすがに今回ジャージで出かけるわけにはいくまい。しかしそれと言って、おしゃれに気を使ったことがないボクなので何着ていくかかなり迷う。人生で3本の指に入るくらい迷う。
結局、家にあった革ジャンを着ていった。これは目立つに違いない!
集合時間の10分ほど前に着いた。そこには1人の男が立っていた。・・・僕より目立つやつが。
シルクハットをかぶり、サングラスをかけている。ズボンは花柄の半ズボン。靴は革靴。ボクはあんな奴知らない・・・はず。
「お~い!二階堂君!早く早く~!」
「ボクはあなたみたいな変人は知りません」
「ちょっと!僕だよ~!吉永だよ!」
やっぱ吉永だったか。いや分かってたんだけどさぁ、知りたくなかったというか。てかいろいろ突っ込みたいが、まずそのズボンはハワイでしか見たこと無いぞ。いやハワイでもそんなズボン履くやつ居ないと思う。
「いやー何着てこうか迷っちゃって」
「待って、迷った結果がそれなのか!?」
「特にどのサングラスを付けるか、かなり迷ったなぁー・・・」
「まず、サングラスは付ける前提なんだね。そして迷うってどんだけサングラスあるんだよ」
「3つだよ」
「思ったより少なかったわ」
迷うっていうから10種類くらいはあるかと思ったけど、過度な期待をし過ぎた。
「まぁ、中入ろうよ」
そうだ、今は吉永と話してる場合じゃない。今日は岩崎さんとショッピング!岩崎さんはどんな私服なんだろう・・・
カランコロンカラン
「いらっしゃいませ!あ、二階堂君と・・・吉永君?」
そうだよね、やっぱり自分の目を疑うよねこんな恰好してたら。
「やっぱり吉永変だよね~って岩崎さん今働いてるの?」
「変ってことはないよ!ちょっと個性的だな~って。うん、二人が来るまで手伝ってたの!」
分かってたことだけど、岩崎さんマジで良い子だ。高校生でここまで親孝行な子はなかなか居ないと思うよ。
「じゃ、準備してくるからちょっと待ってて!」
待ちます待ちます、いくらでも待ちますよ。
てなわけで、僕らは飲み物を頼んでカウンターで待つことにした。
「ねぇ二階堂君、最近バイトの調子どう?こっちは毎日忙しくって大変ったらありゃしないよ!でも働きたいときは結構入れてくれるし、休みたいときは融通が利くし良いかなって」
「こっちは結構落ち着いたところだよ。店長もスタッフもみんな優しいし!」
「お!もしかして可愛いスタッフとかいるの!」
吉永は、女の子の話題にガッつくタイプだったっけ・・・
「可愛いというか、結構雰囲気良い子はいるよ」
「へ~そっちはそっちで楽しんでるんだね~!今度二階堂君のバイト先に顔出すね!」
「顔出すのは良いけど、その格好では来ないでね」
「分かった、サングラス変えていくよ」
「そこじゃない!!」
「今回は何の話?」
きました岩崎カットイン。ま、今回は別に聞かれても良い話だから良いだけどね。
そんな岩崎さんの服装ロングワンピースに、リボンのついた可愛らしい帽子。まるで避暑地のお嬢様。
「あーバイトの話だよ!二階堂くん、とっても可愛い子と働いてるんだって~」
「そんなに話を盛ったつもりはないけど・・・あ、岩崎さん!小島泉水って知ってるよね?ボクその子と同じ所で働いてるんだけど」
「え!泉水と同じ所!?泉水は私の親友だよ!小学校の頃から同じなの!クラスはちょくちょく違ったりしてたんだけど・・・」
普段から明るい岩崎さんだけど、より楽しく話してる。笑っている。本当に仲が良かったんだろう。そして、違う高校になってしまったのが少しばかり寂しいのだろう。なんとなくだけどそんな気がした。
「・・・二人とも!積もる話はあるだろうけど、とりあえずデパートに行こう!」
話に置いてけぼりな吉永がさすがに少し可愛そうになったので、話は中断しデパートへと向かった。
市で一番大きいデパート。5階建てで食品コーナーから生活雑貨、ファッションもあり電化製品もある。レストランやカフェも併設されており1日居ても飽きないくらいだ。
まずデパートに入り、口を開いたのは避暑地のお嬢様。
あ、余談だけどお嬢様最初はサングラスつけて来ようかと思ったらしいんだけど吉永と被るからやめたんだって。この二人、考えてること同じだ。
「ねぇ!最初はどこから行く?私雑貨屋さん行きたい!!」
「じゃあまずは雑貨屋さんから行こっか。そっから一つ一つ見てこ!」
まるで小学生のようにはしゃぐお嬢様。今のお嬢様は誰にも止められない・・・
「ねぇ吉永君!このうさみみ、吉永君に似合うんじゃない?」
「え?ホントに!ちょっとつけてみようかな~!」
「百歩譲ってうさみみは良しとしよう・・・サングラスは外せよ」
「二階堂君、わかってないな~!吉永君のサングラスとうさみみのギャップが良いんだよ~!」
少し怒られた。これが俗にいう「ギャップ萌え」というものなのか。ボクには残念ながら分からないです・・・
「じゃ、僕このうさみみ買ってくるね!」
「買うのは良いが、このあと付けて歩き回るのだけは絶対やめてくれよ。付けるのは家の中だけでお願いします」
「二階堂君も、何か買おうよ!あ、私選んでくるね!」
「岩崎さん、うさみみだけは止めてね」
「ちょっと待っててね~!」
待つこと5分。
「・・・おまたせ!はい!」
渡されたのは、小さなサボテン。
「二階堂君、観葉植物おうちにあるって言ってたよね?だからこれなんかどうかなって!」
あれ、吉永と違って結構マジなものじゃないか?しかも前お昼で言ってたこと覚えてくれてたのか・・・
「・・・あれ?もしかしてサボテンもう持ってるかな?」
「い、いや!そんなことない!サボテン実は持ってなかったから欲しかったんだよね~!」
「良かった!喜んでくれて!」
・・・これは「サボテン」を選んでもらったから嬉しいのではない。サボテンじゃなくたって良かった、なんでも良かった。入学してすぐのお昼の時間、なんの他愛も無い会話の一部。ボクが観葉植物を少しばかり集めているということを覚えてくれてたこと、それが嬉しかったのだ。
「岩崎さん・・・アリガトウ」
「え?何か言った?」
「ううん、なんでもない。それより今度は電気屋さん行こう!!おすすめの電化製品たくさん紹介してあげる!吉永も、早く行くぞ!あ、うさみみは外してね~」
「え~!せっかく買ったんだから少しくらい付けさせてよ!・・・って待って、二人とも!!」
直接ありがとうの気持ちを伝えるのはなんだか恥ずかしかったから、気が小っちゃいボクは小さな声で呟いた。いつかこの気持ちをはっきりと伝えたい。・・・ま、吉永がいなければ、岩崎さんとここまで仲良くなることも出来なかったから少しは感謝しなきゃな~。今度ご飯おごってやるか。
このあと行った電気屋ではボクがあまりにも詳しく、そして長い時間説明やらうんちくやら話していたせいで最後のあたり2人はかなりつまんなそうな顔をしていた。てかたぶん途中から話聞いてなかったとおもう。ボクの知識はここでしか輝かないから、せめて話だけでも聞いてよ~!
ちなみにだけど、おすすめの掃除機はサイクロン掃除機でソフトローラークリーナー搭載で・・・あ、もう十分すか。了解です。
吉永は服屋さんに行きたかったらしく、ボクの電化製品講座が終わった後逃げるかのように2人は洋服館へと向かった。あからさまに嫌な態度取らなくたっていいじゃないか!!
「この服屋は僕がよく通ってるお店なんだよー!服の種類も豊富だから見てるだけでも楽しいんだよねー!」
「ここが吉永の奇抜なファッションを生んだ元凶か」
「二階堂くん・・・もっと良い言い方ないのー?。ね 岩崎さん・・・って、あれ?」
彼女の姿はそこにはなかった。少し探すと、レディースコーナーに居た。彼女は彼女で楽しんでるようだからそっとしておこう。
「二階堂君!ちょっとこれどう?」
と言って差し出された・・・チャイナドレス
「ボクは着ないぞ」
「二階堂君が着るんじゃないよ!!」
良かった・・・どんな罰ゲームかと思ったよ。
「あ~岩崎さんには似合うかもしれないな~」
「でしょ~!雑貨選んでもらったから僕らはこれ岩崎さんに買ってあげようよ~!」
少しだけ、岩崎さんのチャイナ服姿を想像してみた・・・気品溢れる上品な美しさ。絶対きれいだ。
「丁度今、お金を使いたかったところだよ」
「じゃ、僕お金出さなくても良いかな!」
「せめて3割は出してくれ・・・」
出せるなら男気を見せて、全部出したいんだけど高校生に1万5千円はかなりの痛手。結局吉永が5千円、ボクが1万出すことにした。来月はもうちょっと働こ・・・
この後ラーメン屋で昼食を済ませ、たくさんのお店を見て回った。どんなお店を回ったかなんて、たくさんありすぎてほとんど覚えていない。ボクが覚えてることは楽しそうにお店を見て回る岩崎さんの笑顔だけだ。
楽しい時間もあっという間、外はすっかり暗くなり帰る時間が迫っていた。
「じゃ、そろそろ帰ろうか~!もう閉店だし!」
うさみみ付けた吉永が一言。付けるな、と何度も注意したんだが外す気配を一切感じなかったからもう気にしないことにしていたのだ。
「そっか、もうそんな時間かぁ~・・・あっという間に時間は過ぎていくのってなんか寂しいな~」
岩崎さんの愁い帯びたその瞳を見て、どれだけ寂しいのかこころなしか感じ取れた。
「楽しいことしてるとあっという間に時間は過ぎていくよね~もっと続けばいいのになぁって!いつかは終わりが来る。でもまた始めれば良いんだよ!また楽しいことしようよ!」
たまに良いこという吉永だが、改めて確認しておこう。吉永は今うさみみをつけている。
「まぁ、毎週遊ぶのは都合があったりで無理だろうけど月1くらいは集まれたら良いな~!あ、岩崎さんちょっと・・・」
「ん?どうしたの?」
「これ、吉永と選んだんだけど・・・」
「岩崎さんが僕たちに雑貨選んでくれたから、僕らも何かしようかな~と思って・・・二階堂君と選んだんだぁ!レインボーロックで接客するときにでも着てよ!」
「ちょっとお店では着ること出来ないかも・・・でもありがと!ホント嬉しい!!」
夜もすっかり更けている。真っ暗な中、かすかに見えた一粒の光。その光の意味は、流した本人にしか分からない。
・・・と言いたかったんだけど、母親に聞いたところどうやら目覚ましは10時過ぎに鳴っていたらしい。目覚まし時計よ、恨んでごめんな。
と、そんなこと思っている間にも時間は進んでいる。今は・・・11時半。
とにかく吉永に電話だ。急いでるときはメールより電話だ。
・・・・・・
・・・・・・
「ん、もしもし・・・」
なにやら聞き取りにくい声。これは・・・寝ぼけているのか。
まさかとは思うが。
「吉永、もしかして今起きた?」
「うん・・・って今何時!?」
何かおかしいとは思っていた。11時過ぎてたのに連絡ひとつ入っていなかったこと。彼の性格なら、何かあったのかとメールをいれるはずだと。
「そっか、吉永も寝坊したのか」
「ご、ごめん!って吉永も?ってことは二階堂君も・・・」
「・・・1時に集合しよう」
墓穴を掘った。あっちも遅刻してるならわざわざ吉永「も」なんて言わなきゃ良かった。てなわけで、話を流しつつボクは電話を切った。
皆が思う喫茶店のイメージはなんだろう。ちなみにボクは、髭を生やしたマスターが淹れた500円位のコーヒー。そして30~50代のサラリーマンが通うイメージ。
僕みたいな若造たちは、ファミレスとかファーストフードに走ってしまう。もちろんご飯を食べるために来てるんだけど、ご飯を食べながらのおしゃべりがメインとなる。後半に至っては、ドリンクバーでどれだけ粘れるかが勝負となる。
・・・そうこうしているうちに家を出る時間だ。
集合の10分前に着いた。吉永はいない。
「ごめん~!!待った~?」
お前は、ボクをドキッとさせるな。付き合いたてのカップルみたいになってるじゃねぇか。・・・とは口に出さず、心の中だけで呟いた。
「いや、全然待ってないよ」
ボクもボクで、勘違いさせるような言い方をしてしまった。だってホント待ってないんだもん。ただ、この言葉を言いたかったのは確かだ・・・女の子に。
カランコロンカラン
なんとも懐かしい雰囲気を醸し出すドアの音。
レインボーロック。パリの街並みを想像させるレトロな外装。
中はカウンター席が10席ほど、あとテーブルが2席。こじんまりとしていてボクはこの感じ、嫌いじゃない。
「いらっしゃいませ~!・・・あ!二階堂君と吉永君!」
元気な声が聞こえてきた。他のお客様だったらきっとすぐ「連絡先教えてください!」とか言うんだろうが残念だったな諸君たちよ、ボクはもうアドレス持ってるんだよ。羨ましいだろ。
「もう少しで落ち着くから、なんか飲みながら待ってて!何飲む?」
「僕はコーヒー、二階堂君は?」
「僕はオレンジジュース」
「かしこまりました」
そう言って彼女はキッチンへと入って行った。
「働く女ってなんか良いよね~」
「二階堂君、何言ってんの?それまたちょっと違う気が・・・」
「何が違うんだよ!!」
「いや、それは高校生に対して言う言葉じゃ・・・」
「何話してるの~?はい、コーヒーとオレンジジュース」
おっと岩崎カットイン。これはあまりご本人には聞かれたくないお話だ。
「い、いやこっちの話。もう大丈夫なの~?」
「うん、もう大丈夫だからってお母さんが。」
3人が集まった。心なしか、岩崎さん片づけを早く終わらせてくれてた気がする・・・気がするだけか。
「あのさ~今度どっか遊び行こっか!」
いきなりその話題!?岩崎さん、積極的な人なのか!
「んん~エジプトとか!」
「なんでいきなり外国なんだよ!岩崎さんが言ってたのはそんな規模じゃないだろ!・・・てか何でエジプト?」
「あ!いいね~!私スフィンクス見てみたかったの!」
「そこで岩崎さんも乗らないで!!!」
ボクは高校で2人の友達に出会った。「吉永智春」と「岩崎那智」だ。今まで生きてきてこんな個性的な人と出逢ったのは初めてかもしれない。
「ごめんごめん、せめて国内にしよっか」
「せめてうちの市内でお願いします!」
ボクは思った。ボクが制御役にならないと二人は暴走しまくる。でもこんな毎日も楽しいのかもしれない。
「ねぇ!男子ってショッピングって興味あるの?」
「ショッピングって買い物のことだよね~?」
吉永よ、俺はツッコまないぞ。
「まぁ、ボクは何かを見て回るってのは嫌いじゃないよ。電気屋さんとかはよく寄るし」
「ホント!?じゃデパート行こうよ!いろいろ回れるし!」
ちなみにだけど、男って買い物って結構好きなんだよ。おしゃべりだって大好きなんだよ。スイーツだって大好きだよ。女子より女子っぽい男の子結構いるんだよ。・・・少し話はズレたが、デパート巡りめっちゃ楽しみ。
「じゃあいつ行く?私来週は家族と出かけるからそれ以降がいいな~」
「僕も来週はバイト入ってるから・・・」
二人は来週は予定入ってるのか。じゃ、ボクも来週はシフト入れてもらおっと。
「じゃ再来週の土曜日!!」
ボクがそう言うと
「大丈夫!」
二人の同意が得られた。初めて三人で遊ぶ日が決まった。大袈裟かもしれないが、ボクにとってこの日は記念日になるだろう。それまではアルバイトに勤しもう。
ボクのアルバイト先は、家の近くのファミレス。昔からよく通っていて店長とも顔見知り。その店長にアルバイトしたいと話した所、快く了承してくれた。コネの力恐るべし。
そこまで大きなお店ではないため、僕以外では店長含め8人のスタッフで営業している。平日は基本3人。休日は5人でお店を回している。
店長は40代のダンディーなおじさん。おおらかでとっても優しい。丁寧に仕事を教えてくれるのですぐに覚えることができた。
ほかのスタッフもやさしい人ばかりだ。その中でも1人、ボクとほぼ同時に入った子がいる。名前は「#小島泉水_こじまいずみ_#」
いつもテンションmaxで、天真爛漫という言葉がお似合いな女の子。仕事は真面目で始めて一ヶ月も経っていないが、お客さんからもかなり評判が良いらしい。きっとこの元気な感じが好印象なんだろう。
そんな彼女と今日は、休憩時間がかぶった。
「そういや小島さんって高校どこ?まさか猿ヶ丘?」
「違うよ~アタシは孔雀院だよ!で、学校から近かったからバイトここにしたの!」
「孔雀院!?あそこめっちゃ頭良いところじゃん!ボクもそこにしようと思ってたけど、見事前期で落ちて滑り止めで猿ヶ丘に行ったんだよね~」
「あたし凄く勉強したもん!!あんなに勉強することもう二度とないと思う!ってか真一郎くん猿ヶ丘なの!?じゃ、岩崎那智知ってる?」
「知ってるよ!同じクラスだよ!でも何で岩崎さんの名前を?」
「何でって那智と私、小中同じ学校だったもん!」
・・・マジか。世の中狭いもんです。
「そっか~那智と同じクラスなんだぁ。那智って結構寂しがり屋さんだから、・・・仲良くしてやってね?」
あの一瞬の間はなんだろう。「仲良くしてやってね」何か引っかかる。何といわれたらよく分からないんだけどこの小島さんのお願いは絶対守らなければと思った。
バイトが終わり家に帰り、布団の中でボクは考え事をしていた。
あの小島さんの言葉だ。
「仲良くしてやってね」決して不思議な言葉ではない。少しおせっかいな友達が言ったりすることもあるだろう。
でもあの心にドシッとくる感じは何だったのだろう。昔何かあったのか?そんなこと本人に聞けるわけがない。小島さんに聞くのも気が引ける。
いや、考えすぎかもしれない。気のせいだろう・・・
学校だったりアルバイトだったり毎日楽しくてあっという間に時が過ぎ、気が付けば約束の日
10時にレインボーロックに待ち合わせ。
ボクは・・・8時に起きた。今回こそは寝坊せずに済んだ。「二度あることは3度ある」ではない。「3度目の正直」だ。
ボクは普段出かけるときはいつもジャージだ。だがさすがに今回ジャージで出かけるわけにはいくまい。しかしそれと言って、おしゃれに気を使ったことがないボクなので何着ていくかかなり迷う。人生で3本の指に入るくらい迷う。
結局、家にあった革ジャンを着ていった。これは目立つに違いない!
集合時間の10分ほど前に着いた。そこには1人の男が立っていた。・・・僕より目立つやつが。
シルクハットをかぶり、サングラスをかけている。ズボンは花柄の半ズボン。靴は革靴。ボクはあんな奴知らない・・・はず。
「お~い!二階堂君!早く早く~!」
「ボクはあなたみたいな変人は知りません」
「ちょっと!僕だよ~!吉永だよ!」
やっぱ吉永だったか。いや分かってたんだけどさぁ、知りたくなかったというか。てかいろいろ突っ込みたいが、まずそのズボンはハワイでしか見たこと無いぞ。いやハワイでもそんなズボン履くやつ居ないと思う。
「いやー何着てこうか迷っちゃって」
「待って、迷った結果がそれなのか!?」
「特にどのサングラスを付けるか、かなり迷ったなぁー・・・」
「まず、サングラスは付ける前提なんだね。そして迷うってどんだけサングラスあるんだよ」
「3つだよ」
「思ったより少なかったわ」
迷うっていうから10種類くらいはあるかと思ったけど、過度な期待をし過ぎた。
「まぁ、中入ろうよ」
そうだ、今は吉永と話してる場合じゃない。今日は岩崎さんとショッピング!岩崎さんはどんな私服なんだろう・・・
カランコロンカラン
「いらっしゃいませ!あ、二階堂君と・・・吉永君?」
そうだよね、やっぱり自分の目を疑うよねこんな恰好してたら。
「やっぱり吉永変だよね~って岩崎さん今働いてるの?」
「変ってことはないよ!ちょっと個性的だな~って。うん、二人が来るまで手伝ってたの!」
分かってたことだけど、岩崎さんマジで良い子だ。高校生でここまで親孝行な子はなかなか居ないと思うよ。
「じゃ、準備してくるからちょっと待ってて!」
待ちます待ちます、いくらでも待ちますよ。
てなわけで、僕らは飲み物を頼んでカウンターで待つことにした。
「ねぇ二階堂君、最近バイトの調子どう?こっちは毎日忙しくって大変ったらありゃしないよ!でも働きたいときは結構入れてくれるし、休みたいときは融通が利くし良いかなって」
「こっちは結構落ち着いたところだよ。店長もスタッフもみんな優しいし!」
「お!もしかして可愛いスタッフとかいるの!」
吉永は、女の子の話題にガッつくタイプだったっけ・・・
「可愛いというか、結構雰囲気良い子はいるよ」
「へ~そっちはそっちで楽しんでるんだね~!今度二階堂君のバイト先に顔出すね!」
「顔出すのは良いけど、その格好では来ないでね」
「分かった、サングラス変えていくよ」
「そこじゃない!!」
「今回は何の話?」
きました岩崎カットイン。ま、今回は別に聞かれても良い話だから良いだけどね。
そんな岩崎さんの服装ロングワンピースに、リボンのついた可愛らしい帽子。まるで避暑地のお嬢様。
「あーバイトの話だよ!二階堂くん、とっても可愛い子と働いてるんだって~」
「そんなに話を盛ったつもりはないけど・・・あ、岩崎さん!小島泉水って知ってるよね?ボクその子と同じ所で働いてるんだけど」
「え!泉水と同じ所!?泉水は私の親友だよ!小学校の頃から同じなの!クラスはちょくちょく違ったりしてたんだけど・・・」
普段から明るい岩崎さんだけど、より楽しく話してる。笑っている。本当に仲が良かったんだろう。そして、違う高校になってしまったのが少しばかり寂しいのだろう。なんとなくだけどそんな気がした。
「・・・二人とも!積もる話はあるだろうけど、とりあえずデパートに行こう!」
話に置いてけぼりな吉永がさすがに少し可愛そうになったので、話は中断しデパートへと向かった。
市で一番大きいデパート。5階建てで食品コーナーから生活雑貨、ファッションもあり電化製品もある。レストランやカフェも併設されており1日居ても飽きないくらいだ。
まずデパートに入り、口を開いたのは避暑地のお嬢様。
あ、余談だけどお嬢様最初はサングラスつけて来ようかと思ったらしいんだけど吉永と被るからやめたんだって。この二人、考えてること同じだ。
「ねぇ!最初はどこから行く?私雑貨屋さん行きたい!!」
「じゃあまずは雑貨屋さんから行こっか。そっから一つ一つ見てこ!」
まるで小学生のようにはしゃぐお嬢様。今のお嬢様は誰にも止められない・・・
「ねぇ吉永君!このうさみみ、吉永君に似合うんじゃない?」
「え?ホントに!ちょっとつけてみようかな~!」
「百歩譲ってうさみみは良しとしよう・・・サングラスは外せよ」
「二階堂君、わかってないな~!吉永君のサングラスとうさみみのギャップが良いんだよ~!」
少し怒られた。これが俗にいう「ギャップ萌え」というものなのか。ボクには残念ながら分からないです・・・
「じゃ、僕このうさみみ買ってくるね!」
「買うのは良いが、このあと付けて歩き回るのだけは絶対やめてくれよ。付けるのは家の中だけでお願いします」
「二階堂君も、何か買おうよ!あ、私選んでくるね!」
「岩崎さん、うさみみだけは止めてね」
「ちょっと待っててね~!」
待つこと5分。
「・・・おまたせ!はい!」
渡されたのは、小さなサボテン。
「二階堂君、観葉植物おうちにあるって言ってたよね?だからこれなんかどうかなって!」
あれ、吉永と違って結構マジなものじゃないか?しかも前お昼で言ってたこと覚えてくれてたのか・・・
「・・・あれ?もしかしてサボテンもう持ってるかな?」
「い、いや!そんなことない!サボテン実は持ってなかったから欲しかったんだよね~!」
「良かった!喜んでくれて!」
・・・これは「サボテン」を選んでもらったから嬉しいのではない。サボテンじゃなくたって良かった、なんでも良かった。入学してすぐのお昼の時間、なんの他愛も無い会話の一部。ボクが観葉植物を少しばかり集めているということを覚えてくれてたこと、それが嬉しかったのだ。
「岩崎さん・・・アリガトウ」
「え?何か言った?」
「ううん、なんでもない。それより今度は電気屋さん行こう!!おすすめの電化製品たくさん紹介してあげる!吉永も、早く行くぞ!あ、うさみみは外してね~」
「え~!せっかく買ったんだから少しくらい付けさせてよ!・・・って待って、二人とも!!」
直接ありがとうの気持ちを伝えるのはなんだか恥ずかしかったから、気が小っちゃいボクは小さな声で呟いた。いつかこの気持ちをはっきりと伝えたい。・・・ま、吉永がいなければ、岩崎さんとここまで仲良くなることも出来なかったから少しは感謝しなきゃな~。今度ご飯おごってやるか。
このあと行った電気屋ではボクがあまりにも詳しく、そして長い時間説明やらうんちくやら話していたせいで最後のあたり2人はかなりつまんなそうな顔をしていた。てかたぶん途中から話聞いてなかったとおもう。ボクの知識はここでしか輝かないから、せめて話だけでも聞いてよ~!
ちなみにだけど、おすすめの掃除機はサイクロン掃除機でソフトローラークリーナー搭載で・・・あ、もう十分すか。了解です。
吉永は服屋さんに行きたかったらしく、ボクの電化製品講座が終わった後逃げるかのように2人は洋服館へと向かった。あからさまに嫌な態度取らなくたっていいじゃないか!!
「この服屋は僕がよく通ってるお店なんだよー!服の種類も豊富だから見てるだけでも楽しいんだよねー!」
「ここが吉永の奇抜なファッションを生んだ元凶か」
「二階堂くん・・・もっと良い言い方ないのー?。ね 岩崎さん・・・って、あれ?」
彼女の姿はそこにはなかった。少し探すと、レディースコーナーに居た。彼女は彼女で楽しんでるようだからそっとしておこう。
「二階堂君!ちょっとこれどう?」
と言って差し出された・・・チャイナドレス
「ボクは着ないぞ」
「二階堂君が着るんじゃないよ!!」
良かった・・・どんな罰ゲームかと思ったよ。
「あ~岩崎さんには似合うかもしれないな~」
「でしょ~!雑貨選んでもらったから僕らはこれ岩崎さんに買ってあげようよ~!」
少しだけ、岩崎さんのチャイナ服姿を想像してみた・・・気品溢れる上品な美しさ。絶対きれいだ。
「丁度今、お金を使いたかったところだよ」
「じゃ、僕お金出さなくても良いかな!」
「せめて3割は出してくれ・・・」
出せるなら男気を見せて、全部出したいんだけど高校生に1万5千円はかなりの痛手。結局吉永が5千円、ボクが1万出すことにした。来月はもうちょっと働こ・・・
この後ラーメン屋で昼食を済ませ、たくさんのお店を見て回った。どんなお店を回ったかなんて、たくさんありすぎてほとんど覚えていない。ボクが覚えてることは楽しそうにお店を見て回る岩崎さんの笑顔だけだ。
楽しい時間もあっという間、外はすっかり暗くなり帰る時間が迫っていた。
「じゃ、そろそろ帰ろうか~!もう閉店だし!」
うさみみ付けた吉永が一言。付けるな、と何度も注意したんだが外す気配を一切感じなかったからもう気にしないことにしていたのだ。
「そっか、もうそんな時間かぁ~・・・あっという間に時間は過ぎていくのってなんか寂しいな~」
岩崎さんの愁い帯びたその瞳を見て、どれだけ寂しいのかこころなしか感じ取れた。
「楽しいことしてるとあっという間に時間は過ぎていくよね~もっと続けばいいのになぁって!いつかは終わりが来る。でもまた始めれば良いんだよ!また楽しいことしようよ!」
たまに良いこという吉永だが、改めて確認しておこう。吉永は今うさみみをつけている。
「まぁ、毎週遊ぶのは都合があったりで無理だろうけど月1くらいは集まれたら良いな~!あ、岩崎さんちょっと・・・」
「ん?どうしたの?」
「これ、吉永と選んだんだけど・・・」
「岩崎さんが僕たちに雑貨選んでくれたから、僕らも何かしようかな~と思って・・・二階堂君と選んだんだぁ!レインボーロックで接客するときにでも着てよ!」
「ちょっとお店では着ること出来ないかも・・・でもありがと!ホント嬉しい!!」
夜もすっかり更けている。真っ暗な中、かすかに見えた一粒の光。その光の意味は、流した本人にしか分からない。
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