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灼熱の荒野の章
解呪師からの誘い
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インプの主人であるゼノス、ガルの父でありシルフェの恩人であるドラゴ。
二人は旧知であった。
そして彼ら二人は互いに知っていた。
ドラゴの息子たちが呪われていることを
ゼノスが解呪師であることを。
「ちょっと待て!」
ディアンはインプの言葉を遮る。
「それが事実なら、なぜお前の主とやらのゼノスはこいつらの呪いを解かなかったんだ?」
「話は最後まで聞きなはれ」
インプはディアンをおちょくるように言葉を続けていく。
二人は十数年前、ゼノスが戯れにワールストームに出向いた際に、偶然ドラゴと知り合ったらしい。
その出会いがあまりにも楽しく、バカバカしかったそうだ。
ゼノスの目に映るドラゴは、ワールフレイムにはいない無骨ながらも笑えるやつだった。
「主は楽しそうにそう言ってはりました」
インプは続ける。
ある日ゼノスはインプネットワークでドラゴが死んだことを知った。
さらにはドラゴの息子たちが、ワールフレイムに向かっていることも知る。
「あっしは主に命じられ、それらしいパーティーを探していたんでやんす」
「ねえ、インプネットワークってのはなあに?」
アリアウェットからの素朴な疑問にインプは胸を張った。
小悪魔は種族全体で意識と魔法陣を共有できる。
彼と他のインプの意識がつながっており、各地域で起こった事象を互いに知ることができる。
また、彼らはそれぞれ魔法陣を持っており、それを共有して転移ができる。
これが小悪魔連絡網だ。
「そこの色男の兄さんも、おっぱいがでっかい銀髪の姉ちゃんも、解術師を探しているんでっしゃろ? ほんならいっちょう、我が主を訪ねてみませんかい?」
インプの誘いにまずはガルが勢い良く叫んだ。
「おやじの知り合いなら、俺は行くぜ!」
ガルの背中に隠れていたシルフェも無言で頷ながら、彼の背中に掴まっている。
アリアウェットとディアンも旅の目的は解呪。
それにゼノスとやらはガルとシルフェに対し、少なくとも悪い感情は抱いていないようだ。
ディアンはアリアウェットの目を見つめると、合図をするかのように顎をしゃくった。
「そうね、私たちも行くわ!」
ガルとアリアウェットのからの返事にインプは頷くと、続けて揉み手を始めた。
「さいでは、主のところまでご案内いたしやす。が、一つだけ片付けなきゃならない問題があるんで、ご協力頼みまっさ」
「なんだ?」
苛ついたような表情のディアンにインプは愛想笑いで答える。
「いえね、主が住む塔なんすが、ただいまアンデッド千体ばかしに、絶賛囲まれ中なんす」
インプの説明では、ゼノスが住む塔にはワールフレイムの関所を通行せずとも、街道を途中から南下すれば到着するらしい。
「で、何で千体ものアンデッドに塔を囲まれているんだ?」
「まあなんちゅうか、学術的興味の結果みたいなモンですがな」
ある意味当然なディアンからの質問にインプは身振り手振りを交えながら説明を始めた。
つい最近、インプの主であるゼノスさんは、新たな古文書を手に入れた。
そこには失われた禁呪の一つが記載されている。
その魔法は彗星召喚という。
魔法を習得したゼノスさんは、いそいそとあみだくじを作り始めた。
縦線が二本しか引かれていないあみだくじではあるが。
「当たり」
こうしてゼノスさんは嬉々としながら彗星召喚をぶっ放した。
死霊魔術師の塔に向けて。
彗星召喚は予想以上の破壊を死霊魔術師の塔にもたらした。
この禁呪は彼の尖塔をまるまる一柱吹っ飛んでしまうほどの威力を見せた。
当然怒り狂う死霊魔術師。
彼は魔力追跡で、「どちら」が仕掛けてきたのかを確認すると、ちょっとマジで相手に攻め入ることにしたのだ。
死霊魔術師は亡者どもを引き連れ、道中の土地を荒廃させながらゼノスさんの塔に向かっていった。
その後ゼノスさんが住まう塔を包囲した死霊魔術師は、その周辺を腐らせながらゼノスさんに迫った。
塔を譲り渡せと。
死霊魔術師の目的は建物としての塔ではなく、その中にゼノスさんが溜め込んだ魔道具などのお宝である。
「というのが今の状況でありんす」
四人はあきれ果てた。
他人の住居に問答無用で彗星召喚をぶっ放す方も大概だし、その腹いせに土地を荒廃させまくるという八つ当たりも大概だ。
「で、ゼノスとやらは何で逃げないんだ?」
「お宝が惜しいんでやすよ」
ディアンの問いにインプは続けた。
実力的にはゼノスと死霊魔術師はどっこいどっこい。
なので、通常なら守備側のほうが有利のはずだ。
しかし今回は死霊魔術師も作戦を考えた。
彼らが放つ瘴気は塔の周辺をどんどん腐らせていくのだ。
これは非常にいやらしい兵糧攻めとなる。
「主は、灼熱の荒野にも彗星召喚をぶっ放して、竜王も巻き込むかと、おっかないことを考えていたんスよ」
インプは身震いする。
「そんなことになったら、あっしらは死亡確定ですわ。だもんであっしらはインプネットワークで急いであんたらを見つけ、主に報告させてもらいましたんや」
ドラゴのガキどもにゼノスさんは興味をもった。
そして続くインプからの、二人を引率している男と娘が、色々とやらかしているという報告に対して。
「というわけでっさ。ついては、亡者掃除を手伝っておくんなせえ」
アリアウェットたち四人は、再びあきれ果てた。
不条理な空気が場を包む。
「まあ、やるしかないか」
ディアンはそうつぶやくと、亡者攻略法を三人に教えてやる。
アンデッドと言ってもピンからキリまでおり、その特殊能力も多岐にわたる。
千体もいるともなると、その中には親分である死霊魔術師に匹敵するアンデッドが何体か紛れ込んでいてもおかしくない。
それに中級以上のアンデッドは、物理耐性や魔法耐性も持っている場合が多い。
なので最も効果的なのは、魔法武器でぶん殴り、物理・魔法両方のダメージを同時に入れることだ。
ちなみに死霊魔術師の魔力は半端ない。
それはタイマンだとディアンですらヤバイかもというレベルだと考えられる。
なので死霊魔術師の相手はアリアウェットに任せることにした。
作戦は次の通り。
まず、アリアウェットとディアンが炎嵐と風嵐のコンボで、雑魚を文字どおり跡形もなく一掃し、視界を確保する。
その後は残った中級以上のアンデッドを各個撃破していく。
その際に使用する魔法は間接魔法を中心とする。
戦場ではディアンがその知識に基づいてアンデッドを見極め、アリアウェット、ディアン、ガルの三人がどのアンデッドを担当するかを選別していく。
ちなみにシルフェはガルのサポートに徹するようにさせる。
死霊魔術師はアリアウェット、比較的魔法耐性が低い連中はディアン、逆に物理耐性が低い連中はガルとシルフェが担当する。
「戦況が有利になれば、多分主も参戦しまっせ。さも、自分がトドメを刺してやったというノリで」
そこでガルはインプにそぼくな尋ねる。
「ところでゼノスさんって、どんな方なんだ?」
するとインプが胸を張った。
「最強最悪のクソババアでさあ!」
するとどこからか飛んできた雷矢がインプは突然撃ち抜いた。
「え?」
思わずアリアウェットが驚きの声を上げる。
それは彼女の空間把握にも引っかからない距離から放たれてきたのだ。
四人は身構える。
すると倒れたはずのインプが突然立ち上がった。
続けてこれまでとは全く異なる抑揚でしゃべりだしたのだ。
「この馬鹿は自分が使い魔だって立場を忘れて、すぐに調子に乗る。あたしゃ全てお見通しなんだよ」
そうつぶやくとインプはガルに目を向けた。
「お前がドラゴの息子かい。あたしゃゼノス、ドラゴの乱痴気仲間だよ」
続けてシルフェにも向かう。
「おうおう、めんこいねえ。ドラゴが褒めていたのもわかるよ。いい子だねえ」
次はアリアウェットの番。
「銀髪の娘よ、会えるのを楽しみにしておるぞ」
インプは最後にディアンへと向かった。
「おい、そこの小僧。この三人を連れて、さっさとワシのところに来んか!」
ディアンはあからさまに異なる待遇の違いに嫌な予感がしながらも、一行を引き連れ、ゼノスの塔へと向かっていった。
二人は旧知であった。
そして彼ら二人は互いに知っていた。
ドラゴの息子たちが呪われていることを
ゼノスが解呪師であることを。
「ちょっと待て!」
ディアンはインプの言葉を遮る。
「それが事実なら、なぜお前の主とやらのゼノスはこいつらの呪いを解かなかったんだ?」
「話は最後まで聞きなはれ」
インプはディアンをおちょくるように言葉を続けていく。
二人は十数年前、ゼノスが戯れにワールストームに出向いた際に、偶然ドラゴと知り合ったらしい。
その出会いがあまりにも楽しく、バカバカしかったそうだ。
ゼノスの目に映るドラゴは、ワールフレイムにはいない無骨ながらも笑えるやつだった。
「主は楽しそうにそう言ってはりました」
インプは続ける。
ある日ゼノスはインプネットワークでドラゴが死んだことを知った。
さらにはドラゴの息子たちが、ワールフレイムに向かっていることも知る。
「あっしは主に命じられ、それらしいパーティーを探していたんでやんす」
「ねえ、インプネットワークってのはなあに?」
アリアウェットからの素朴な疑問にインプは胸を張った。
小悪魔は種族全体で意識と魔法陣を共有できる。
彼と他のインプの意識がつながっており、各地域で起こった事象を互いに知ることができる。
また、彼らはそれぞれ魔法陣を持っており、それを共有して転移ができる。
これが小悪魔連絡網だ。
「そこの色男の兄さんも、おっぱいがでっかい銀髪の姉ちゃんも、解術師を探しているんでっしゃろ? ほんならいっちょう、我が主を訪ねてみませんかい?」
インプの誘いにまずはガルが勢い良く叫んだ。
「おやじの知り合いなら、俺は行くぜ!」
ガルの背中に隠れていたシルフェも無言で頷ながら、彼の背中に掴まっている。
アリアウェットとディアンも旅の目的は解呪。
それにゼノスとやらはガルとシルフェに対し、少なくとも悪い感情は抱いていないようだ。
ディアンはアリアウェットの目を見つめると、合図をするかのように顎をしゃくった。
「そうね、私たちも行くわ!」
ガルとアリアウェットのからの返事にインプは頷くと、続けて揉み手を始めた。
「さいでは、主のところまでご案内いたしやす。が、一つだけ片付けなきゃならない問題があるんで、ご協力頼みまっさ」
「なんだ?」
苛ついたような表情のディアンにインプは愛想笑いで答える。
「いえね、主が住む塔なんすが、ただいまアンデッド千体ばかしに、絶賛囲まれ中なんす」
インプの説明では、ゼノスが住む塔にはワールフレイムの関所を通行せずとも、街道を途中から南下すれば到着するらしい。
「で、何で千体ものアンデッドに塔を囲まれているんだ?」
「まあなんちゅうか、学術的興味の結果みたいなモンですがな」
ある意味当然なディアンからの質問にインプは身振り手振りを交えながら説明を始めた。
つい最近、インプの主であるゼノスさんは、新たな古文書を手に入れた。
そこには失われた禁呪の一つが記載されている。
その魔法は彗星召喚という。
魔法を習得したゼノスさんは、いそいそとあみだくじを作り始めた。
縦線が二本しか引かれていないあみだくじではあるが。
「当たり」
こうしてゼノスさんは嬉々としながら彗星召喚をぶっ放した。
死霊魔術師の塔に向けて。
彗星召喚は予想以上の破壊を死霊魔術師の塔にもたらした。
この禁呪は彼の尖塔をまるまる一柱吹っ飛んでしまうほどの威力を見せた。
当然怒り狂う死霊魔術師。
彼は魔力追跡で、「どちら」が仕掛けてきたのかを確認すると、ちょっとマジで相手に攻め入ることにしたのだ。
死霊魔術師は亡者どもを引き連れ、道中の土地を荒廃させながらゼノスさんの塔に向かっていった。
その後ゼノスさんが住まう塔を包囲した死霊魔術師は、その周辺を腐らせながらゼノスさんに迫った。
塔を譲り渡せと。
死霊魔術師の目的は建物としての塔ではなく、その中にゼノスさんが溜め込んだ魔道具などのお宝である。
「というのが今の状況でありんす」
四人はあきれ果てた。
他人の住居に問答無用で彗星召喚をぶっ放す方も大概だし、その腹いせに土地を荒廃させまくるという八つ当たりも大概だ。
「で、ゼノスとやらは何で逃げないんだ?」
「お宝が惜しいんでやすよ」
ディアンの問いにインプは続けた。
実力的にはゼノスと死霊魔術師はどっこいどっこい。
なので、通常なら守備側のほうが有利のはずだ。
しかし今回は死霊魔術師も作戦を考えた。
彼らが放つ瘴気は塔の周辺をどんどん腐らせていくのだ。
これは非常にいやらしい兵糧攻めとなる。
「主は、灼熱の荒野にも彗星召喚をぶっ放して、竜王も巻き込むかと、おっかないことを考えていたんスよ」
インプは身震いする。
「そんなことになったら、あっしらは死亡確定ですわ。だもんであっしらはインプネットワークで急いであんたらを見つけ、主に報告させてもらいましたんや」
ドラゴのガキどもにゼノスさんは興味をもった。
そして続くインプからの、二人を引率している男と娘が、色々とやらかしているという報告に対して。
「というわけでっさ。ついては、亡者掃除を手伝っておくんなせえ」
アリアウェットたち四人は、再びあきれ果てた。
不条理な空気が場を包む。
「まあ、やるしかないか」
ディアンはそうつぶやくと、亡者攻略法を三人に教えてやる。
アンデッドと言ってもピンからキリまでおり、その特殊能力も多岐にわたる。
千体もいるともなると、その中には親分である死霊魔術師に匹敵するアンデッドが何体か紛れ込んでいてもおかしくない。
それに中級以上のアンデッドは、物理耐性や魔法耐性も持っている場合が多い。
なので最も効果的なのは、魔法武器でぶん殴り、物理・魔法両方のダメージを同時に入れることだ。
ちなみに死霊魔術師の魔力は半端ない。
それはタイマンだとディアンですらヤバイかもというレベルだと考えられる。
なので死霊魔術師の相手はアリアウェットに任せることにした。
作戦は次の通り。
まず、アリアウェットとディアンが炎嵐と風嵐のコンボで、雑魚を文字どおり跡形もなく一掃し、視界を確保する。
その後は残った中級以上のアンデッドを各個撃破していく。
その際に使用する魔法は間接魔法を中心とする。
戦場ではディアンがその知識に基づいてアンデッドを見極め、アリアウェット、ディアン、ガルの三人がどのアンデッドを担当するかを選別していく。
ちなみにシルフェはガルのサポートに徹するようにさせる。
死霊魔術師はアリアウェット、比較的魔法耐性が低い連中はディアン、逆に物理耐性が低い連中はガルとシルフェが担当する。
「戦況が有利になれば、多分主も参戦しまっせ。さも、自分がトドメを刺してやったというノリで」
そこでガルはインプにそぼくな尋ねる。
「ところでゼノスさんって、どんな方なんだ?」
するとインプが胸を張った。
「最強最悪のクソババアでさあ!」
するとどこからか飛んできた雷矢がインプは突然撃ち抜いた。
「え?」
思わずアリアウェットが驚きの声を上げる。
それは彼女の空間把握にも引っかからない距離から放たれてきたのだ。
四人は身構える。
すると倒れたはずのインプが突然立ち上がった。
続けてこれまでとは全く異なる抑揚でしゃべりだしたのだ。
「この馬鹿は自分が使い魔だって立場を忘れて、すぐに調子に乗る。あたしゃ全てお見通しなんだよ」
そうつぶやくとインプはガルに目を向けた。
「お前がドラゴの息子かい。あたしゃゼノス、ドラゴの乱痴気仲間だよ」
続けてシルフェにも向かう。
「おうおう、めんこいねえ。ドラゴが褒めていたのもわかるよ。いい子だねえ」
次はアリアウェットの番。
「銀髪の娘よ、会えるのを楽しみにしておるぞ」
インプは最後にディアンへと向かった。
「おい、そこの小僧。この三人を連れて、さっさとワシのところに来んか!」
ディアンはあからさまに異なる待遇の違いに嫌な予感がしながらも、一行を引き連れ、ゼノスの塔へと向かっていった。
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