ほもむかしばなし

halsan

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つぶよめ ※ある女性読者からのリクエスト

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 昔々、ある山のふもとの観音さまのそばに、子供のいないホモカップルが住んでいました。

 ホモカップルは、叶わぬ夢と知りながらも、毎日観音さまに、子供が授かるようにとお参りをしていました。

 すると、ある日のことです。

 いつものようにホモカップルがお参りを済ませると、観音さまのお堂の中から大きな音が響き渡りました。
 
 ホモカップルは慌てて手を合わせて、観音さまのお堂に向かってもう一度お参りをしました。

 するとお堂の扉が観音開きとなり、中から観音開きの由来となった女性器を模した観音さまが姿を現しました。
 
「毎日毎日欠かさずお参りをしましたね。なので願いをかなえてあげます。お堂の下に『つぶ』がいるので、それを拾って育てなさい」

 そう言い残すと、女性器を模した観音さまはすうっと消えてしまいました。
 
「つぶ」とは田んぼに住んでいる小さな巻貝のことです。

 貝といえば赤貝やアワビが女性の象徴として有名ですが、つぶだって負けるものではありません。
 
 ホモカップルは、女性器を思わせる小さなつぶの姿に少し落胆しながらも、観音様のお告げ通り、つぶを拾って帰りました。
 
 ホモカップルはつぶを片時も離さず、大事に大事に育てました。
 
 ホモカップルは毎日毎日つぶにやさしく話しかけました。
 
 こうして何年も暮らしているうちに、つぶは話ができるようになったのです。
 
 つぶを拾ったころはイケメン熟年のホモカップルでしたが、今では二人ともすっかりと年老いてしまいました。
 
 自分たちは信念をもってホモの道を進んだカップルでしたが、その崇高な思想をつぶに押し付けるつもりはありません。
 
 なによりつぶは女性器を模しているのでホモになりえません。
 
「そろそろつぶのおむこさんをお迎えしなければいけないね」

「そうですね」

 心なしか「おむこさん」の響きに下心を感じさせる老年ホモカップルに向かって、つぶは宣言しました。
 
「おむこさんは自分で見つけてくるから、しばらく待っていておくれ」

 そう言い残すと、つぶはおむこさん探しに旅立って行きました。
 
 とある村につぶがたどり着くと、
 
「ああ今日も疲れた疲れた」

 と、ひとりの壮年百姓が田んぼから上がってきました。

 百姓は足元のつぶに目をやると、
 
「つぶはのんびりのろまでうらやましいな」

 いきなりうらやましがられたつぶは、それが皮肉とも気づかずに百姓の話に聞き入ります。

「この田んぼはいくら泥を塗っても穴が開いて、水が漏れてしまう。そうだ。もしつぶがこの田んぼの水が漏れないようにしてくれたら、わしの息子を一人、むこにやってもいいぞ」

 百姓は冗談のつもりでしたが、それを聞いたつぶは、田んぼに入って、穴を埋める作業を始めました。
 
 何日も何日も、つぶは穴に泥を詰めていきます。
 
 すると若い男が三人、つぶの様子を覗きに来ました。
 
 どうやら百姓の三兄弟らしいです。
 
 一番上の息子は、
 
「のろまなつぶは、いつまでも田んぼで泥レスでもやっていろ」

 と言いながら、大きな石をつぶに向かって投げ込むと、あかんべえをして帰ってしまいました。
 
 二番目の息子は、たくさんの小石をばらばらとつぶにめがけて投げ込むと、
 
「オナホ代わりだとしても、つぶの相手なんかしてたまるか」

 と、尻を叩いて帰ってしまいました。
 
 末の息子は、粘りのある土を田んぼの隅っこにそっと置くと、
 
「疲れたら、この『ねばねば』を楽しむといいよ」

 と言い残して、帰っていきました。
 
 つぶは、一番上の息子が投げ込んできた大きな石を穴に詰め込みました。
 
 続けて二番目の息子が投げ込んできた、たくさんの小さな石を、穴と大きな石の隙間に挟んでいきました。
 
 最後に末の息子がつぶのためにと残していった粘る土で、それを固めました。
 
 こうしてつぶは、とうとう水が漏れない田んぼを完成させたのです。
 
 翌日、壮年百姓は、完成した田んぼを見て、たいそう喜びました。
 
 ところが一方で、つぶに大切な息子をむこにやるのが、急に惜しくなったのです。
 
 なので壮年百姓はつぶにこう告げました。
 
「つぶよ。七日たったら息子をむこにもらいに来い」

 つぶは、壮年百姓の言う通り、七日間を田んぼで過ごしました。
 
 七日後につぶは壮年百姓の家に行きました。
 
 するとなんということでしょう。
 
 百姓の家の前には、人は跨げるけれども、つぶには乗り越えることができない水路が作られていたのです。
 
 つぶはあたりを見回しました。
 
 すると水路の一か所に、木の枝がかけられていました。
 
 つぶは木の枝につかまると、そろそろと橋を渡るように木の枝を進んでいきました。
 
 ところが、枝の真ん中あたりで木の枝は「SASUKE」よろしく、くるりと回転してしまったのです。
 
 急な回転に、SASUKEオールスターズに負けるとも劣らない筋力を誇ったつぶも、耐え切れずに水路にぽとりと落ちてしまいました。
 
 その一部始終を見つめていた壮年百姓は、
 
「これで息子をむこにやらんで済んだ」

 とつぶやくと、やれやれとばかりに家に引っ込みました。
 
 ところが、そうしたつぶを見かねたのか、末の息子がそっと木の棒を水路に差し込み、つぶを助けたのです。
 
 助けてもらったつぶは、末の息子にお礼を言いました。
 
 あまりのうれしさに、つぶはこの場でオナホ代わりにしてくれても構わないと末の息子に申し出たのです。
 
 しかし末の息子は寂しそうに首を左右に振りました。
 
「ごめんよ。ぼくは女性には興味がないんだ」

 それを聞いたつぶは、末の息子にこう言いました。
 
「わかったよ。それでは私のからだを思いっきりふんずけてください」

「ふんずける」という響きに何か甘美な情欲を燃えたぎらせてしまった末の息子は、言われるがままにつぶを思いっきり踏みました。

 するとどうでしょう。
 
 つぶがぱかりと二つに割れたかと思うと、中から見目麗しい、SASUKEオールスターズの格好いいチームのような、りりしい青年が姿を現したのです。
 
 そうです。
 
 実はつぶは「雌雄同体しゆうどうたい」だったのです。
 
 さすがは貝類です。
 
 見目麗しい姿となったつぶは、そのまま末の息子の手を取ると、
 
「ぼくのパートナーになってくれ」

 と、申し出ました。
 
「ふんずける」という行為によって、既に情欲の炎を燃やしていた末の息子に、そんなおいしいシチュエーションを断る理由などありません。

 末の息子は熱病に侵されたかのような表情で、つぶの手を握ったのです。

 老年ホモカップルは驚きました。
 
 なぜなら、自分たちの若いころを思わせるようなびーえるカップルが、自分たちの息子を名乗って家に帰ってきたからです。
 
 老年ホモカップルはたいそう喜びました。
 
 喜び余って若いころの体力も取り戻しました。
 
 こうして四人は、堀りつ掘られつの毎日を、末永く仲よく過ごしていったのです。
 
 めでたしめでたし。
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