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赤髪さんを連れ込むことしか視野にないスマッシュさん
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「あの、ちょっとよろしいでしょうか?」
連れ込み宿に向かう道中で、金髪縦ロールの美女が意を決したように、ミトに尋ねた。
「先程、そちらの鬼がユーシチローさんに何かするのを、みんなで見に行くとおっしゃいましたよね」
「言ったよ?」
「それって、おかしくないですか?」
「何で?」
どうも金髪縦ロールとミトの会話は噛み合わない。
するとカッツェが楽しそうに口を挟んできた。
「姉さま、この人は、スマッシュさんが赤鬼さんを掘るのを見に行くのがおかしいって言ってるんですよ!」
「だから何がおかしいんだい?」
素で不思議そうな表情のミトにカッツェも素の明るさで答えた。
「きっと、この金髪縦ロールさんって、ガチホモを見たことがないんですよ」
「ああ、そういうことかい」
妙に納得するミトと、明らかに論点をずらされて狼狽している金髪縦ロール。
「いえ、そうじゃなくて、あの、その、えっと、ホルですか? それを皆で見に行くってのは、それって、モラルとか、恥ずかしいとか……」
モジモジする金髪縦ロールにスマッシュは振り向いた。
「別に俺は見られても構わんぞ。それにカッツェの絵は上手だしな。後から思い出して余韻に浸るのにも非常に都合がよろしいのだ」
ミトも突き放す。
「同席するのが嫌なら外で待っていな」
カッツェも面倒くさそうだ。
「無理して見るものじゃないしね」
「いえ、私も参ります」
金髪縦ロールは己の常識がこの三人に通用しないことを痛感し、スマッシュに担がれているユーシチローは、己のこれからの運命を憂い、神に祈った。
そんなこんなで訪れた連れ込み宿。
「おばはん、一番広い部屋だ!」
「わかりました! すぐにご用意いたします!」
スマッシュの剣幕にすっかり押されたおばはんは、二時間一万ゼルの部屋を五千ゼルでスマッシュに提供する。
すぐに部屋のローテーブルに置かれたメニューを手に取りながらミトはソファに身体を沈めた。
「おや、ルームサービスがあるねえ。スマッシュ、カッツェ、何か飲むかい? 金髪縦ロールも良かったらどうだい?」
「俺とこいつは勝負後にビール漢ジョッキを頼む」
「姉さま、私もスケッチし終えてからパフェを食べたい」
それぞれのポジションを極めた二人は、ミトの方に振り返りもせずにオーダーをいれた。
オーガとキャットガールのサキュバスへの無礼な態度に金髪は身を固くするも、当のサキュバスは気にすることもなく注文を確認している。
「はいよ、で、そこの金髪はお前はあたしと同じワインでいいかい?」
家族が普通にホテルにチェックインするようなノリについていけない金髪縦ロールは、無言で頷くしか無かった。
「よし、尻を出せ」
スマッシュはユーシチローをベッドにうつ伏せに寝かせると、尻を上げさせる。
「やめてくれー」
ユーシチローは自由のきかない身体で精一杯か細い声を絞り出すも、身体はスマッシュの言いなりとなってしまう。
それをカッツェは間近で観察し『クイックドロウ』を開始。
ミトと金髪縦ロールは少し離れたソファに掛け、赤ワインを手にしている。
「む」
「どうしたんだい? スマッシュ」
動きを止めた朱マッシュにミトが気づいた。
「ああ、どうにもこうにもこいつがマグロでな。これではイマイチ燃えないのだ。よいか、萌えないのではない。燃えないのだ」
「肉体を蹂躙する」を選択された敗者は、その身を一定時間勝者に蹂躙される。
要は、抵抗できないのだ。
だが、スマッシュとしては、このまま無抵抗の尻を掘るのは、作業でしかない。
「カッツェ、何か方法はないのかい? このままじゃクソゲー決定だよ」
「ちょっと待って下さいね、姉さま、スマッシュさん」
カッツェは得意の検索を始めた。
「あ、ありました! スマッシュさん、『肉体を蹂躙する』ウインドウの左下に、『ボリュームボタン』みたいなのが無いですか?」
「む、これか?」
スマッシュは自身のコマンドページをカッツェに見せる。
「そうです。それが『レジストボリューム』です。最小で無抵抗、最大でガチ抵抗ですよ! あと、このプレイ内でのライフポイントとメンタルポイントの減少は、『肉体を蹂躙する』イベント終了後に回復するそうです!」
「うむ」
スマッシュの満足そうな表情を受け、ミトはワインを舐めながら挑発した。
「当然、『ガチ抵抗』を選択するんだよね」
「当たり前だろう、ミト」
その直後、ベッドの上で金髪鬼と赤鬼の第二ラウンドが始まった。
金髪縦ロールは事情が飲み込めなかった。
目の前で金髪鬼と赤鬼が取っ組み合いをしている。
それはまるでレスリングのよう。
「テイクダウン」
金髪鬼のスキルとともに、知り合いの赤鬼が押し倒され、バックを取られる。
「よし、尻を出せ」
「やめろー!」
「むん!」
「ぐわあっ!」
その光景を美しいキャットガールが先程から熱心にスケッチし、横に座る妖艶ながらも幼さの残る女悪魔は、赤ワインを片手に、漢2人の織りなす世界を笑みを浮かべながら堪能している。
「何なのこの世界は……」
金髪縦ロールがそう呻く間も蹂躙は続く。
「おっす! おっす! おっす! おっす!」
「ぐわっ! ぐわっ! ぐわっ! ぐわっ!」
「ようやくスマッシュのポジションに入ったねえ」
「凄いよ姉さま! この赤鬼さんの表情!」
軽いノリの猫娘と女悪魔も含めて、金髪縦ロールは自身の前に広がる光景に震えが止まらない。
目の前で起きていることが理解できない。
彼女がどこにいるのか理解できない。
ただ、目の前で展開される光景に、身体が熱くなる。
ただ、耳に響く怒号と軽口に、心が熱くなる。
と、不意に彼女は背中を誰かに抱かれた。
「何だい? お前も興奮してきちゃったのかい?」
それは悪魔の囁き……。
◇『夜の部』の申し込みを受けますか? Yes/No ◇
「え?」
「『Yes』と念じな。金髪縦ロールちゃん」
金髪縦ロールは首筋への痛みとともに、深淵に引きずり込まれた。
連れ込み宿に向かう道中で、金髪縦ロールの美女が意を決したように、ミトに尋ねた。
「先程、そちらの鬼がユーシチローさんに何かするのを、みんなで見に行くとおっしゃいましたよね」
「言ったよ?」
「それって、おかしくないですか?」
「何で?」
どうも金髪縦ロールとミトの会話は噛み合わない。
するとカッツェが楽しそうに口を挟んできた。
「姉さま、この人は、スマッシュさんが赤鬼さんを掘るのを見に行くのがおかしいって言ってるんですよ!」
「だから何がおかしいんだい?」
素で不思議そうな表情のミトにカッツェも素の明るさで答えた。
「きっと、この金髪縦ロールさんって、ガチホモを見たことがないんですよ」
「ああ、そういうことかい」
妙に納得するミトと、明らかに論点をずらされて狼狽している金髪縦ロール。
「いえ、そうじゃなくて、あの、その、えっと、ホルですか? それを皆で見に行くってのは、それって、モラルとか、恥ずかしいとか……」
モジモジする金髪縦ロールにスマッシュは振り向いた。
「別に俺は見られても構わんぞ。それにカッツェの絵は上手だしな。後から思い出して余韻に浸るのにも非常に都合がよろしいのだ」
ミトも突き放す。
「同席するのが嫌なら外で待っていな」
カッツェも面倒くさそうだ。
「無理して見るものじゃないしね」
「いえ、私も参ります」
金髪縦ロールは己の常識がこの三人に通用しないことを痛感し、スマッシュに担がれているユーシチローは、己のこれからの運命を憂い、神に祈った。
そんなこんなで訪れた連れ込み宿。
「おばはん、一番広い部屋だ!」
「わかりました! すぐにご用意いたします!」
スマッシュの剣幕にすっかり押されたおばはんは、二時間一万ゼルの部屋を五千ゼルでスマッシュに提供する。
すぐに部屋のローテーブルに置かれたメニューを手に取りながらミトはソファに身体を沈めた。
「おや、ルームサービスがあるねえ。スマッシュ、カッツェ、何か飲むかい? 金髪縦ロールも良かったらどうだい?」
「俺とこいつは勝負後にビール漢ジョッキを頼む」
「姉さま、私もスケッチし終えてからパフェを食べたい」
それぞれのポジションを極めた二人は、ミトの方に振り返りもせずにオーダーをいれた。
オーガとキャットガールのサキュバスへの無礼な態度に金髪は身を固くするも、当のサキュバスは気にすることもなく注文を確認している。
「はいよ、で、そこの金髪はお前はあたしと同じワインでいいかい?」
家族が普通にホテルにチェックインするようなノリについていけない金髪縦ロールは、無言で頷くしか無かった。
「よし、尻を出せ」
スマッシュはユーシチローをベッドにうつ伏せに寝かせると、尻を上げさせる。
「やめてくれー」
ユーシチローは自由のきかない身体で精一杯か細い声を絞り出すも、身体はスマッシュの言いなりとなってしまう。
それをカッツェは間近で観察し『クイックドロウ』を開始。
ミトと金髪縦ロールは少し離れたソファに掛け、赤ワインを手にしている。
「む」
「どうしたんだい? スマッシュ」
動きを止めた朱マッシュにミトが気づいた。
「ああ、どうにもこうにもこいつがマグロでな。これではイマイチ燃えないのだ。よいか、萌えないのではない。燃えないのだ」
「肉体を蹂躙する」を選択された敗者は、その身を一定時間勝者に蹂躙される。
要は、抵抗できないのだ。
だが、スマッシュとしては、このまま無抵抗の尻を掘るのは、作業でしかない。
「カッツェ、何か方法はないのかい? このままじゃクソゲー決定だよ」
「ちょっと待って下さいね、姉さま、スマッシュさん」
カッツェは得意の検索を始めた。
「あ、ありました! スマッシュさん、『肉体を蹂躙する』ウインドウの左下に、『ボリュームボタン』みたいなのが無いですか?」
「む、これか?」
スマッシュは自身のコマンドページをカッツェに見せる。
「そうです。それが『レジストボリューム』です。最小で無抵抗、最大でガチ抵抗ですよ! あと、このプレイ内でのライフポイントとメンタルポイントの減少は、『肉体を蹂躙する』イベント終了後に回復するそうです!」
「うむ」
スマッシュの満足そうな表情を受け、ミトはワインを舐めながら挑発した。
「当然、『ガチ抵抗』を選択するんだよね」
「当たり前だろう、ミト」
その直後、ベッドの上で金髪鬼と赤鬼の第二ラウンドが始まった。
金髪縦ロールは事情が飲み込めなかった。
目の前で金髪鬼と赤鬼が取っ組み合いをしている。
それはまるでレスリングのよう。
「テイクダウン」
金髪鬼のスキルとともに、知り合いの赤鬼が押し倒され、バックを取られる。
「よし、尻を出せ」
「やめろー!」
「むん!」
「ぐわあっ!」
その光景を美しいキャットガールが先程から熱心にスケッチし、横に座る妖艶ながらも幼さの残る女悪魔は、赤ワインを片手に、漢2人の織りなす世界を笑みを浮かべながら堪能している。
「何なのこの世界は……」
金髪縦ロールがそう呻く間も蹂躙は続く。
「おっす! おっす! おっす! おっす!」
「ぐわっ! ぐわっ! ぐわっ! ぐわっ!」
「ようやくスマッシュのポジションに入ったねえ」
「凄いよ姉さま! この赤鬼さんの表情!」
軽いノリの猫娘と女悪魔も含めて、金髪縦ロールは自身の前に広がる光景に震えが止まらない。
目の前で起きていることが理解できない。
彼女がどこにいるのか理解できない。
ただ、目の前で展開される光景に、身体が熱くなる。
ただ、耳に響く怒号と軽口に、心が熱くなる。
と、不意に彼女は背中を誰かに抱かれた。
「何だい? お前も興奮してきちゃったのかい?」
それは悪魔の囁き……。
◇『夜の部』の申し込みを受けますか? Yes/No ◇
「え?」
「『Yes』と念じな。金髪縦ロールちゃん」
金髪縦ロールは首筋への痛みとともに、深淵に引きずり込まれた。
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