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何やら徒党を組んだ皆さん

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◇SeeYouAgain! ミト◇

 さてっと、夜更かしはお肌にはよくないけど、1日くらいはいいよね。
 トイレに行ってナイトケアを顔に馴染ませて、ああ忙しい。
 でも、ゲーム内でお酒を楽しめるなら、ここでビールを空けることもないわね。
 月額のゲーム料お支払いも、こう考えてみると結構お得感があるのかも知れないわ。

 次のセットでは、少なくとも1人はいたぶりたいわよね。
 まずは手近にカッツェちゃんからかしら。

◇SeeYouAgain! スマッシュ◇

 このゲームは最高だ。
 ロールプレイングゲームとしてもよくできている部類ではなかろうか。
 白豚のおっさんの怯えきった表情と泣き叫ぶ声は、まさしく俺が求めていたものの一つだ。
 この調子で美少年とガチムチも食っていきたいぜ。

 しかし、ミトの前立腺マッサージには驚いた。
 正直あれは良いものだった。
 強敵との戦いの後、娘どもにあれで癒してもらうのもありかもしれん。
 うむ、今度それとなく2人に頼んでみよう。
 さて、トイレトイレ。



◇SeeYouAgain! カッツェ◇

 やったわ、待望の「夜の部」実装よ!
 ミトお姉さまとスマッシュさん、絶対やってくれるわ、そうに違いないわ。
 ああ、早くトイレに行かなきゃ。
 でも、ミト姉さまって明らかに私を挑発しているわよね。
 それにスマッシュさんもガチの割に平気で私たちの前にお尻を出すし。

 あの二人に犯されちゃったらどうしよう!
 ああん、それもいいかも!
 やだ恥ずかしい!
 メモしとかなきゃ!

◇WelcomeTo"YellowGateOriginal" EnjoyYourViolentLife!◇

「む、言い出しっぺの俺が遅刻してしまったか?」

 ここは始まりの街イーディ。
 スマッシュは食堂でいつの間にか指定席になった場所に訪れるも、ミトとカッツェの姿はそこになかった。

 彼は一旦食堂を出ると、お仕事紹介所に向かってみる。
 あそこの掲示板を覗いていれば、そのうちミトとカッツェと合流できるだろう。

 現実世界では15分でも、ゲーム世界では結構な時間が経っている。
 道行くプレイヤーたちの人数も増えている。
 ところがなぜか初心者服を着た人間の美男美女が増えたような気がする。

 お仕事紹介所の前では、見知らぬプレイヤーがトレードの表示を出している。
 その内容はミトが掲示したものと同じものだ。

「あ、スマッシュさん。こっちこっち!」
 スマッシュは声の主の方を向いた。
「すまなかったな。言い出しっぺの俺が遅刻してしまった」
「問題ないさ、ところで、カッツェが面白い仕組みを見つけてね」

 カッツェが見つけたのは「クリーク」というシステムだ。
 
◇クリークについて◇

「クリーク」とは、ゲーム内でのグループの一つの単位です。
 同じクリークに所属するプレイヤーは、互いのログイン状況を知ることができます。
 同じクリークに所属するプレイヤーは、相手の合意のもと、相手のアビリティ他のデータを確認することができます。
 クリークは各街のお仕事紹介所に掲載され、新規メンバーを募集することも可能です。
 クリークを結成するには、十万ゼルが必要です。

「いわゆるクランシステムみたいなものか」
「そうだよ。で、カッツェが便利だからクリークを結成しないかと言ってきたから、ちょいと見に来たんだよ」
「ねえスマッシュさん、ミト姉さん、三人で『クリーク』を組んでみない?」
「俺は構わんが」
「ホモはともかく、子猫ちゃんと連絡が取れるのは便利だからね。結成料は私が出すよ」
 ということで、とんとん拍子にクリークの結成が決まった。

「姉さま、スマッシュさん、クリーク名を登録しなさいって」
「人外ズじゃなかったのか?」
 スマッシュの疑問にはすぐにカッツェが答えた。
「それはパーティ名だよ。クリーク名は別の方がいいよ」
 三人はしばし考え込んでしまう。

 するとミトが思い出したように顔をあげた。
「三人で獲った称号の『全てを楽しむ者』っていうのはどうだい?」
 ところがカッツェは今一つの表情だ。
「称号そのままってのも芸がなくないかなあ。それに他の誰かもその称号を取れちゃうかもしれないし」

「ならば『全てを喰らう者』でどうだ?」
 スマッシュからの何気ない提案にミトとカッツェは見事に食いついた。

「そしゃいいねえ。『全てを喰らう者エニシングイーター」かい」
「あ、それかっこいいわ! そうしましょうよ姉さま!」

◇クリーク名を入力してください◇

「全てを喰らう者 AnythingエニシングEaterイーター

◇登録料の十万ゼルをお支払いください◇

「はいよ」

◇支払者のミトを「クリークリーダー」に設定します◇

「なんだいそりゃ?」

 すると、三人のコマンドページに新たな項目が追加された。
 そこにはそれぞれの名前が記載されている。

「姉さま、スキルを見せてもらってもいい?」
「ああ、適当に眺めな」
 カッツェは興味本位にミトのスキルを見ていく。
 そして驚愕した。

「姉さま! 何よこのオートマチックスキルは!」
「何よってなんだい?」
「イレースマジックとレジストマジックって、姉さまが魔法に対してほぼ無敵ってことよこれ! 他のゲームじゃ上級呪文なのよ!」
「ああ、そうなのかい。それじゃ、おいおい使い方を教えておくれ」

 カッツェはもしかしたらと思って、スマッシュのスキルも確認していくと、ため息をついた。

「スマッシュさんのオートマチックスキルも無茶苦茶なんだけどさ」
「そうなのか?」
「なんで直接特別攻撃が自在に使用可能なのよ」
「そういうもんなのだろうな」

 カッツェは不意に理解した。
「ビシャスネス」と「ノーブルネス」がカンストしている本当の効果を。
 そして確信した。
 自分のオートマチックスキルである「キャッツアイ」と「キャッツステップ」も特別なものなのだろうと。

「細かいことは必要になった時でいいよ。カッツェ、まずは次の街に向かうよ」
「そうだな。新たな強敵を探さねばな」
 カッツェは「ほう」とため息をついてから、笑顔に戻った。

「うん、次の街に行こう! ミト姉さま! スマッシュさん!」
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