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2章

24 再会と虚しさと懐かしき初恋

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 数時間たって何かが家に入ってくる気配で目が覚めた。ショートソードだけ手元に出す。敵か?敵だったら殺す。

 姿は見えないが「誰だ?」と聞く。複数人。まだ部屋の外だ。

 遮光カーテン様子を見るにようやく日が暮れたといった時間だ。昇ってはいないはずだ。スキルの効果の能力の上昇度的に判断すると相手の数は10以上。

「その声、井戸か?」

「ああ。川本たちか。」

 オレは少しだけ警戒を緩めた。武器を身につけた同級生たちが部屋に入ってくる。電気だけは太陽光発電なので明かりがついた。電球は取り外していなかったらしい。眩しさに目がちかちかする。

 オレの姿を見ると口々に「お前本当に井戸か?」と問いただしてくる。

 同級生たちを【鑑定】で見てみると基本的に【殴る】と【物理攻撃】に極振りのようだ。オレは今寝たときのままの状態。上半身だけ起こしてショートソードを握っていた。

 裸だ。

 寝ているしずくさんの肢体をシーツでそっと隠す。

 今のオレは【超回復】のおかげで全身超トレーニングしたような状態だ。腹筋は割れているし、たくましく鋼のような筋肉がついていた。

「めっちゃ頑張った。」

「めっちゃどころじゃないような気がするが。」

「ん?そっちに抱えられているのは?」

 後ろにいた竹本が何かを抱えていた。丁度人の胴体のようなものを。

「東さんだ。」

 話を聞くと最初のスタンピードで両親を失い、逃げ込んだ先で四肢を失ったらしい。生き残った末、娼婦になったようだ。

 その頃になるとしずくさんも起きていた。

 あの東さんがな。中学に入ってから初めて恋した相手が東さんだった。東 百恵。あどけなさが残る笑顔が素敵だった。何で恋したんだったか。一目ぼれか。人柄か。

 少し話してみると違和感に気が付いた。話し方が幼い。小学生低学年と話しているようだった。それでいて性的なことを遊びだと思っているような印象だった。

 しずくさん曰く「【娼婦】のスキルがなければ廃人になっていても不思議ではない。むしろ、この状態で多少なりとも判断能力等があるのが奇跡。」なのだそうだ。

「東さん……。」

「まことくん。ずぼずぼ楽しいよ?」

 オレの中の何かが途切れた。時期から逆算してオレが施設にいたころからこの状態だったのだろう。

「…くっ……。……そうか。たくさんやろうな。」

「うん!」

 直視できなかった。オレの考えはまだ甘かったのだろうか。

 これが現実か。

 これが現実だ。

 ああそうだ。これこそが現実だ。

 目を背けてはならないのは理解できる。心がそれを受け入れきれなかった。

 ……巧く笑えただろうか。

 オレは服を着て外に出た。

 世界はとことん残酷で。無慈悲で。

 人のことが嫌いらしい。

 リビングに戻るとしずくさんは東さんと一緒に同級生たちと乱れていた。どうにでもなれとオレはその中に混ざった。東さんの中はしずくさんよりも緩かった。

 憧れだった東さん。

 太陽だった東さん。

 天使だった東さん。

 東さん。東さん。東さん……。

 その体は四肢を失いなされるがままだった。オレに前を犯され後ろも口にも入っていた。東さんはキャッキャとそれをよがり狂いながら快楽を享受していた。

 そのそれを喉の奥まで咥えるその表情は女だった。性に悦び性に生きる女だった。

 それにどう応えたらいいのかわからない。自分の中でも処理が追い付かない。だから激しく求めた。思考を放棄し、一時の快楽に身を任せ、甘い声を響かせた。

 そういう生物として。そういうものとしてオレは応えた。

 同じ穴に二本刺さったり、ハードなことをやっても喜びに満ちた嬌声が帰ってくる。

 今は愛おしいとは思えない。だが、それでいと思う自分がいた。

 オレは快楽におぼれた。忘れるように。諦めるように。言い聞かせるように。塗りつぶすように求めた。

 オレは主人公じゃない。ならこれでいいじゃないか。

 オレたちは明け方までその行為に酔いしれた。誰ともなく満足して眠り、東さんたちが気絶しても犯した。吐き出したい劣情を本能のままにむき出しにして獣となった。
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