上 下
6 / 48
1章

6 どうしようもない朝の一発目

しおりを挟む
 翌日だか翌朝だかよくわからんが目が覚めた。

    当然、時刻はわからない。

    体はバッキバキに筋肉痛だ。この部屋に魔物は発生していない。壊滅後のモンスターハウスは安全ということだろうか。

 栄養のある木の実を齧り水で流す。このままでは戦闘に支障をきたすのでストレッチなどをすると幾分かましになった。

 昨日手に入れた軽鎧を身につけて動いてみるとさほど違和感はなかった。

 選んだ新しいショートソードを腰に挿して気合を入れなおす。

    通路への道は入ってきた壁を少し叩くとすぐに崩れて姿を現した。

「ぎぃゃぁ?」

「いきなりかよ!?」

 丁度その時運悪く通路にいたゴブリンが襲い掛かってくる。オレは驚きつつも盾で棍棒を流し、ゴブリンの不用心に開いた体に、ショートソードを突き刺す。

    間抜けなゴブリンはあっけなく栄養のある木の実3個に変わった。

    本当に呆気なかった。

「スキルレベルを上げたおかげ?」

 刺したとき非常にスムーズだったのは気のせいだろうか。それに、ショートソードの刃を見てみるがどこにも傷はついてはいなかった。

    ドッロップしたものを回収して気を取り直す。

 ここはダンジョンだ。

 気を抜いた者から死んでゆくと自分に言い聞かせる。

 相変わらずの黒みがかった床だ。壁も同じだ。

 見飽きるようなそれらの凸凹に罠があるのではないのかと警戒しながら紫色の光に照らされ、奥へと進む。

    何の面白みはないが警戒だけは怠ることが出来ない。目だけではない。耳も使う。

「ん?足音?」

 暫くすると足をするような足音が聞こえた。それも恐らく複数。何かを引きずっているようだった。

 オレは盾を構え、ショートソードを体の後ろに隠すように構える。

「ま、待ってくれ、俺たちは人間だ!」

 姿を視認できるようになった彼らは、声を上げながら走ってくる。人数は三人。大学生くらいの男二人に背中に背負われた女が一人。

    男の内、女を背負っていない方は足を引きずって槍を杖にするような形で走っていた。

 よく見ると後ろからはゴブリン3体ほどが、狩りを楽しむかのように追いつくか追い付かないといった形で追い立てていた。既に20メートルもないが一応聞いておこう。

「助けは必要っすか?」

「頼む!!」

 額から汗を垂らし、女の人を背負った人と目が合う。オレは庇うように前に出た。

    ゴブリンたちも追いつくと足を止めて下衆な笑みを浮かべている。手には等しく棍棒。一つは血に濡れていた。

    そういえば背負われた女の人が頭から血を流していた。その人だったらよくもまあ身長差のある相手に頭を殴られたものである。

 考察は後にして目の前の敵に集中だ。前の方にいたゴブリンは歩調を緩めながら乱入者たるオレに邪魔をするなとばかりに無暗矢鱈に棍棒を振り回す。

    振り切ったところに盾を押し付けて行動できなくしてから押し倒す。とどめはさせないものの頭を打ち付けたようで棍棒を手放し両手で抑えて蹲っている。

    その間に残り二体が襲い掛かってくる。攻撃される前に一端下がると同時にかかって来たので、片方の攻撃を盾で壁に抑えることで防ぎつつ、もう片方のゴブリンを右手のショートソードで突き刺す。

    狙ったのは腹。装備をなにもしていなかったので呆気なく刺さる。

 しかし、それで殺せるものでもない。左手の盾で抑えているゴブリンの抵抗は激しい。

    オレは胴体からねじる様にして突き刺した剣をひねる。そして引き抜いた。そのゴブリンは口から血を流して倒れる。

 盾で押さえつけたままのゴブリンはそのまま地面に盾を壁のようにして倒す。そのまま胴体を踏んでショートソードを首に刺した。

    足元のゴブリンは消え去り、残るゴブリンも同じように処理した。

 ドロップは低級ポーション3個だった。

【No125,431,112偉業の達成 15ポイント獲得】
【No125,431,112【数量増加2】の効果により追加 30ポイント獲得】
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

[R18] 激しめエロつめあわせ♡

ねねこ
恋愛
短編のエロを色々と。 激しくて濃厚なの多め♡ 苦手な人はお気をつけくださいませ♡

チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい

616號
ファンタジー
 不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。

孕ませねばならん ~イケメン執事の監禁セックス~

あさとよる
恋愛
傷モノになれば、この婚約は無くなるはずだ。 最愛のお嬢様が嫁ぐのを阻止? 過保護イケメン執事の執着H♡

嫌われ者の悪役令息に転生したのに、なぜか周りが放っておいてくれない

AteRa
ファンタジー
エロゲの太ったかませ役に転生した。 かませ役――クラウスには処刑される未来が待っている。 俺は死にたくないので、痩せて死亡フラグを回避する。 *書籍化に際してタイトルを変更いたしました!

ただしい異世界の歩き方!

空見 大
ファンタジー
人生の内長い時間を病床の上で過ごした男、田中翔が心から望んでいたのは自由な世界。 未踏の秘境、未だ食べたことのない食べ物、感じたことのない感覚に見たことのない景色。 未だ知らないと書いて未知の世界を全身で感じることこそが翔の夢だった。 だがその願いも虚しくついにその命の終わりを迎えた翔は、神から新たな世界へと旅立つ権利を与えられる。 翔が向かった先の世界は全てが起こりうる可能性の世界。 そこには多種多様な生物や環境が存在しており、地球ではもはや全て踏破されてしまった未知が溢れかえっていた。 何者にも縛られない自由な世界を前にして、翔は夢に見た世界を生きていくのだった。 一章終了まで毎日20時台更新予定 読み方はただしい異世界(せかい)の歩き方です

処理中です...