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4.お姉様と水の都セシル
81.お姉様と触手
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「きゃああああ!!」
見ると、人の三、四倍はありそうな巨大タコの脚が女の子の身体をヌメヌメと這い、締め付けている。
「お姉様!」
「ああ。斧よ来い!」
目はタコを見つめていたが、斧が手の中に現れたのが感触で分かった。砂を蹴る。振り上げる腕。
巨大タコに向かって飛んだ俺は、女の子の身体を締め上げる脚を、斧の一振りで切り落とした。
ザグリ!
弾力のある、ゴムみたいな手応え。
「きゃあああああ」
タコの腕に絡み取られたまま、女の子が落ちてくる。
「......よっと」
俺は女の子の細い体をお姫様抱っこでキャッチした。
「あ、ありがと......助かりました!」
女の子の顔がほのかに赤くなる。
日に焼けた肌。ポニーテールにしたオレンジの髪。スレンダーな体を包むボーダーのキャミソールに白のショートパンツ。
活発そうで、どこか少年のような印象も受けるが、クリクリとした大きな目が可愛いらしい子だ。
「もう......お姉様ったら!」
モアはブツブツ言いながら、くまさんステッキを取り出す。
「えっとえっと......フレイムウォール!」
最近ではモアは火の玉の魔法、ファイアーボールだけでなく、広範囲を焼き尽くすフレイムウォールも使えるようになった。
威力は相変わらず普通より強いが、それでも自分に被害が及ばない程度。大分魔力コントロールも上達したみたいだ。
くまさんステッキから溢れだした炎は、タコの頭を焼き焦がす。辺りを海産物の焼けるいい匂いが包む。あー、美味そう......じゃなくて!
「グオオオオオオ」
タコが苦しげに蠢く。今がチャンスだ。
斧を再び構える。
「うおおおおおおおおおお!!」
斧を振り上げる。程よい空気抵抗。斧の刃が夏の日差しをキラリと反射する。
「――でやあ!!」
弾ける水しぶき、飛び散るタコの体液。切り裂く肉の感触。
タコは真っ二つに割れた。
鳴き声とも呻き声ともつかない不気味な声が浜辺に響く。やがてタコは、海の中にゆっくりと沈んでいったのであった。
*
「助けてくれてありがとうございます! あたいはアンと言います」
ポニテちゃんが右手を差し出してくる。
俺は笑いながらその手を握り返した。
「いやいや、あれぐらい大したことないよ。あ、俺はミア。こっちは妹のモア」
「そうでしたか! いやー、強いんんですね、ミアさん。感動しました。もし良かったら姉御と呼んでもいいでしょうか!?」
アンがキラキラとした瞳で俺を見つめてくる。
「いや......姉御はちょっと」
何かゴツすぎない!?
「そうよ。お姉様はお姉様なんだから。ねー、お姉様」
「なるほど、ではお姉様で」
納得したように頷くアン。
いや何でそうなる?
「ならいいの」
何故か満足げにするモア。どうやら妹がどんどん増えていくことに快感を覚えてきたらしい。よく分からん。
「――アン!」
俺たちが挨拶をしていると、遠くから黒く長い髪の女性が駆けてきた。
黒いビキニに黒いミニスカートを穿いたグラマラスな人だ。
額には大きな傷があるが、それでも彼女の美しさは損なわれていない。
「メリッサ!」
アン、と呼ばれたポニーテールの女の子が顔を上げた。二人は知り合いのようだ。
「良かった、無事だったのね」
二人は手を取り喜び合う。
それにしても、このメリッサって子、マロンにも負けず劣らずといった感じのすげー乳だ。
しかも地味な服装だったマロンと違って露出度も高いし、そのボリュームで走ったり飛んだりするもんだから上下左右に暴れるの何のって。
「お姉様!」
ゴホン、と咳払いをするモア。
横目でじろりと睨まれる。
「はは......」
どうして俺が胸に見とれていたことがバレたんだよ。
「この人があたいを助けてくれたんです!」
アンがメリッサに俺たちを紹介する。
「それはそれは......アンは私たちの仲間なの。助かったわ」
メリッサは色っぽく黒髪を書き上げる。ぼいんぼいんと揺れる巨乳。
「いやいや、無事でよかった」
俺は揺れる乳に向かって話しかけた。モアがまたしてもジロリと睨む。
な、なんだよー!!
気を取り直して辺りを見回す。なるべく風景を見て乳を見ない作戦だ。
「でもこの浜、綺麗に見えるけどモンスターが出るんだな。海賊も出るっていうし、色々と物騒だぜ」
メリッサとアンが顔を見合わせる。
「いや......そうね」
「ははは......」
......何だ?
「いえ、何でもないわ。そうだ、お礼と言っては何だけど、君たちを晩餐にでも招待したいの。この後時間はあるかしら?」
メリッサが提案してくる。
晩餐?
俺とモアは顔を見合わせた。
「へぇ、そいつはありがたい。時間なら大丈夫だよ。なあ、モア」
「うん」
モアと二人で頷き合う。どこかお屋敷にでも招待してくれるんだろうか。
すると口の端を妖しげに上げ、メリッサが笑う。
「来てくれるの? 良かった。私たちは『グレイス海賊団』って言うんだけど」
「え」
「大丈夫、海賊と言ってもみんないい人たちばかりです」
アンが慌てて付け足す。
「船長も男には厳しいけど、女の子にはやさしいですし」
「そうそう、来てくれたらきっと船長も喜ぶわ。着いて来て頂戴」
え......えええ!? 海賊!?
見ると、人の三、四倍はありそうな巨大タコの脚が女の子の身体をヌメヌメと這い、締め付けている。
「お姉様!」
「ああ。斧よ来い!」
目はタコを見つめていたが、斧が手の中に現れたのが感触で分かった。砂を蹴る。振り上げる腕。
巨大タコに向かって飛んだ俺は、女の子の身体を締め上げる脚を、斧の一振りで切り落とした。
ザグリ!
弾力のある、ゴムみたいな手応え。
「きゃあああああ」
タコの腕に絡み取られたまま、女の子が落ちてくる。
「......よっと」
俺は女の子の細い体をお姫様抱っこでキャッチした。
「あ、ありがと......助かりました!」
女の子の顔がほのかに赤くなる。
日に焼けた肌。ポニーテールにしたオレンジの髪。スレンダーな体を包むボーダーのキャミソールに白のショートパンツ。
活発そうで、どこか少年のような印象も受けるが、クリクリとした大きな目が可愛いらしい子だ。
「もう......お姉様ったら!」
モアはブツブツ言いながら、くまさんステッキを取り出す。
「えっとえっと......フレイムウォール!」
最近ではモアは火の玉の魔法、ファイアーボールだけでなく、広範囲を焼き尽くすフレイムウォールも使えるようになった。
威力は相変わらず普通より強いが、それでも自分に被害が及ばない程度。大分魔力コントロールも上達したみたいだ。
くまさんステッキから溢れだした炎は、タコの頭を焼き焦がす。辺りを海産物の焼けるいい匂いが包む。あー、美味そう......じゃなくて!
「グオオオオオオ」
タコが苦しげに蠢く。今がチャンスだ。
斧を再び構える。
「うおおおおおおおおおお!!」
斧を振り上げる。程よい空気抵抗。斧の刃が夏の日差しをキラリと反射する。
「――でやあ!!」
弾ける水しぶき、飛び散るタコの体液。切り裂く肉の感触。
タコは真っ二つに割れた。
鳴き声とも呻き声ともつかない不気味な声が浜辺に響く。やがてタコは、海の中にゆっくりと沈んでいったのであった。
*
「助けてくれてありがとうございます! あたいはアンと言います」
ポニテちゃんが右手を差し出してくる。
俺は笑いながらその手を握り返した。
「いやいや、あれぐらい大したことないよ。あ、俺はミア。こっちは妹のモア」
「そうでしたか! いやー、強いんんですね、ミアさん。感動しました。もし良かったら姉御と呼んでもいいでしょうか!?」
アンがキラキラとした瞳で俺を見つめてくる。
「いや......姉御はちょっと」
何かゴツすぎない!?
「そうよ。お姉様はお姉様なんだから。ねー、お姉様」
「なるほど、ではお姉様で」
納得したように頷くアン。
いや何でそうなる?
「ならいいの」
何故か満足げにするモア。どうやら妹がどんどん増えていくことに快感を覚えてきたらしい。よく分からん。
「――アン!」
俺たちが挨拶をしていると、遠くから黒く長い髪の女性が駆けてきた。
黒いビキニに黒いミニスカートを穿いたグラマラスな人だ。
額には大きな傷があるが、それでも彼女の美しさは損なわれていない。
「メリッサ!」
アン、と呼ばれたポニーテールの女の子が顔を上げた。二人は知り合いのようだ。
「良かった、無事だったのね」
二人は手を取り喜び合う。
それにしても、このメリッサって子、マロンにも負けず劣らずといった感じのすげー乳だ。
しかも地味な服装だったマロンと違って露出度も高いし、そのボリュームで走ったり飛んだりするもんだから上下左右に暴れるの何のって。
「お姉様!」
ゴホン、と咳払いをするモア。
横目でじろりと睨まれる。
「はは......」
どうして俺が胸に見とれていたことがバレたんだよ。
「この人があたいを助けてくれたんです!」
アンがメリッサに俺たちを紹介する。
「それはそれは......アンは私たちの仲間なの。助かったわ」
メリッサは色っぽく黒髪を書き上げる。ぼいんぼいんと揺れる巨乳。
「いやいや、無事でよかった」
俺は揺れる乳に向かって話しかけた。モアがまたしてもジロリと睨む。
な、なんだよー!!
気を取り直して辺りを見回す。なるべく風景を見て乳を見ない作戦だ。
「でもこの浜、綺麗に見えるけどモンスターが出るんだな。海賊も出るっていうし、色々と物騒だぜ」
メリッサとアンが顔を見合わせる。
「いや......そうね」
「ははは......」
......何だ?
「いえ、何でもないわ。そうだ、お礼と言っては何だけど、君たちを晩餐にでも招待したいの。この後時間はあるかしら?」
メリッサが提案してくる。
晩餐?
俺とモアは顔を見合わせた。
「へぇ、そいつはありがたい。時間なら大丈夫だよ。なあ、モア」
「うん」
モアと二人で頷き合う。どこかお屋敷にでも招待してくれるんだろうか。
すると口の端を妖しげに上げ、メリッサが笑う。
「来てくれるの? 良かった。私たちは『グレイス海賊団』って言うんだけど」
「え」
「大丈夫、海賊と言ってもみんないい人たちばかりです」
アンが慌てて付け足す。
「船長も男には厳しいけど、女の子にはやさしいですし」
「そうそう、来てくれたらきっと船長も喜ぶわ。着いて来て頂戴」
え......えええ!? 海賊!?
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