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3.お姉様と木都フェリル
58.お姉様とつかの間の休息
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全てが終わり、俺はマロンの別荘で死んだように寝たり起きたりゴロゴロして過ごしていた。
「お姉さまー? まだ寝てるの?」
モアがベッドで寝ている俺に抱きつく。そういうモアこそずっとネグリジェのままだ。
「うーん、ちょっと疲れちゃったみたいで」
「お姉さまいっぱい活躍したもんね! えらい、えらい♡」
俺の頭をナデナデするモア。あー、なんだか元気が出てきたぞ!
「モアも頑張ったな! えらい、えらい♡」
「お姉さま~♡」
「えらい♡えらい♡」
俺たちが互いに撫で撫でぎゅっぎゅしていると、急にノックの音がし、ガチャリとドアが開いた。
「おーい、マロンが一緒に薔薇祭りに行こうって」
あほ面をしたゼットが入ってくる。しかし俺たちの格好を見たゼットは顔を赤くし慌ててドアを閉めた。
「終わっ!? 悪い! さっさと着替えて出てこいよなっ!」
あ、あいつ!
モアの可愛いネグリジェ姿を見やがったな~!!
「クソッ! あいつめ!!」
怒って部屋を飛び出ようとする俺を慌ててモアが止める。
「お、お姉さま! せめて服を着て!!」
ん? そういえば俺、下着姿だったな。自分の体に視線をやると白いパンツが見えた。
適当にその辺にあったワンピースを着て外に出る。
「こらあ! ゼット!!」
逃げようとしたゼットのシャツを掴んで捕まえる。
「ゲゲッ! わ、わざとじゃねーよ!」
「わざとであってたまるか! 全く、可愛いモアのパジャマ姿を覗きやがって!」
ゼットはキョトンとした顔をする。
「いや、お前の下着姿はいいのかよ!」
あー、そういえば、俺も下着姿を見られてたんだっけ。
「なんだお前、俺の下着姿に欲情してたのか! それならそうと」
俺がニヤニヤしながら言うと、ゼットは真っ赤になって反論する。
「バ、バッカ! ンなわけねーだろ! お前みたいな男女!」
ガチャリとドアが開きマロンが出てくる。
「あら、こんな所にいたんですのお姉さま! 一緒に薔薇祭りに出かけませんこと? お揃いのドレスも用意しましてよ!」
マロンの手には薔薇祭りで娘たちが着る伝統的な衣装があった。
六百年前に流行したその衣装は、白いブラウスに赤や緑の原色で丈が長いスカート、白いエプロンと腰には茶色いベルトが巻かれていて、ちょっとメイド服みたいな感じだ。頭には花のついたカチューシャをつけるのが習わし。
今は原色よりも少しくすんだ色を着る人がほとんどだし、丈の短いスカートが流行で長いスカートはなかなか見かけないのだが、これはこれでレトロで可愛らしい。
俺は緑の衣装を着て、鏡の前でくるりと一周した。
「いやーん、お姉さま、似合うわあ!」
オレンジ色のドレスを着たマロンが顔をほころばせる。
「お姉さま、可愛いーー!!」
水色のドレスを着たモアも飛び跳ねる。いやいや! モアのほうが可愛いぞ!
「こんにちはー! お姉さま、いますか?」
「来てやったぞ。何か奢れ」
そこへアオイとヒイロもやってくる。2人も赤と紺の似たような服を着ている。
「2人がお姉さまのお友達ね! さあさあ上がって下さいませ」
マロンがなぜか正妻のようなモードで二人を案内する。
「お姉さまって……あんたまた女の子をたらしこんだのか」
ヒイロが怪訝そうな顔をする。
「さすがお姉さまですっ!」
アオイがニコニコと言うと、マロンが一瞬アオイのほうを「コイツもライバルか?」という目で見た。
もう~これ以上ややこしいことはやめてくれよ!
「違うのよ、アオイは他に好きな男の子がいるんだから」
モアがこっそりとマロンに耳打ちする。何言ってるんだ? まあ、アオイが面倒ごとに巻き込まれないならそれでいいんだけどさ。
「そういえばアオイ、今日は凄い胸盛ってんな」
俺はアオイの胸を見つめた。そこにはおよそ男の物とは思えない立派な膨らみがあった。
「ええ、この衣装、胸が大きい方が映えるので」
俺はアオイの胸を掴んで揺らした。すげーリアルだ。
「すげーリアルだな。こんなに沢山何詰めてんだ?」
「スライムです」
「は?」
「スライムです。女装用スライム」
アオイはにこやかに言う。そんなものまであるとは、異世界の女装は奥が深い……。
「だったらヒイロも少し詰めた方がいいんじゃないか?」
俺はヒイロの体をじっと見つめる。アオイと並ぶとどっちが男だかわからないような体型だ。
「失礼な。私は女装じゃないからそんなの要らないんだよ」
「ヒ、ヒイロ姉さんはお尻と太ももで勝負してるから……」
アオイが良く分からないフォローをする。勝負って、一体何と戦ってるんだよ。
奥の部屋からゼットも出てくる。
「おー、みんな着替えたな?」
どこに行ったのかと思っていたらゼットも着替えていたらしい。茶色い皮のパンツに白いシャツ、胸に薔薇を飾りハットを被った伝統衣装に身を包んでいる。
「よし、皆で祭に繰り出そうぜ!」
こうして俺たちは皆で薔薇祭りにくり出したのであった。
「お姉さまー? まだ寝てるの?」
モアがベッドで寝ている俺に抱きつく。そういうモアこそずっとネグリジェのままだ。
「うーん、ちょっと疲れちゃったみたいで」
「お姉さまいっぱい活躍したもんね! えらい、えらい♡」
俺の頭をナデナデするモア。あー、なんだか元気が出てきたぞ!
「モアも頑張ったな! えらい、えらい♡」
「お姉さま~♡」
「えらい♡えらい♡」
俺たちが互いに撫で撫でぎゅっぎゅしていると、急にノックの音がし、ガチャリとドアが開いた。
「おーい、マロンが一緒に薔薇祭りに行こうって」
あほ面をしたゼットが入ってくる。しかし俺たちの格好を見たゼットは顔を赤くし慌ててドアを閉めた。
「終わっ!? 悪い! さっさと着替えて出てこいよなっ!」
あ、あいつ!
モアの可愛いネグリジェ姿を見やがったな~!!
「クソッ! あいつめ!!」
怒って部屋を飛び出ようとする俺を慌ててモアが止める。
「お、お姉さま! せめて服を着て!!」
ん? そういえば俺、下着姿だったな。自分の体に視線をやると白いパンツが見えた。
適当にその辺にあったワンピースを着て外に出る。
「こらあ! ゼット!!」
逃げようとしたゼットのシャツを掴んで捕まえる。
「ゲゲッ! わ、わざとじゃねーよ!」
「わざとであってたまるか! 全く、可愛いモアのパジャマ姿を覗きやがって!」
ゼットはキョトンとした顔をする。
「いや、お前の下着姿はいいのかよ!」
あー、そういえば、俺も下着姿を見られてたんだっけ。
「なんだお前、俺の下着姿に欲情してたのか! それならそうと」
俺がニヤニヤしながら言うと、ゼットは真っ赤になって反論する。
「バ、バッカ! ンなわけねーだろ! お前みたいな男女!」
ガチャリとドアが開きマロンが出てくる。
「あら、こんな所にいたんですのお姉さま! 一緒に薔薇祭りに出かけませんこと? お揃いのドレスも用意しましてよ!」
マロンの手には薔薇祭りで娘たちが着る伝統的な衣装があった。
六百年前に流行したその衣装は、白いブラウスに赤や緑の原色で丈が長いスカート、白いエプロンと腰には茶色いベルトが巻かれていて、ちょっとメイド服みたいな感じだ。頭には花のついたカチューシャをつけるのが習わし。
今は原色よりも少しくすんだ色を着る人がほとんどだし、丈の短いスカートが流行で長いスカートはなかなか見かけないのだが、これはこれでレトロで可愛らしい。
俺は緑の衣装を着て、鏡の前でくるりと一周した。
「いやーん、お姉さま、似合うわあ!」
オレンジ色のドレスを着たマロンが顔をほころばせる。
「お姉さま、可愛いーー!!」
水色のドレスを着たモアも飛び跳ねる。いやいや! モアのほうが可愛いぞ!
「こんにちはー! お姉さま、いますか?」
「来てやったぞ。何か奢れ」
そこへアオイとヒイロもやってくる。2人も赤と紺の似たような服を着ている。
「2人がお姉さまのお友達ね! さあさあ上がって下さいませ」
マロンがなぜか正妻のようなモードで二人を案内する。
「お姉さまって……あんたまた女の子をたらしこんだのか」
ヒイロが怪訝そうな顔をする。
「さすがお姉さまですっ!」
アオイがニコニコと言うと、マロンが一瞬アオイのほうを「コイツもライバルか?」という目で見た。
もう~これ以上ややこしいことはやめてくれよ!
「違うのよ、アオイは他に好きな男の子がいるんだから」
モアがこっそりとマロンに耳打ちする。何言ってるんだ? まあ、アオイが面倒ごとに巻き込まれないならそれでいいんだけどさ。
「そういえばアオイ、今日は凄い胸盛ってんな」
俺はアオイの胸を見つめた。そこにはおよそ男の物とは思えない立派な膨らみがあった。
「ええ、この衣装、胸が大きい方が映えるので」
俺はアオイの胸を掴んで揺らした。すげーリアルだ。
「すげーリアルだな。こんなに沢山何詰めてんだ?」
「スライムです」
「は?」
「スライムです。女装用スライム」
アオイはにこやかに言う。そんなものまであるとは、異世界の女装は奥が深い……。
「だったらヒイロも少し詰めた方がいいんじゃないか?」
俺はヒイロの体をじっと見つめる。アオイと並ぶとどっちが男だかわからないような体型だ。
「失礼な。私は女装じゃないからそんなの要らないんだよ」
「ヒ、ヒイロ姉さんはお尻と太ももで勝負してるから……」
アオイが良く分からないフォローをする。勝負って、一体何と戦ってるんだよ。
奥の部屋からゼットも出てくる。
「おー、みんな着替えたな?」
どこに行ったのかと思っていたらゼットも着替えていたらしい。茶色い皮のパンツに白いシャツ、胸に薔薇を飾りハットを被った伝統衣装に身を包んでいる。
「よし、皆で祭に繰り出そうぜ!」
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