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3.お姉様と木都フェリル

39.お姉様と装備

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 俺とモアがションボリとしていると、お姉さんは「少々お待ちください」と言って奥の箱から宝石のついた高そうな杖を取り出した。

「こちらは上級魔法使い向けの品なんですが、上についている魔法石に魔力を溜めることで魔力の消費を抑えることができます」

 俺はちらりと値段を見た。70万フェル。だめだ。とても払える金額じゃない。

「もうちょっと安いのは……」

「そ、そうですね」

 お姉さんはゴソゴソと積み上がった箱の中を探し始める。

「あ、ありました! これはアレスシアに住む有名な魔女が愛娘のために作ったとされるものなのですが、魔力コントロールのしにくい子供の為に、魔力の出力量を一定に保つ機能がついておりまして」

「へー、どれどれ」

 しかし、その杖を見た俺とモアは思わず固まってしまう。

 竹でできたその杖はピンクとシロのペンキで雑に色付けされており、その先端には汚い熊の飾りがついている。
 どう見ても子供のおもちゃ、それも4、5歳が持つような子供っぽさである。モアにはちょっと、いやかなり幼すぎる。

「お値段もお手頃なんですよ! たった300フェルです」

 確かにそれは他の杖に比べたら安い。でも、こんな手作り感満載なちゃちで子供っぽい杖にそれだけ出せるか!? モアをちらりと見る。

「お姉さま、モア、これ買う!」

 なんと、モアは子供っぽくてダサいこの杖を買うと言い出した。

「だって安いし、これがあれば魔力を抑えられるんでしょ? モア、お姉さまの役に立ちたいし、子供っぽい杖でも頑張る!」

 そう言って笑うモア。
 ああ、なんていじらしいんだ!

 モアはクマさんステッキを買い、初級の魔法書も買った。それでもお金はまだ少し余っている。

「一緒にこちらの商品もいかがですか? 今人気ですよ」

「これは……」

 お姉さんが出してきたのはドングリや木の実をかたどったビーズのネックレスだった。俺たちが街に来たばっかりのころに出店で買ったあのネックレスと同じものだ。

 しかも、俺たちは100フェルで買ったのに、この店では50フェルで売ってるじゃねーか! あの親父、何が「負けてやる」だよ、騙したなー!!

「ではこちらは?」

 お姉さんが次に出してきたのは、白いゴワゴワした安くさい手袋だった。
 うん、何か俺、こういうの見たことあるぞ。これはあれだ、向こうの世界で言う軍手ってやつだ。

「パワーをプラスする効果もついてますし、お値段たったの50フェルでお得ですよ!」

「買おうよ! お姉さまも折角だから何かアイテムを買ったほうがいいよ!」

 そうモアが言うので、しょうがなく俺は軍手を購入した。まあ、これはこれで、重いものとか持つ時に便利かも知れないな。


 こうして俺は、軍手を装備したのであった!
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