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2.お姉様と国境の町

28.お姉様とスイカバスト

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「ルーラ! こっちを見なさい!」

 マロンが立ち上がる。頼む。うまいこと相手を引き付けてくれよな!

「んあ!?」

 ルーラの視線がマロンに行く。そしてマロンはそのまま、勢い良くシャツの前をはだけた。

「よく見なさい!! これが、スイカと同じサイズのバストよ!!」

 垂直跳びをしてボインボインとバストを揺らすマロン。

「ぬおーーっ!!」

 ルーラが興奮して声を上げる。

 いやいや! 確かにルーラの気は引き付けてるけど、それでいいのか!?

「ま、いっか」

 俺はすっかりマロンの乳に夢中になっているルーラの手を蹴りあげた。
 カランカラン、と地面に転がるナイフ。

「し、しまった!」

 この隙に、モアは機敏な仕草でルーラの腕から逃げる。

「あ、待てこら!」

「いかせねーよ!!」

 モアを追いかけようとするルーラを遮ると、俺は回し蹴りを放った。

「ぐっ」

 膝をつき、苦しげにうめくものの、なんとか堪えるルーラ。ちっ、相変わらず脂肪の塊が邪魔をする。ちょっと浅かったか。

「じゃあ、これはどうだ!」

 俺はうずくまったルーラに踵落としを決めてやった。
 体は脂肪の塊で技の威力を吸収されてしまうが、流石に頭への守りは薄かったらしい。これが決め手になり、ルーラは気を失い動かなくなる。

「うっし☆ 決まったぜ!」

「お姉さますごーい!!」

 俺がウインクすると、モアが大喜びで拍手をした。

「良かったです……!」

 マロンも目をハンカチで押さえ涙ぐんでいる。

「マロンも、ありがとう。よく頑張った」

 俺がマロンの肩に手をやり微笑むと、マロンの顔は見る見るうちに真っ赤になった。

「いっ、いえ! あ、あ、あれぐらい、何ともないですっ!」

 パッ、と俺から離れるマロン。

「いやだわ……私ったら……女の人相手にこんな……」

 その様子を見ていたモアが、ぷう、と頬を膨らませる。

「もう! お姉さまったら、また女の子をたらし込んでー!」

「たらし込んでねーよ!」

 何故か必死に弁解する俺。
 まあ、いくら女の子をたらし込んでも、俺は女だから女の子と結ばれることは出来ないんだがな! 悲しいぜ! ああ......なんで女なんかに生まれたんだか。まあ、ぼいんぼいんのバストが見れたからいいかな。



 俺はルーラとガントを縄で縛ると、伝書鳩に警察への救援依頼をつけて放った。

「さて、女の子たちも開放したし、警察が来る前に金目のものでも漁っておくか」

「うんっ!」

 ちなみにだが、俺たちが王宮から持ってきた資金は全て盗まれてる。
 だが屋敷中を探し回ってもそれらしきものは全く見つからない。
 もしかして、俺たちの荷物や財布は食堂で出会ったあのチャラ男たちに盗まれたのだろうか?

「クソッ! お気に入りの財布だったのに!」

 俺は縄でグルグル巻きにされたルーラの胸元をまさぐると、金ピカに光る悪趣味なルーラの財布を抜き取った。

「しょうがない、これを旅の資金にするか」


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