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三章 Renewal
六月 <課題> 2
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好調なスタートを切ったかのようにみえた
探偵団の活動だったが、
それも十日を過ぎると陰りが見え始めた。
子供の調査能力には限界があったし、
おまけに子供は飽きるのも早い。
三人はすでにボス猿の調査に興味をなくしていた。
たしかに漠然とボス猿を調査したところで、
そうそう話題性のある情報は掴めないだろう。
そこで俺は三人に洋が見たという
葉山の涙の原因を探ることを提案した。
「でも、僕、
彼女のことはまったく知らないし・・」
「俺も仲が良かったわけじゃないからなぁ」
「私もクラスが変わってからは
一度も話をしたことがないわ。
そういえば葉山さん、
最近は学校も休みがちみたいよ」
三人は俺の提案にあまり乗り気ではなかった。
「ねえ、
奥川さんに聞けばいいんじゃないかしら?」
奥川という名前に俺はドキッとした。
「前にも話したと思うけど、
奥川さんと葉山さんは幼馴染なのよ」
たしかにそれは手っ取り早い方法だったが、
それはかなり気が重かった。
「そういえば、あっくん。
最近、奥川と一緒にいないよな」
「それ、僕も思ってた」
洋の言葉に翔太がポンと手を叩いた。
いずれわかることだし、
俺は三人に奥川との関係が終わったことを話した。
「そっか」
「そうなのね。
それで奥川さん、最近元気がないのね」
「うーん、ま、
男女のことは二人にしかわからないからな」
翔太と茜は悲しげな表情を浮かべ、
洋は大人びたことを言った。
「辛いとは思うけど、あっくん、元気を出しなよ」
「そうだぜ。
俺達は仲間なんだから、
辛いときは何でも相談しろよな」
「世の中素敵な女性は奥川さんだけじゃないわよ」
そして三者三様の励ましに、
俺は感謝をしつつも
苦笑いを浮かべざるを得なかった。
探偵団の活動だったが、
それも十日を過ぎると陰りが見え始めた。
子供の調査能力には限界があったし、
おまけに子供は飽きるのも早い。
三人はすでにボス猿の調査に興味をなくしていた。
たしかに漠然とボス猿を調査したところで、
そうそう話題性のある情報は掴めないだろう。
そこで俺は三人に洋が見たという
葉山の涙の原因を探ることを提案した。
「でも、僕、
彼女のことはまったく知らないし・・」
「俺も仲が良かったわけじゃないからなぁ」
「私もクラスが変わってからは
一度も話をしたことがないわ。
そういえば葉山さん、
最近は学校も休みがちみたいよ」
三人は俺の提案にあまり乗り気ではなかった。
「ねえ、
奥川さんに聞けばいいんじゃないかしら?」
奥川という名前に俺はドキッとした。
「前にも話したと思うけど、
奥川さんと葉山さんは幼馴染なのよ」
たしかにそれは手っ取り早い方法だったが、
それはかなり気が重かった。
「そういえば、あっくん。
最近、奥川と一緒にいないよな」
「それ、僕も思ってた」
洋の言葉に翔太がポンと手を叩いた。
いずれわかることだし、
俺は三人に奥川との関係が終わったことを話した。
「そっか」
「そうなのね。
それで奥川さん、最近元気がないのね」
「うーん、ま、
男女のことは二人にしかわからないからな」
翔太と茜は悲しげな表情を浮かべ、
洋は大人びたことを言った。
「辛いとは思うけど、あっくん、元気を出しなよ」
「そうだぜ。
俺達は仲間なんだから、
辛いときは何でも相談しろよな」
「世の中素敵な女性は奥川さんだけじゃないわよ」
そして三者三様の励ましに、
俺は感謝をしつつも
苦笑いを浮かべざるを得なかった。
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