黄昏は悲しき堕天使達のシュプール

Mr.M

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三章 Renewal

六月 <遺品> 13

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「ねぇ洋、何か面白いことないかなぁ」
「そうだなぁ。最近は刺激がないよな」
翔太と洋にとっては
面白いことは刺激的なことらしい。
「男の人ってどうして危ないことが
 好きなのかしら」
そしてどうやら茜の中では
刺激と危険は同義語のようだ。
たしかに刺激を求めすぎた大吾は
危険な行動に出てその結果、命を落とした。
そう考えたら茜の考えも
強ち間違いとは言えなかった。

「そんなに刺激に飢えてるのなら、
 ボス猿と葉山を調べてみないか?
 もし何か問題があれば
 ボス猿に
 『罰』
 を与えることができるかもしれないぞ」
俺はあえて「罰」という言葉を強調した。
「面白そうだな。
 ボス猿が悪いことをしてたら、
 ママに言いつけてやるぜ。ひひひ」
「そっか、
 洋のママはPTAの役員をしてるんだよね」
「私、猿田先生は嫌いだわ。
 あの先生、
 体育の着替えの時に
 教室に入ってくることがあるのよ。
 『間違えた』って言い訳してるけど、
 あれは絶対計画的よ。
 それに最近だと
 猿田先生が体操着泥棒なんじゃないかって
 女子の間で噂になってるのよ」
茜の発言に翔太と洋は烈火のごとく怒った。
「それは許せないよ!」
「本当かよ!最低だぜ、ボス猿の野郎」
多少事実と異なる部分もあったが、
それを説明すると長くなりそうだったので
俺は黙っていた。
どちらにせよボス猿は
教師としての資質に欠けているし、
当然ナカマイ先生の結婚相手としても
相応しくない。
「よし、決まりだ。
 今日この時をもって探偵団を結成しよう」

「探偵団?」
三人の声が重なった。
「そうだ。
 俺達は悪を倒す正義の探偵団だ。
 目的はボス猿の悪事を暴くこと」
「いいね!」
「面白そうだぜ!ひひひ」
「皆で猿田先生を倒しましょ!」
俺の提案に三人は手を上げて賛成した。
久しぶりの仕事に血が騒いだ。


それから煙草をもう一本だけ吸って、
俺は塾があるからと断って、
先に屋上を後にした。
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