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八章 日暮れと死
第50話 潔白
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食事を終えた政子と富子は
今後の話し合いがあるからと
揃ってそそくさと部屋から出ていった。
政子の主張により
卯の宅の地下室に監禁されていた頼朝は
解放されることになった。
初めこそ富子は難色を示したが、
秀吉が死んだ今、
政子が
「夜霧の財産は
元々の遺言状に従い
二人で分割相続するべきだ」
と主張すると、
ここで政子と揉めるのは
得策ではないと判断したのか
最終的には首を縦に振った。
茶の間に一人残されたボクは途方に暮れていた。
頼朝には秀吉を殺すことは不可能だった。
それはつまり。
頼朝がこれら一連の殺人事件の
犯人ではないことを意味する。
まさに秀吉の言った通りだった。
そして。
秀吉には犯人の目星が付いているようだった。
さらに。
秀吉が死んだことで
犯人に仕掛けた「罠」について
秀吉の真意がわからぬままとなってしまった。
「はぁ・・」
自然と深いため息が漏れた。
その時、
障子戸がスッと開いて竹千代が入ってきた。
竹千代は秀吉の突然の訃報に
ショックを隠し切れない様子だったが、
普段通りキビキビとした動きで
膳を片付け始めた。
ボクが何と声をかけるか考えあぐねていると、
「先生、お風呂に入られるのであれば
午の宅にタオルを用意しております」
と竹千代はこれまたいつもと変わらぬ
静かな口調でそう言った。
「リーリー。リーンリーン」
美しくも悲しげな虫の音が聞こえた。
ボクは竹千代に礼を言って茶の間を出た。
今後の話し合いがあるからと
揃ってそそくさと部屋から出ていった。
政子の主張により
卯の宅の地下室に監禁されていた頼朝は
解放されることになった。
初めこそ富子は難色を示したが、
秀吉が死んだ今、
政子が
「夜霧の財産は
元々の遺言状に従い
二人で分割相続するべきだ」
と主張すると、
ここで政子と揉めるのは
得策ではないと判断したのか
最終的には首を縦に振った。
茶の間に一人残されたボクは途方に暮れていた。
頼朝には秀吉を殺すことは不可能だった。
それはつまり。
頼朝がこれら一連の殺人事件の
犯人ではないことを意味する。
まさに秀吉の言った通りだった。
そして。
秀吉には犯人の目星が付いているようだった。
さらに。
秀吉が死んだことで
犯人に仕掛けた「罠」について
秀吉の真意がわからぬままとなってしまった。
「はぁ・・」
自然と深いため息が漏れた。
その時、
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と竹千代はこれまたいつもと変わらぬ
静かな口調でそう言った。
「リーリー。リーンリーン」
美しくも悲しげな虫の音が聞こえた。
ボクは竹千代に礼を言って茶の間を出た。
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