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七章 知と血
第41話 日付
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「かっかっか」
秀吉の笑い声が茶の間の静寂を破った。
「な、何ですって!」
「馬鹿なことを言ってんじゃないよ!」
続いて政子と富子が立ち上がった。
そして物凄い形相でこちらへ駆け寄ってくると
政子がボクの手から紙をひったくった。
遺言状を覗き込む二人の目が
殊更大きく見開かれた。
「こ、これは・・」
「こ、こんな物・・に、偽物だよ!」
必死に抵抗する二人を見ながら
秀吉はニタリニタリと笑っていた。
「かっかっか。
遺言状の指印は姫子の拇指じゃ。
そして遺言状は最も新しい日付のモノが
優先されるんじゃ。
そこに書かれた日付をよ~く見てみぃ」
秀吉に言われて
二人は睨み付けるように
遺言状に目を落とした。
「竹千代、
姫子のもう一つの遺言状を」
秀吉がそう言うと、
竹千代は懐から紙を取り出して秀吉に渡した。
「これが最初に姫子が書いた遺言状じゃ。
日付は・・どれどれ。
13日になっておるのぅ」
秀吉が手の中の遺言状を広げて見せた。
たしかにそこには
『九月 十三日』
と書かれていた。
直後、
「ひぃぃぃぃ」
という小さな悲鳴と共に
政子の手から遺言状が落ちた。
富子は力なくその場にへたり込んだ。
ボクは政子が落とした遺言状を拾い上げた。
遺言状の日付は
『九月二十日』
だった。
「残念じゃのぅ。
出来の悪い餓鬼が立て続けに3人死んで
夜霧の財産はお前達で
山分けできるはずがのぅ」
そう言って秀吉は「かっかっか」と笑った。
その笑い声に重るように
「ジリジリジリジリ」
と騒がしく耳障りな虫の音が聞こえてきた。
秀吉の笑い声が茶の間の静寂を破った。
「な、何ですって!」
「馬鹿なことを言ってんじゃないよ!」
続いて政子と富子が立ち上がった。
そして物凄い形相でこちらへ駆け寄ってくると
政子がボクの手から紙をひったくった。
遺言状を覗き込む二人の目が
殊更大きく見開かれた。
「こ、これは・・」
「こ、こんな物・・に、偽物だよ!」
必死に抵抗する二人を見ながら
秀吉はニタリニタリと笑っていた。
「かっかっか。
遺言状の指印は姫子の拇指じゃ。
そして遺言状は最も新しい日付のモノが
優先されるんじゃ。
そこに書かれた日付をよ~く見てみぃ」
秀吉に言われて
二人は睨み付けるように
遺言状に目を落とした。
「竹千代、
姫子のもう一つの遺言状を」
秀吉がそう言うと、
竹千代は懐から紙を取り出して秀吉に渡した。
「これが最初に姫子が書いた遺言状じゃ。
日付は・・どれどれ。
13日になっておるのぅ」
秀吉が手の中の遺言状を広げて見せた。
たしかにそこには
『九月 十三日』
と書かれていた。
直後、
「ひぃぃぃぃ」
という小さな悲鳴と共に
政子の手から遺言状が落ちた。
富子は力なくその場にへたり込んだ。
ボクは政子が落とした遺言状を拾い上げた。
遺言状の日付は
『九月二十日』
だった。
「残念じゃのぅ。
出来の悪い餓鬼が立て続けに3人死んで
夜霧の財産はお前達で
山分けできるはずがのぅ」
そう言って秀吉は「かっかっか」と笑った。
その笑い声に重るように
「ジリジリジリジリ」
と騒がしく耳障りな虫の音が聞こえてきた。
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