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ムシャクシャするので人事部長を抱いてやろうとしたら、やっぱり返り討ちにあった件
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今日の出来事をかいつまんで話した後、仕事の場面で人を可愛い可愛くないとか、若いかどうかで評価するのは残酷だと思わずポロリと本音が出てしまった。
しまった。弱音を吐くつもりではなかったのだが、と慌てて佐藤俊生の顔を見ると、恐ろしい程に怒りの表情を見せている。
「客先だから手は出せませんが、社内だったら制裁レベルの案件ですね。」
そして佐藤俊生は、可哀想に、よくがんばってきたねと優しく抱きしめてくれて、頭を撫でてくれるのだった。
理不尽な対応になんだかんだで傷ついていたのだろうか、佐藤俊生にそんなことをされた私は、ついうっかり肩を借りて少し泣いてしまったのだった。
「……大変だったら、辞めてもいいんですよ?」
と、佐藤俊生が口を開く。
えっ?!なに?このタイミングでクビ宣告?
なんというトラップ!エゲツなさ!!
びっくりしすぎて、あっと言う間に涙は引っこんでしまう。
ガバリと頭を起こして恨めしそうに佐藤俊生の顔を見ると、「違う違う、そう言う意味じゃなくて。」と慌てた表情。
「もし、辛くて会社を辞めたとしても、大山さんを養えるくらいの稼ぎはあるから、俺と、結婚しませんか?って言いたくて。」
そう言う佐藤俊生の手にはいつの間に用意していたのか、小さなケースの中で光る、ダイヤモンドの指輪があった。
え?え?え?
どういう展開?
なんなのこれ?
多分プロポーズされてるのだろうけど、どうしてそういう流れになったのか全然理解できない。
と、いうか我々まだそういう仲になってまだ3か月だし、もっと言うならそもそも付き合ってないし。
慌てる私に、
「月日なんて関係ないし、そもそも俺は最初から付き合ってるつもりだったけど?」と佐藤俊生。
「それに好きでもない相手と、いくらなんでも延長で相談とか言いながら、時間外まで対応する訳ないでしょ?」
え?え?え?
じゃ一番最初のあの時から、佐藤俊生は私のこと好きだったの??なんで?何がきっかけで??あんなケンカ腰で面談してたのに???
「勢いがあって面白くて、目がキラキラ輝いていて可愛いから、仲良くなりたいな、なんて思って飲みに誘ったらまさかホテルにお持ち帰りされるとは思わなかったけどね。」
色々な手間が省けてよかったと、ニッコリ悪い顔で微笑む佐藤俊生。
「俺としては、大山さんが仕事を辞めてもいいし、続けてももちろんいいと思ってる。けどね、君が結婚する相手は俺だから。急な話でビックリしてるかもしれないけれど、これから一緒にじっくり将来のことを考えて行こうね?」
益々悪い顔で微笑む佐藤俊生に恐る恐る、念の為聞きますがと前置きをして、結婚しないという方向は?と聞いてみると、
「だってあの日、ホテルに連れ込んだのは大山さんだからねえ?責任とってもらわないとねえ?」
と、痛いところをつかれてしまうのだった。
うーん。結婚、結婚かあ。
全然そんなの考えたことがなかったけれど、このイケメンでちょっと悪賢いけど、可愛らしい人事部長と毎日暮らしていくのも悪くないのかもしれない。
……佐藤さん。いえ、俊生さん。
仕事、私、負けず嫌いだからこのままの状態では辞めませんよ?
夜はお胸を、はむはむしちゃいますよ?
たまにムシャクシャして襲っちゃうかもしれませんよ?
それでも、いいなら……私と結婚して下さい!!
そう言って、佐藤俊生に飛びつく私なのだった。
ぎゅうぎゅう抱き合いながら、ふと疑問に思うことを聞いてみる。
「ところでどうして今日このタイミングでプロポーズをしようと思ったんですか?」
「連絡もらったメッセージが、なんだかメンタル弱ってそうだったから、今プロポーズしたら受け入れてもらえるかなと思って……」
ズルい考えで申し訳ないと肩を竦めて謝罪するイケメンが可愛らしいので思わず笑って許してしまう。
指輪はいつ用意したのかと聞くと、初めてホテルに行った次の日には指輪を買いに行ったという返答。
いや、見切り発車もいいところじゃね???
「大分頭の中がお花畑になっていたようですね。」
と、言いながら指輪をはめてみるが、案の定サイズはブカブカ。後で買ったお店にお直しをしに行きましょうね、と約束しながら、どんな顔でサイズも合わない指輪をこのイケメンは買ったのだろうかと想像して、思わずニヤニヤしてしまう私なのだった。
以上、ムシャクシャして人事部長を襲ってみたら、返り討ちにあった上、プロポーズまでされちゃったってお話は、ハッピーエンドで、これにておしまい!
しまった。弱音を吐くつもりではなかったのだが、と慌てて佐藤俊生の顔を見ると、恐ろしい程に怒りの表情を見せている。
「客先だから手は出せませんが、社内だったら制裁レベルの案件ですね。」
そして佐藤俊生は、可哀想に、よくがんばってきたねと優しく抱きしめてくれて、頭を撫でてくれるのだった。
理不尽な対応になんだかんだで傷ついていたのだろうか、佐藤俊生にそんなことをされた私は、ついうっかり肩を借りて少し泣いてしまったのだった。
「……大変だったら、辞めてもいいんですよ?」
と、佐藤俊生が口を開く。
えっ?!なに?このタイミングでクビ宣告?
なんというトラップ!エゲツなさ!!
びっくりしすぎて、あっと言う間に涙は引っこんでしまう。
ガバリと頭を起こして恨めしそうに佐藤俊生の顔を見ると、「違う違う、そう言う意味じゃなくて。」と慌てた表情。
「もし、辛くて会社を辞めたとしても、大山さんを養えるくらいの稼ぎはあるから、俺と、結婚しませんか?って言いたくて。」
そう言う佐藤俊生の手にはいつの間に用意していたのか、小さなケースの中で光る、ダイヤモンドの指輪があった。
え?え?え?
どういう展開?
なんなのこれ?
多分プロポーズされてるのだろうけど、どうしてそういう流れになったのか全然理解できない。
と、いうか我々まだそういう仲になってまだ3か月だし、もっと言うならそもそも付き合ってないし。
慌てる私に、
「月日なんて関係ないし、そもそも俺は最初から付き合ってるつもりだったけど?」と佐藤俊生。
「それに好きでもない相手と、いくらなんでも延長で相談とか言いながら、時間外まで対応する訳ないでしょ?」
え?え?え?
じゃ一番最初のあの時から、佐藤俊生は私のこと好きだったの??なんで?何がきっかけで??あんなケンカ腰で面談してたのに???
「勢いがあって面白くて、目がキラキラ輝いていて可愛いから、仲良くなりたいな、なんて思って飲みに誘ったらまさかホテルにお持ち帰りされるとは思わなかったけどね。」
色々な手間が省けてよかったと、ニッコリ悪い顔で微笑む佐藤俊生。
「俺としては、大山さんが仕事を辞めてもいいし、続けてももちろんいいと思ってる。けどね、君が結婚する相手は俺だから。急な話でビックリしてるかもしれないけれど、これから一緒にじっくり将来のことを考えて行こうね?」
益々悪い顔で微笑む佐藤俊生に恐る恐る、念の為聞きますがと前置きをして、結婚しないという方向は?と聞いてみると、
「だってあの日、ホテルに連れ込んだのは大山さんだからねえ?責任とってもらわないとねえ?」
と、痛いところをつかれてしまうのだった。
うーん。結婚、結婚かあ。
全然そんなの考えたことがなかったけれど、このイケメンでちょっと悪賢いけど、可愛らしい人事部長と毎日暮らしていくのも悪くないのかもしれない。
……佐藤さん。いえ、俊生さん。
仕事、私、負けず嫌いだからこのままの状態では辞めませんよ?
夜はお胸を、はむはむしちゃいますよ?
たまにムシャクシャして襲っちゃうかもしれませんよ?
それでも、いいなら……私と結婚して下さい!!
そう言って、佐藤俊生に飛びつく私なのだった。
ぎゅうぎゅう抱き合いながら、ふと疑問に思うことを聞いてみる。
「ところでどうして今日このタイミングでプロポーズをしようと思ったんですか?」
「連絡もらったメッセージが、なんだかメンタル弱ってそうだったから、今プロポーズしたら受け入れてもらえるかなと思って……」
ズルい考えで申し訳ないと肩を竦めて謝罪するイケメンが可愛らしいので思わず笑って許してしまう。
指輪はいつ用意したのかと聞くと、初めてホテルに行った次の日には指輪を買いに行ったという返答。
いや、見切り発車もいいところじゃね???
「大分頭の中がお花畑になっていたようですね。」
と、言いながら指輪をはめてみるが、案の定サイズはブカブカ。後で買ったお店にお直しをしに行きましょうね、と約束しながら、どんな顔でサイズも合わない指輪をこのイケメンは買ったのだろうかと想像して、思わずニヤニヤしてしまう私なのだった。
以上、ムシャクシャして人事部長を襲ってみたら、返り討ちにあった上、プロポーズまでされちゃったってお話は、ハッピーエンドで、これにておしまい!
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