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マンティコアと遭遇

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さて、何か面白いものはないかな?
そう思って更に北上していくと森の奥が白くなっているのに気付く。
あれは、雪かな?
寒そうだしあそこより先に行くのはやめよっと。

ーーぐ~

おっと、そういえばスライム娘と結構ヤってたしお腹が空いても不思議じゃないか。
適当な所に降り立ちそこでお昼ご飯にするけど、調理道具買うの忘れてた。
これじゃあ焼くくらいしか出来ないじゃん。
俺の馬鹿……。
はぁ……ひもじい。
今日のお昼ご飯はパンと焼いたトマトと焼いたお肉と焼いた焼いたきのこです。
しかも調味料を忘れるという大ポカっぷり。
味気ない。
なのでトマトを潰して味付けするというなんとも野生的なお昼ご飯になってしまった。

さて、お昼ご飯も食べ終わったし午後からはどうしようか?
また魔物とあっちの方の一戦交えるのもそれはそれでそそるけど……うーむ。
あ、そうだ。
折角人の気配のない場所まで来たんだし、今のうちにゴブ'sとツバサとルーナのレベル上げしよう。
そうと決まれば早速手頃な魔物を探そう。

森の中を散策してると何やら強そうな魔物を発見。
翼の生えた人面獅子といった感じで、マンティコアといえばこんなんじゃないかなーって見た目をしている。
というかこれ、マンティコアじゃない?
どうも森の奥深くまで来すぎたみたいだ。
うーん……流石にこれはまだあいつらには早過ぎるかなぁ。
というわけで俺が戦います。

とはいえ、今のステータスだとかなり危ないので初手から全力で身体強化も付与魔法も使ってバフを盛る。
付与魔法はアイテムにスキルを付ける事も出来るけど、今みたいに人にバフを掛ける事も出来る。
これでなんとかステータス的には互角。
しかし武器がない。
神様にもらった武器類は強すぎるから使ったら圧勝してしまう。
それでは意味がない。
折角強そうな相手と戦うんだから、出来るだけ楽しみたいじゃないか。

「行くぞ!」

見た目子供の俺が率先して襲いかかるのがマンティコア的にはあり得ない事だったのか、驚いて隙を晒している。
このチャンスを逃す手はない。
手に炎を宿してそのまま殴りつけてマンティコアを大きくのけぞらせる事が出来たがそれだけ。
軽いダメージとは言わないがまだまだ余裕がありそう。

そして、この攻撃でこちらが脅威に値すると理解したのか、顔を歪めて睨みつけてくる。
互いに睨み合う。
どちらが先に動くかの読み合いになるけど、相手は魔物。
魔物の考えなど分かるわけもないので、こちらから動く事にする。
しかし、動き出すのは向こうの方が若干早かった。

「うおっ!?」

ダッシュからの爪撃だが、その速さは凶悪の一言で、間一発で致命傷は避けられたものの皮膚を裂かれて血が噴き出す。
反撃の拳打を放つも先程とは違い踏み込みも体制も甘くて威力が低く、顔面で受け止められてしまった。
そしてそんな隙だらけの状態を見逃してもらえるはずがない。
頭上から影が落ちて来て、咄嗟に飛び退くと、さっきまで俺が居た場所に血のような色をした凶悪な尻尾が突き刺さっていた。
あと僅かに動くのが遅かったらと思うとゾッとする。

どういうわけか、俺には状態異常に対する耐性がない。
だからもしも刺さったらかなり危険な状態になるだろう。
一応救いなのは光系魔法は回復魔法も充実していて状態異常を治す事も出来るという事。
だけど、その間は隙だらけになってしまうから出来れば使わずに済んで欲しい所。
となれば、まずはあの尻尾を潰す事にしよう。

猫パンチへの警戒は勿論のこと、尻尾にも意識を割いて対応する。
こちらの攻撃は一応しっかりと当たってはいるものの、向こうはまだまだ余裕がありそうだし油断は出来ない。
予想外なのは今のところ噛みつき攻撃をされていない事。
人面だから噛みついても大したことないと理解しているのだろうか?
それとも奥の手として取っておいてあるのか……分からないが一応意識しておこう。

何度かの殴り合いの応酬の末に頭上から再び尻尾による攻撃が襲ってくる。
さっきは突然の事で大きく躱したが、来ることが分かっていれば対処も可能。
バックステップで躱した後、接近して尻尾を掴み……

「ぬぅりゃあぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「ギュアアアアアアアアアア!!」

力任せに引きちぎってちぎった尻尾を適当に捨てる。
これで危険なものは無くなった。
鋭い爪は脅威とはいえ、骨格的な問題なのかそこまで可動域は広くないので動きをよく見れば対処は難しくない。

「おぉぉぉぉぉぉりゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

攻撃を躱し、防ぎ、そして攻勢に出る。
拳にも足にも炎の魔力を纏わせて、攻めて攻めて攻めまくる。
意識が攻撃に向いていた所為だろう。
俺はそれに気付くことができなかった。
明らかな油断。
油断してはダメだと思ったのに、尻尾を奪い、動きをある程度見切ったと思い込んでしまっていた。
だから気付けなかった。

「いぎっ!?」

赤黒い尻尾が、毒針が、俺の肩に深々と刺さっている。

「再生……すんのかよ……」

ドクンドクンと尻尾が脈動し、その度に痺れるような痛みが身体に広がってくる。

「こ、このぉっ!?」

尻尾を振り払うが、そこで限界だった。
足が言うことを聞かず、膝から崩れ落ちてしまう。
ステータスはほぼ同等だからダメージ自体は少なく済むし、体力急速回復があるからよっぽどの事がない限り死ぬ事はないだろうけど……それまで俺の精神が保つだろうか……。

「ぐがぁぁぁぁっ!?  んぎぃぃぃぃぃぃっ!?」

あ、足が……これ、完全に、砕けてる……。

「おいっ……何……してるんだよ……」

マンティコアは服を引っ掻いて、引っ張って、たくし上げようとしている。
食うのに邪魔なのか……?
しかし、その答えを知る前に限界を迎える。

「駄目だ……視界が霞む……意識が……もう……」



目が覚めた時、そこにはマンティコアは居なかった。
何故生きているのか、その答えは下腹部にあった。

「うげ……たっぷり出されてら」

どうも、戦闘中に興奮したのか犯して、その後立ち去ったみたいだ。
どうせヤるんだったら戦闘もせずに襲えばいいのにと思う。
意識を失った時じゃ楽しめないとも思う。
とはいえだ、負けたのは油断していた自分が悪いんだし、縛りを入れている以上は負ける事もあるだろうが、このまま負けっぱなしというのも面白くない。
身体再生や体力急速回復のおかげなのか既に毒は抜けてる。
砕かれた両足も再生している。
身体に問題はないし、リベンジマッチと行こうじゃないか!
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