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異世界人
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「うわぁーー、スゲーー。」
馬車を降りてすぐに勇輝は感嘆の言葉をもらす。
アリス・カトレイアの実家であるカトレイア邸はまさしくお屋敷といった景観をしており、病院暮らし関係なくテレビでしかお目にかかれないような大豪邸であるのだからそれも仕方ないだろう。
「そんなに凄いのですか?」
馬車を降りてすぐに勇輝は立ち止まってしまった為に疑問に思った雪羅は質問する。
「うん!テレビでしか見たことないよ、こんな大豪邸。」
「そうなんですか。では私も。……確かにこれは凄いですね。流石は領主の館ですね。」
「うん。」
(てれび?それは一体なんでしょう?それにあの身なり。ひょっとして…)
アリスは雪羅に続いて馬車を降りたが、生まれた時から住んでいる為に凄いという感想にこそばゆいと感じつつも、勇輝の言うテレビという単語の方を気にしていた。
そして、勇輝の身なりから勇輝が異世界の迷い人ではという疑問を抱く。
ここ、魔法世界トライザードでは異世界人というのは繁栄と破壊をもたらす存在とされている。
繁栄は異世界の知識によって国が豊かになるということを表し、破壊は既存の価値観を破壊するという意味と、文字通り物理的な破壊を表している。
迷い込んだ異世界人の中には自分勝手に行動し、現れた国に破壊と混沌をもたらす事が度々起こってきたからだ。
しかし、ここにいる勇輝ならば問題ないだろうとアリスは安心している。
そして、勇輝が驚くのが落ち着いた頃合いを見計らってアリスは家の中へと案内する。
◇
「改めまして、この度は私を助けていただきありがとうございます。」
アリスはメイドさん達に勇輝と雪羅の二人を家の中を説明しつつ案内してもらい、その間に着替えを済ませてから応接室で待機する。
そうして暫く待つと勇輝達が現れたので席へ促してから先ほどの礼を言った。
「いえ、偶然遭遇しただけなのでそんな大層なことではないですよ。」
盗賊のアジトへ偶然遭遇するはずもないのだが、アリスはスルーすることにした。
それにお礼をするつもりだがその前にどうしても聞きたい事があり、その事に比べたら盗賊のアジトは些細な事だと判断したからだ。
「それで、ユウキさんはひょっとして異世界人ですか?」
「…………………は?えっ!?なんでそれを!?」
勇輝は驚いているが、それに構わずアリスは続ける。
「何故という問いに対する答えですが、ユウキさんの変わった生地をした服に先ほどのてれび? という言葉。そして何より見た事の無いスキルを持っているからですかね。あ、もちろんユウキさんは恩人ですし何か害するというつもりでもありません。ただ、後ろ盾になれたらな…と思いまして。」
「後ろ盾?」
「はい。ユウキさんは異世界人ですから身分が不確かです。ですが、領主の娘である私が保証すれば確かなものになりますし、何かと役に立つかと。勿論悪用しないと信じての事ですが、もしも悪用した場合は即座に裁かせていただきます。」
「はあ。そのありがたいんですが、なんで?」
「それはユウキさんが私の恩人だからですよ。この世界では異世界人は繁栄と破壊をもたらす存在とされているんですよ…」
そうしてアリスはこの世界における異世界人というものを勇輝に伝えていく。
そして一通り伝える。
「そう……なんですか。でも僕は普通の異世界人とは少し違うんです。なんか、僕の称号に異世界の勇者ってあるんです。なにか心当たりはありませんか?」
「勇者ですって!……もしかして姫さまが…。もしそうなら今すぐお父様に知らせなくては。すみません、ユウキさん。ここから先のことは父が帰ってきてからでいいでしょうか。その間滞在する部屋を用意させますから。」
「はあ。」
突然アリスの様子が変わった事に戸惑った勇輝は生返事を返すことしかできなかった。
勇輝が惚けている間にもアリスは行動を開始しており、即座にメイドに勇輝の部屋を用意するよう指示を出すと、そのまま近衛兵の詰所へと向かう。
そうして置いてけぼりになっていた勇輝はしばらくの間部屋にいたが、部屋へと案内するというメイドに言われるままに後をついていく。
カトレイア邸の中を歩き、案内された部屋へと入るとそこはとても煌びやかで高級ホテルの最も高い部屋と紹介されるような一室だった。
そのあまりの豪華さに自身の中の価値観が揺らいでいたが、そこはお嬢様の家だからと無理やり自分を納得させる勇輝だが、一人お付きをつけると新しいメイドを紹介されたことで遂に勇輝の頭がパンクしてしまった。
異世界に召喚され、盗賊に襲われ、盗賊を襲い、街に入ればお屋敷でVIP待遇なのだから仕方ないのかもしれないが、メイドに挨拶を返すとそのままベッドへと向かい倒れこむ。
そしてそのまま勇輝は夢の世界に旅立った。
馬車を降りてすぐに勇輝は感嘆の言葉をもらす。
アリス・カトレイアの実家であるカトレイア邸はまさしくお屋敷といった景観をしており、病院暮らし関係なくテレビでしかお目にかかれないような大豪邸であるのだからそれも仕方ないだろう。
「そんなに凄いのですか?」
馬車を降りてすぐに勇輝は立ち止まってしまった為に疑問に思った雪羅は質問する。
「うん!テレビでしか見たことないよ、こんな大豪邸。」
「そうなんですか。では私も。……確かにこれは凄いですね。流石は領主の館ですね。」
「うん。」
(てれび?それは一体なんでしょう?それにあの身なり。ひょっとして…)
アリスは雪羅に続いて馬車を降りたが、生まれた時から住んでいる為に凄いという感想にこそばゆいと感じつつも、勇輝の言うテレビという単語の方を気にしていた。
そして、勇輝の身なりから勇輝が異世界の迷い人ではという疑問を抱く。
ここ、魔法世界トライザードでは異世界人というのは繁栄と破壊をもたらす存在とされている。
繁栄は異世界の知識によって国が豊かになるということを表し、破壊は既存の価値観を破壊するという意味と、文字通り物理的な破壊を表している。
迷い込んだ異世界人の中には自分勝手に行動し、現れた国に破壊と混沌をもたらす事が度々起こってきたからだ。
しかし、ここにいる勇輝ならば問題ないだろうとアリスは安心している。
そして、勇輝が驚くのが落ち着いた頃合いを見計らってアリスは家の中へと案内する。
◇
「改めまして、この度は私を助けていただきありがとうございます。」
アリスはメイドさん達に勇輝と雪羅の二人を家の中を説明しつつ案内してもらい、その間に着替えを済ませてから応接室で待機する。
そうして暫く待つと勇輝達が現れたので席へ促してから先ほどの礼を言った。
「いえ、偶然遭遇しただけなのでそんな大層なことではないですよ。」
盗賊のアジトへ偶然遭遇するはずもないのだが、アリスはスルーすることにした。
それにお礼をするつもりだがその前にどうしても聞きたい事があり、その事に比べたら盗賊のアジトは些細な事だと判断したからだ。
「それで、ユウキさんはひょっとして異世界人ですか?」
「…………………は?えっ!?なんでそれを!?」
勇輝は驚いているが、それに構わずアリスは続ける。
「何故という問いに対する答えですが、ユウキさんの変わった生地をした服に先ほどのてれび? という言葉。そして何より見た事の無いスキルを持っているからですかね。あ、もちろんユウキさんは恩人ですし何か害するというつもりでもありません。ただ、後ろ盾になれたらな…と思いまして。」
「後ろ盾?」
「はい。ユウキさんは異世界人ですから身分が不確かです。ですが、領主の娘である私が保証すれば確かなものになりますし、何かと役に立つかと。勿論悪用しないと信じての事ですが、もしも悪用した場合は即座に裁かせていただきます。」
「はあ。そのありがたいんですが、なんで?」
「それはユウキさんが私の恩人だからですよ。この世界では異世界人は繁栄と破壊をもたらす存在とされているんですよ…」
そうしてアリスはこの世界における異世界人というものを勇輝に伝えていく。
そして一通り伝える。
「そう……なんですか。でも僕は普通の異世界人とは少し違うんです。なんか、僕の称号に異世界の勇者ってあるんです。なにか心当たりはありませんか?」
「勇者ですって!……もしかして姫さまが…。もしそうなら今すぐお父様に知らせなくては。すみません、ユウキさん。ここから先のことは父が帰ってきてからでいいでしょうか。その間滞在する部屋を用意させますから。」
「はあ。」
突然アリスの様子が変わった事に戸惑った勇輝は生返事を返すことしかできなかった。
勇輝が惚けている間にもアリスは行動を開始しており、即座にメイドに勇輝の部屋を用意するよう指示を出すと、そのまま近衛兵の詰所へと向かう。
そうして置いてけぼりになっていた勇輝はしばらくの間部屋にいたが、部屋へと案内するというメイドに言われるままに後をついていく。
カトレイア邸の中を歩き、案内された部屋へと入るとそこはとても煌びやかで高級ホテルの最も高い部屋と紹介されるような一室だった。
そのあまりの豪華さに自身の中の価値観が揺らいでいたが、そこはお嬢様の家だからと無理やり自分を納得させる勇輝だが、一人お付きをつけると新しいメイドを紹介されたことで遂に勇輝の頭がパンクしてしまった。
異世界に召喚され、盗賊に襲われ、盗賊を襲い、街に入ればお屋敷でVIP待遇なのだから仕方ないのかもしれないが、メイドに挨拶を返すとそのままベッドへと向かい倒れこむ。
そしてそのまま勇輝は夢の世界に旅立った。
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