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 金きら金だと、目立って仕方がない自覚がなかったのだ。歩く仏像状態では、いろいろと困る。ロベルタ様も言ってくれればよいものを言ってくれないから、それで自分に目立たないように一般人に見えるように隠蔽をかける。最初からこうすれば、良かったのだ。

 事の発端は、旅の途中、大きな湖があったので、そこで水浴びでもしようと思い、湖に近づくとやけに眩しい。???

 自分の姿が湖に反射して、2倍に眩しくて、それでようやく気付いたのだ。

 「ヤダ。なんて、姿をしているのかしら?これでは、女神バレバレじゃないの?」

 独り言をつぶやいていたら、湖の中から誰か出てくる!人魚のような姿。
 きゃーっ!化け物!と思っていると

 「マリアンヌ。久しいのぉ。」

 「え?だれ?」

 「なんだ、しばらくぶりで、妾を忘れてしもうたか?」

 「は?ええ……と、湖の女神アクアマリア?」

 「そうじゃそうじゃ、やっと思い出してくれたか!」

 嬉しそうに湖面をバシャバシャされるから、マリアンヌはびしょぬれになったわ。

 「がはは。水も滴るイイ女になったのぉ。やっぱり、人間の女になると女ぶりが上がるのかなぁ。妾もなってみようかのぉ。」

 「人間どもは、女神を崇拝することを忘れているわ。」

 この前行ったメトグルコ街のことを、かいつまんで話した。

 「でも仕返しに、1年間雨を降らし続けるのであろう。面白いではないか!妾も連れて行ってたもれ。」

 「アクアマリアを連れて歩いたら、注目の的になっちゃうわ。」

 「いいじゃないか!注目されて上等よ。」

 「ここの湖は、どうするの?誰が管理するのよ?」

 「心配には及ばん。ここは昔からナマズのジジイが住処にしておったのだ。妾は水のある所なら、どこでも生きていけるから、大丈夫じゃ。そこの人間のオトコよ。妾のために水瓶を持ってたもれ。」

 そう言って、勝手に人間の足をはやして、行く気満々であるが、全裸である。ロベルタ様は顔を真っ赤にされてモジモジされているのだ。

 仕方ないわね。マウスレイク国王から、いただいたコスプレ用の聖女衣装を渡し、着替えるように促す。

 ということで、アクアマリア、マリアンヌ、ロベルタの3人で旅をすることになったのである。水瓶の中身は、空っぽでもいい。必要になれば、マリアンヌが自在に水を出すからだ。ということは、水瓶もマリアンヌの異空間収納に放り込めばいいのだが、気持ちの問題で、見えるところに水瓶があるというだけで、生きていけるらしい。安心感のために、ロベルタに持たせているそうだ。

 アクアマリアにも、冒険者登録をさせた方がいいのかしら?でも、入国するとき、水瓶の中に飛び込み、小さくなって通過すれば事足りるような気がする?アクアマリアに聞くと

 「マリアンヌも冒険者登録しているなら、妾も同じようにしてほしいのじゃ。面白そうじゃ。ずっと湖の中ばかりで退屈しておったのじゃ。」

 そうと決まれば、街へ目指して、進むことになったのである。
 冒険者ギルドに到着したら、ロベルタがまばゆいばかりの美女二人を連れているから、お決まりのガラの悪い冒険者に絡まれそうになった時、マリアンヌはさりげなく隠蔽を解き、金きら軍団にしたのである。

 慌てて跪かれてもね。今、絡もうとしたでしょ?チラリと見ただけで屈強そうな男が気絶した。知らないわよ。

 無事、アクアマリンは女神として冒険者登録できたのである。
 さて、これからどこへ行く?アクアマリアはテンション高いけど、まずは、着るものを取りに帰ろうかと思う。

 家に帰れば公爵令嬢として過ごしたクローゼットの中にたっぷり、ドレスがある。自分一人なら着の身着のままでも良かったのだが、アクアマリアが一緒だと気を遣うのだ。アクアマリアは普段ほとんど裸だから、でも鱗は虹色に輝き美しい。

 もうロベルタはアクアマリアの全裸を見てしまったから、すっかり虜になっている。すべての?とまでは言わないけど、男は人魚を抱きたいのだ。流れるブロンド、細いクビ、豊満な胸、くびれたウエスト、瑞々しい肢体が男の欲をそそる。

 まぁ、産卵時になれば別行動するからいいけど?でも、メトグルコの領主のようなあらぬ誤解をされては、たまらない。

 でも、アクアマリアは、人魚の姿をした女神だから、ロベルタのことをどう思っているかわからない。

 これから、旅をしていくうちにあらゆる男の災難が待っているような気がするけど、どうなのだろう?

 まぁ、でも女神は女神だから、大丈夫でしょう。

 転移を使って、ランバース国へ戻り、公爵邸の玄関扉をたたく。

 執事は、久しぶりに見たお嬢様の姿に驚くものの、そのほか2人の姿に目をやる。一人は噂のリリアーヌ嬢と関係を持った騎士団長の息子だと察するが、もう一人の美女は、明らかに人外、美人ではあるが人間ではない雰囲気がする。

 「おかえりなさいませ。お嬢様。そちらの方は?」

 わかっていても聞かなければならないのが、執事たる仕事である。

 「わたくしの眷属であるロベルタ・チェンバレン様とお友達の湖の女神アクアマリアちゃんです。ドレスを取りに帰っただけだから、すぐ戻るつもりだけど、お父様には、一応帰ったことだけを伝えてくださる?」

 「はい、かしこまりました。お嬢様。」

 それとアクアマリンのために、風呂場を開放するように指示を出していく。少しでも水場にいると元気になるからである。食べなくても平気なのであるが、水場を離れると心なしか元気がなくなる。
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