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7.魔性の女
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あの日以来、シャルロットに決闘を申し込み、キンタマがなくなってしまった貴族令息は片手で数えきれない。
いい加減に諦めたら、どうだ?と俺は思っているのだが、賞品がシャルロットとの一夜では高すぎるのか、それとも見た目が女っぽいことが悪いのか?
今日の相手は、あの因縁の相手、そうクリストファー王子殿下なのだ。
「殿下はウチの娘に飽きられて婚約を破棄されたと伺っておりましたが……今回は、またどのような思し召しでございましょうか?」
エスペランサ家で、イヤミを逝っても、クリストファー殿下には堪えられていない。なんともないような顔をしていらっしゃる。
蛙の面に小便とは、こういうことを言うのかと呆れる。
「シャルロットの初めてを頂くためさ。俺には権利があるだろ?元・婚約者としてのな」
「はあ?何をおっしゃっているのですか?殿下とわたくしとは、もう何の関係もございません!」
「だからだよ。こんなお前と決闘なんて、バカバカしい茶番に付き合ってやっているだろ?お前が欲しいのだったら、召し出せば済む話をわざわざエスペランサ家まで、足を運んでやっている意味が分からないのか?」
どう考えても、わからない話。要するにクリストファー殿下は、まだシャルロットが自分に気持ちを残していると信じているらしい。
なんて、マヌケな男だと、俺は心底思う。そして、こういう奴はコテンパンに負かしてやろうと奮い立つ。今までは、相手が貴族令息であるからと、少し手を抜いていたのだが、今度ばかりは、本気でタマを取るつもりデカかろう。
一国の王子のタマがなくなれば、確実に王位継承権者から外される。それを承知で、試合に挑んでいるのなら、もっと真剣にやるべきだと思う。
それとも、シャルロットが手加減すると思っているのだろうか?王子に抱かれたいためにシャルロットが手加減する。それこそ茶番ではないか?
いつものように、契約魔法による書面で交わされる。
「本当に、よろしいのですね?」
「ああ、無論だ」
よっしゃーっ!今日で、こんな不愉快から解放される!俺は、心の中で雄たけびを上げながら、正眼に構える。
予想通り、クリストファー殿下は1秒で、決着がついた。王族は幼いころから、一流どころの剣術指南役について訓練しているのだが、殿下は、剣術の剣より、下の剣を鍛えることに夢中になっていたせいで、今まで対戦した中で一番弱いということが分かった。
「な、な、な、そんなバカな!俺は、剣聖に師事していたのだぞ!それが、こんなにすぐ負けてしまうなどとは……、あの剣聖をクビにしてやる!シャルロットは俺に抱かれたかったのではないのか?……」
最後は何を言っているのか、まったく聞こえなかったが、契約魔法の効力はすぐにでも発動されるだろう。
まったく何を根拠に……
「おあいにく様。これで、一生女を抱けないカラダになるなんて……ざまあみろ!」
「待ってくれ。ま、ま、待って。俺が悪かった。あの時はまだカキで、つい新しいオモチャに目が行ってしまっただけで、シャルと婚約破棄してしまったことを今でも後悔しているんだよ。だから、だから……」
「今でも十分、クソガキですわ」
「なっ」
ったく往生際が悪いクソガキだ。
それからすぐ、クリストファー殿下は、王位継承権を失ってしまい、第2王子が継承権者1位になった。
これでこのカラダの持ち主の名誉も守れたというもの。いつの日にか、返す時があれば、俺は胸を張って返せる。
クリストファーが廃嫡の憂き目にあって以来、シャルロットには「魔性の女」という異名が付くことになり、まったくもって事実無根のことで頭が痛くなる。
その異名のせいで、シャルロットの運命はまた大きな転換期を迎えることになったのだ。
いい加減に諦めたら、どうだ?と俺は思っているのだが、賞品がシャルロットとの一夜では高すぎるのか、それとも見た目が女っぽいことが悪いのか?
今日の相手は、あの因縁の相手、そうクリストファー王子殿下なのだ。
「殿下はウチの娘に飽きられて婚約を破棄されたと伺っておりましたが……今回は、またどのような思し召しでございましょうか?」
エスペランサ家で、イヤミを逝っても、クリストファー殿下には堪えられていない。なんともないような顔をしていらっしゃる。
蛙の面に小便とは、こういうことを言うのかと呆れる。
「シャルロットの初めてを頂くためさ。俺には権利があるだろ?元・婚約者としてのな」
「はあ?何をおっしゃっているのですか?殿下とわたくしとは、もう何の関係もございません!」
「だからだよ。こんなお前と決闘なんて、バカバカしい茶番に付き合ってやっているだろ?お前が欲しいのだったら、召し出せば済む話をわざわざエスペランサ家まで、足を運んでやっている意味が分からないのか?」
どう考えても、わからない話。要するにクリストファー殿下は、まだシャルロットが自分に気持ちを残していると信じているらしい。
なんて、マヌケな男だと、俺は心底思う。そして、こういう奴はコテンパンに負かしてやろうと奮い立つ。今までは、相手が貴族令息であるからと、少し手を抜いていたのだが、今度ばかりは、本気でタマを取るつもりデカかろう。
一国の王子のタマがなくなれば、確実に王位継承権者から外される。それを承知で、試合に挑んでいるのなら、もっと真剣にやるべきだと思う。
それとも、シャルロットが手加減すると思っているのだろうか?王子に抱かれたいためにシャルロットが手加減する。それこそ茶番ではないか?
いつものように、契約魔法による書面で交わされる。
「本当に、よろしいのですね?」
「ああ、無論だ」
よっしゃーっ!今日で、こんな不愉快から解放される!俺は、心の中で雄たけびを上げながら、正眼に構える。
予想通り、クリストファー殿下は1秒で、決着がついた。王族は幼いころから、一流どころの剣術指南役について訓練しているのだが、殿下は、剣術の剣より、下の剣を鍛えることに夢中になっていたせいで、今まで対戦した中で一番弱いということが分かった。
「な、な、な、そんなバカな!俺は、剣聖に師事していたのだぞ!それが、こんなにすぐ負けてしまうなどとは……、あの剣聖をクビにしてやる!シャルロットは俺に抱かれたかったのではないのか?……」
最後は何を言っているのか、まったく聞こえなかったが、契約魔法の効力はすぐにでも発動されるだろう。
まったく何を根拠に……
「おあいにく様。これで、一生女を抱けないカラダになるなんて……ざまあみろ!」
「待ってくれ。ま、ま、待って。俺が悪かった。あの時はまだカキで、つい新しいオモチャに目が行ってしまっただけで、シャルと婚約破棄してしまったことを今でも後悔しているんだよ。だから、だから……」
「今でも十分、クソガキですわ」
「なっ」
ったく往生際が悪いクソガキだ。
それからすぐ、クリストファー殿下は、王位継承権を失ってしまい、第2王子が継承権者1位になった。
これでこのカラダの持ち主の名誉も守れたというもの。いつの日にか、返す時があれば、俺は胸を張って返せる。
クリストファーが廃嫡の憂き目にあって以来、シャルロットには「魔性の女」という異名が付くことになり、まったくもって事実無根のことで頭が痛くなる。
その異名のせいで、シャルロットの運命はまた大きな転換期を迎えることになったのだ。
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