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9.浮気

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 合コンから2か月で、あっという間にさくらは妊娠していることに気づく。もう結婚しているのだから、問題はないが、大さんが避妊をしてくれていなかったことに少なからずショックを受けている。

 まだ22歳なのに、もう「お母さん」になることへの抵抗というべきか、同世代のOLは、まだ気楽に独身貴族を謳歌していることへの嫉妬?のような、寂しさ?のようなものがある。

 帰宅すると、まだ必ず裸エプロンを強要され、ほとんど全裸で、家事をしながら犯されているという現状がある。

 大さんのマイブームは、さくらに目隠しをさせ、立ったまま後ろから貫くことがお好きみたいで、いつも台所の流し台に手を突いた格好をさせられる。

 食事が終わると、今度は、エプロンさえもはぎ取られ、洗面所で鏡を前にして、また後ろから抱かれる。

 快楽に蕩ける顔を凝視するように言われ、洗面所では、目隠しはされない。結婚してから、ずっと変態プレイの連続で、正直なところ、ノーマルセックスが懐かしく思う。

 でも、孕んだ状態で、ヴァイキングウォーズの世界に入っても大丈夫かどうか不安があり、行けない。

 さくらたちは、実家の親と同居せず、さくらのマンションに大が転がり込むような形で新婚生活を送っている。

 だから、こんな変態羞恥プレイをしていることなど、親は知らない。

 ただ、さくらの早期妊娠を知って、大喜びをしている。そして、もし子供が生まれてから、大が浮気などして、家を空けるようなことがあれば、すぐさま離婚して、子供だけを連れて、クリニックがある実家に戻ってくるように、と諭されている。

 さくらの両親は、最初から、川村大が佐倉クリニックの患者を狙って、さくらに近づいたことなどお見通しなのだ。

 それを承知のうえで、娘との結婚を応諾したには訳がある。さくらには医者の道を志すよりも、まださくらが幼い頃に、一家でロンドンに留学していたことがあり、さくらは、いわゆる帰国子女なわけだが、本人は、あまりにも幼すぎて、そのことの記憶はあまりない。

 それで、大学は、上智の英文科を志望したので、医学部をあえて勧めなかった経緯がある。

 さくらが男の子でも女の子でも産んでくれさえすれば、立派な医者として、育てる自信がある。さくらの両親は、川村大をそもそも種馬としてしか見ていなかったのだ。

 さくらの両親は、まだ42歳、母が佐倉を産んだのは、医大の2年生で、父が入学式の時に、母に一目ぼれをして、父と学生結婚した。

 さくらの次の子を母は望んだが、勉学と研究などに追われ、ついぞできなかったということ。

 29歳の川村大と13歳しか変わらない。それゆえに、川村大が打算でさくらに近づいてきたことが手に取るようにわかったのだ。

 どんなに腕が良くて、運に恵まれていたとしても、開業医になって3年は食えない。佐倉家のようにどちらかが勤務医となり、家計を支えなければ、生活費もままならない。

 さくらは、外資系企業に勤務しているOKだから、キャリア官僚の初任給並みに高給取りを、目につけられたのだろうと推察した。

 付き合っているうちに、開業医の一人娘だということがわかり、さくらを孕ませて、結婚を無理強いするつもりだったとハナからわかっていたが、挨拶に来たときは、さくらにまだ兆候が表れていなかったことに意外を感じる。

 それで快諾したのだが、まだヤツは尻尾を出していないようだ。と安心する。本当に川村大がさくらを愛し、幸せにしてくれるのなら、言うことはない。

 今は、ただ子供が無事に生まれてくれることを願うのみ。

 そして9月入社組との新人研修が始まる頃には、お腹が目立つ頃になっていて、参加すべきかどうすべきか、悩んだが、日本法人の人事が行くように命じたので、ロンドン入りすることになったのだ。

 妊娠6か月、長旅は、どうかと思ったが、両親も大さんも「大丈夫。」と言ってくれたので、安心して、行くことにする。

 両親は、さくらが留守中、食事に不自由するだろうから、実家に着て食べるように促すが、大さんは、やんわりと断り、「外食する。」と言い張ったので、それ以上は進めることはなかった。

 さくらの両親は、いよいようわきでもするのか?と疑い、したらしたで、そのことを理由に離婚させてしまおうと考えている。

 さくらが研修にロンドンへ旅立ってからというもの、さくらの両親が雇った興信所の探偵が、終日、大の行動を監視しているとも知らずに、大は、久しぶりの独身生活を満喫する。

 「おい、しばらく嫁さんが、海外研修に行って、留守しているから、俺は毎晩でも、ハンターに行けるぜ。行こうよ。」

 「大が軍資金出してくれるなら、俺は行けるぜ?」

 「ああ、嫁さんの親父さんから、たっぷりと小遣いをもらっているし、任せておけ。」

 「今夜の相手は女子アナだ。」

 「おおー!」

 「久しぶりの外食に、心躍るぜ。」

 「おい!大丈夫か?嫁さんの親にバレないか?」

 「大丈夫だ。クリニックに併設している実家で食べるように言われたけど、断っておいた。あちとらさんは、俺が婿入りしたおかげで、大喜びしているのだからな。大事にしてもらっているさ。」

 「なら、いいけど。嫁さん、名器だって自慢してたじゃないか?」

 「ああ、腹ボテでもイイカラダしている。昨夜もハッスルして、10回も抱いたぜ。」

 「じゅ、10回やって、まだ、できるのか?」

 「イイ女が相手なら、何度でも回復するっていうものさ。」



-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-



 威勢がよかったのは、最初だけ、女子アナをその気にさせ、無我せたところまではよかったが、いっこうに勃起しない。

 なぜだ?さくらを相手なら、いつだって、ビンビンなのに?

 パイパンをみても、奮い立たない。きっと、さくらがきれいすぎて、それを見慣れているから汚いパイパンでは、受け付けられなくなってしまったのかもしれない。

 電気を消し、再び挑むも、まったく萎えてしまう。仕方なくクンニと指でごまかすが、俺は一体どうなってしまったのだろうと頭を抱える。

 次の日の相手は客室乗務員、さすが国際線のキャビンアテンダントは、いいカラダをしている。今度は、大丈夫だろうと、組み伏せるが、俺のムスコは見向きもしないで舌を向いている。

 なぜだ?なぜ、できない!

 さくらがロンドンに旅立っていたい、一度もできないのは、なぜだ?大は不能になってしまったかのように、項垂れるしかない。

 アイツらは、普通にできているのに、俺が金出してやるのがバカらしい。それで、さくらが帰ってくるまで、ハンターはしなくなったのだが、もう浮気の証拠写真は、バッチリ撮られているので、今更、言い逃れはできない。
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