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8.恋愛
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「少し私にお時間いただけますか?」
「ええ。大丈夫でございます。」
エドワード殿下とともに、庭園の中ほどにあるベンチに腰掛ける。このベンチに座るのも、王太后様が身罷られてから初めてのことだ。
「巷に聞くところによれば、最近の魔道具をジャクリーン殿が作っていらっしゃるとお聞きしました。」
ああ、あの話か。
「ええ。そうでございます。たまたま街に出た時に立ち寄った店で、魔道具を見て、わたくしにも作れるかしら?と思い立ち、試しに1個、その場で作って見せたら店主から強く勧められて、豚もおだてられれば、水に潜る?というようなものですわ。」
「すごいことです!貴族ばかりが理を得るのではなく、庶民の暮らし向きまで向上させるような魔道具を作られるとは、王族の一員として、感謝申し上げる。」
「そんな、大げさな。ただの暇つぶしでございますわ。」
もう、そこで話が終わったのか、と思っていたら、急にエドワード殿下が顔を赤くされながらモジモジされ始めた。
ん?
「あの……、兄上との婚約が破棄されたと聞きました。もしよければのことですが、私と婚約していただくわけにはいかないでしょうか?」
「わたくし、もう誰とも婚約するつもりはございませんの。」
「それほど兄上のことが……、申し訳ありません。私など相手にされるわけがありませんよね。」
「いいえ。エドモンド殿下のことはもうなんとも思っておりません。ただ今はなんというか、本当の恋がしたいのです。政略ではなく恋愛を経験してみたいのです。エドワード殿下、わたくしと恋人になってくださりますか?」
「もちろんです!いいのですか?」
「結婚相手としてではなくても?」
「はい。ジャクリーヌ殿がお望みであれば。」
「そう。では仕方がないわね。わたくしのことはジャッキーと呼んでくださる?」
「はい。では私のことをワードとよんでください。」
「エドではなくて?」
「はい。ウチでは、エドが2人いますから。」
なら、エドモンドはモンドか?中村モンドみたいに昼行燈なのかな?前世の時代劇の一場面を思い出す。
「うふふ。確かにそうですわね。お茶にでもしましょうか?」
「ああ、これは気づきませんで。」
恋愛初心者が二人そろうと、どことなくぎこちがない。こんなので、本当に恋愛になるのだろうか。
エドワード殿下は、慌てて、女官を呼び寄せ、お茶の支度を始めさせる。運ばれてきたお茶と共に、焼き菓子が添えられてあった。なかなか美味しい。
「ワード様、はい、あ~んして。」
もうそれだけでゆでだこのような顔をされるモンド様。まずは、このあたりから始めることにする。
恥ずかしそうに口を開けるワード様、可愛い。イケメンはイケメンだけど、可愛すぎるぅ。
「次は、ジャッキーの番だよ。ほら、口を開けて。」
渋々、餌付けをされるような心境で口を開く。
「なんて、楽しいんだ。食べ相っこすると、こんなにも楽しいものだとは思わなかったよ。いやあ、嬉しいな。今日はいい日になった。ジャッキーと恋人になれて、恋人の真似事ができて。明日も会える?和えたら嬉しいけど?」
「もちろん。これからは毎日一緒にいましょう。一緒に魔道具のアイデアも考えてくれたら嬉しい。」
「本当に!幸せだなぁ。確かにいきなり婚約するより、恋愛期間を経た方が自由で楽しいね。」
「言っときますが、婚約はしないつもりですからね!でも、交際しているうちにモンド様のことがものすごく好きになれば、話は別になるかもしれないから、それまでは浮気なんてしないでくださいね。」
「わかっているよ、俺は兄上とは違う。ジャッキー愛しています。」
「本当?じゃ、キスして。」
「え!いきなり……大胆だな。でも、チャンスかもしれないから遠慮なく。チュっ。」
なんか、目の前の景色がピンク色に染まっているような気がする。これが幸せ感なのかしらね。
「うふ。もっと、してぇ。」
「甘えん坊さんだな。ジャッキーは。」
その後もハグしてくださりながら、何度か唇を重ねる。これはもう、やめられないわ。
浮気する人の気持ちがわかるような?
エドモンドと婚約していた時は、スキンシップは一切なく、いつも偉そうに上から目線で命令ばかりされていたから。
そして、本当に翌日も王城の庭園で待ち合わせデートをすることになった。
雨の日は、ワード様のお部屋でデートをし、晴れた日は、庭園で。そうこうしているうちに、王城内で、二人が付き合っていると噂になる。
その噂を耳にしてからというもの、なぜかエドモンドが頻繁に二人の仲を壊そうと、いろいろ仕掛けてくるのだが、幸せな二人の瞳にはエドモンドの姿が映らない。
それに一方的に癇癪を起しているのが、エドモンド殿下。寂しいならリリアーヌに慰めてもらえと言いたい。
いよいよ廃嫡されると心配しているのだろうか?廃籍されリリアーヌと共に、平民落ちを覚悟しているのか?そんなこと、幸せな二人には関係ない問題で、勝手に勘違いしてろ。ばか!
「ええ。大丈夫でございます。」
エドワード殿下とともに、庭園の中ほどにあるベンチに腰掛ける。このベンチに座るのも、王太后様が身罷られてから初めてのことだ。
「巷に聞くところによれば、最近の魔道具をジャクリーン殿が作っていらっしゃるとお聞きしました。」
ああ、あの話か。
「ええ。そうでございます。たまたま街に出た時に立ち寄った店で、魔道具を見て、わたくしにも作れるかしら?と思い立ち、試しに1個、その場で作って見せたら店主から強く勧められて、豚もおだてられれば、水に潜る?というようなものですわ。」
「すごいことです!貴族ばかりが理を得るのではなく、庶民の暮らし向きまで向上させるような魔道具を作られるとは、王族の一員として、感謝申し上げる。」
「そんな、大げさな。ただの暇つぶしでございますわ。」
もう、そこで話が終わったのか、と思っていたら、急にエドワード殿下が顔を赤くされながらモジモジされ始めた。
ん?
「あの……、兄上との婚約が破棄されたと聞きました。もしよければのことですが、私と婚約していただくわけにはいかないでしょうか?」
「わたくし、もう誰とも婚約するつもりはございませんの。」
「それほど兄上のことが……、申し訳ありません。私など相手にされるわけがありませんよね。」
「いいえ。エドモンド殿下のことはもうなんとも思っておりません。ただ今はなんというか、本当の恋がしたいのです。政略ではなく恋愛を経験してみたいのです。エドワード殿下、わたくしと恋人になってくださりますか?」
「もちろんです!いいのですか?」
「結婚相手としてではなくても?」
「はい。ジャクリーヌ殿がお望みであれば。」
「そう。では仕方がないわね。わたくしのことはジャッキーと呼んでくださる?」
「はい。では私のことをワードとよんでください。」
「エドではなくて?」
「はい。ウチでは、エドが2人いますから。」
なら、エドモンドはモンドか?中村モンドみたいに昼行燈なのかな?前世の時代劇の一場面を思い出す。
「うふふ。確かにそうですわね。お茶にでもしましょうか?」
「ああ、これは気づきませんで。」
恋愛初心者が二人そろうと、どことなくぎこちがない。こんなので、本当に恋愛になるのだろうか。
エドワード殿下は、慌てて、女官を呼び寄せ、お茶の支度を始めさせる。運ばれてきたお茶と共に、焼き菓子が添えられてあった。なかなか美味しい。
「ワード様、はい、あ~んして。」
もうそれだけでゆでだこのような顔をされるモンド様。まずは、このあたりから始めることにする。
恥ずかしそうに口を開けるワード様、可愛い。イケメンはイケメンだけど、可愛すぎるぅ。
「次は、ジャッキーの番だよ。ほら、口を開けて。」
渋々、餌付けをされるような心境で口を開く。
「なんて、楽しいんだ。食べ相っこすると、こんなにも楽しいものだとは思わなかったよ。いやあ、嬉しいな。今日はいい日になった。ジャッキーと恋人になれて、恋人の真似事ができて。明日も会える?和えたら嬉しいけど?」
「もちろん。これからは毎日一緒にいましょう。一緒に魔道具のアイデアも考えてくれたら嬉しい。」
「本当に!幸せだなぁ。確かにいきなり婚約するより、恋愛期間を経た方が自由で楽しいね。」
「言っときますが、婚約はしないつもりですからね!でも、交際しているうちにモンド様のことがものすごく好きになれば、話は別になるかもしれないから、それまでは浮気なんてしないでくださいね。」
「わかっているよ、俺は兄上とは違う。ジャッキー愛しています。」
「本当?じゃ、キスして。」
「え!いきなり……大胆だな。でも、チャンスかもしれないから遠慮なく。チュっ。」
なんか、目の前の景色がピンク色に染まっているような気がする。これが幸せ感なのかしらね。
「うふ。もっと、してぇ。」
「甘えん坊さんだな。ジャッキーは。」
その後もハグしてくださりながら、何度か唇を重ねる。これはもう、やめられないわ。
浮気する人の気持ちがわかるような?
エドモンドと婚約していた時は、スキンシップは一切なく、いつも偉そうに上から目線で命令ばかりされていたから。
そして、本当に翌日も王城の庭園で待ち合わせデートをすることになった。
雨の日は、ワード様のお部屋でデートをし、晴れた日は、庭園で。そうこうしているうちに、王城内で、二人が付き合っていると噂になる。
その噂を耳にしてからというもの、なぜかエドモンドが頻繁に二人の仲を壊そうと、いろいろ仕掛けてくるのだが、幸せな二人の瞳にはエドモンドの姿が映らない。
それに一方的に癇癪を起しているのが、エドモンド殿下。寂しいならリリアーヌに慰めてもらえと言いたい。
いよいよ廃嫡されると心配しているのだろうか?廃籍されリリアーヌと共に、平民落ちを覚悟しているのか?そんなこと、幸せな二人には関係ない問題で、勝手に勘違いしてろ。ばか!
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