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ジュリアスティが国境を出てから、義母と義姉妹が詐欺師であったことが判明したけど、もうストラッカー王国へ戻る気はない。
賽は投げられたのである。クリストファー様とのご縁もそれだけでしかなかったということ。きれいさっぱり、諦めて新天地を目指そう。
途中、何度も野宿しないといけない場面があったが、公爵邸を持ってきたおかげで、野宿することもなく快適に旅を続けられる。
アイテムボックス持ちって便利よね。ジュリアスティもアイテムボックスを持ちたいと精霊に頼んでも、精霊は首をかしげて応じてくれない。
精霊は気まぐれなところがあるから、気が向いたらアイテムボックス持ちにしてくれるかもしれないので、気長に待つことにする。
隣国ブルーライドウエル王国を素通りして、まっすぐ街道沿いに進んでも良かったのだけど、食料や水の補給をしたいと料理長から言われ、隣国へ立ち寄ることに決める。
なんせ、いきなり出てきたから、家を持っていくという発想がなく、現地調達はなんとなく考えてはいたが、ここまでの大所帯を想定しておらず、食料はともかくとして、水は圧倒的に備蓄分がなくなってきているのである。
クリストファー様からの婚約違約金はたっぷりとあるから、それで父の赴任先ブルーフォード国まで行って帰ってくるぐらい、余裕がある。
それに食事は毎食立食パーティをするぐらいの軍資金があるけど、水だけはどうしようもないからである。
精霊に頼めば、水ぐらい出してくれるような気もするけど、安易に小間使いのようなことはさせられない。
ブルーライドウエル国は大国で、行き交う人々は、みな笑顔であったのだ。
ストラッカー国とは、違う。繁栄している国なのだろう。今までは、ストラッカー国の外を一歩も出たことがなかったので、他国もこんなものだろうと思っていたのである。
ブルーライドウエル国を物見遊山気分で、観光してから、そのまた隣の国、ゴールデンラブリス国には素通りで、その隣の国ブラッドリボン国では、また入国して、食料の買い出しと水の補給に務める。
こうして、互い違いにスルーする国と水の補給をする国とに分けて、父の赴任先を目指すことにしたのである。
片道3か月かかると言われているところを、約2か月で着く。泊る宿の確保のための時間がいらないから、日が暮れるまで、街道を進める結果、殊の外、早く到着したのだ。
ハートフルス公爵は、娘のジュリアスティの姿を見つけ、大変驚いている。
そして、父が出張に出かけている間に、偽の後妻とその連れ子が入り込んできて、王家を巻き込む詐欺事件があったことなどを言う。
「へぇー。そんなことが……。それでは、おいそれと家を空けられないね。」
それでクリストファー様との婚約も破棄されてしまい、その違約金でここまで来たことなどを言う。
父はしばらく考え込んでいる。それから、何も言わずに出て行ったのである。
父が帰宅したのは、その日の夕暮れで、明日、一緒に教会へ行こうと言われる。
「え?何故でございますか?」
「このブルーフォード国では、聖女様の判定を15歳からできることになっている。もし、ジュリアスティが聖女様なれば、もう父さんは、ストラッカー国へ戻らないことにするよ。」
「ど、どういうことでございますか?」
「大丈夫だ。任せておけ。」
翌朝、早くに教会へ行くことになったのだけど、なぜか、国王陛下に王太子様までいらっしゃる。
昨日、父が出かけたことと関係ある?
司祭様より出された水晶玉に手をかざすだけで、聖女様か否かがわかるという。
おそるおそるジュリアスティが、水晶玉に手をかざすと……、
……はい、キラキラと輝きだして、やはり精霊の申し子だけのことはある。
場内からは、「ほーっ。」とため息が漏れる。
「やっぱり、聖女様であったか。」
「聖女様、どうか私と婚約していただきたいのです。私は、ロジャー・フォン・ブルーフォードと申します。昨日、お父上より、ストラッカー国での婚約がなくなったと伺いました。かねてより、お父上のハートフルス公爵にお嬢様をくださいとお願いしておりました。」
ジュリアスティは、初耳の話で思わず振り返って、父のほうを見ると、父が頷いている。いったいどういうこと?
父の話では、赴任してすぐ、王太子殿下から婚約の打診があったそうで、でも娘はストラッカー王国の第2王子と婚約してしまった後で、どうしようかと思っていたそうです。
偽の後妻騒ぎがあり、婚約解消されていることなど、昨日、初めて聞かされるまで全然知らなかったことで、それを知ったから、あの話は生きているか?と昨日、父から話が合ったらしい。
ブルーフォード国は、もう何百年も聖女様が出ていない国で、聖女様出現を待ち望んでいたところ、父が赴任して、「ウチの娘は、精霊の申し子で、18歳になれば聖女認定を受ける予定だ。」ということを歓迎祝賀会で酔った勢いでついポロリと喋ってしまったことから、ハートフルスの令嬢を待ち望んでいたということ。
ジュリアスティとしては、いいことはいいけど、一応まだストラッカー国に籍を置いているのでは?との思いから、ストラッカー国に一応聖女報告しといたほうがいいのでは?と思ってしまう。
そこでハートフルス公爵家として、ストラッカー国に対し、ジュリアスティが聖女覚醒したということの報告がなされる。
賽は投げられたのである。クリストファー様とのご縁もそれだけでしかなかったということ。きれいさっぱり、諦めて新天地を目指そう。
途中、何度も野宿しないといけない場面があったが、公爵邸を持ってきたおかげで、野宿することもなく快適に旅を続けられる。
アイテムボックス持ちって便利よね。ジュリアスティもアイテムボックスを持ちたいと精霊に頼んでも、精霊は首をかしげて応じてくれない。
精霊は気まぐれなところがあるから、気が向いたらアイテムボックス持ちにしてくれるかもしれないので、気長に待つことにする。
隣国ブルーライドウエル王国を素通りして、まっすぐ街道沿いに進んでも良かったのだけど、食料や水の補給をしたいと料理長から言われ、隣国へ立ち寄ることに決める。
なんせ、いきなり出てきたから、家を持っていくという発想がなく、現地調達はなんとなく考えてはいたが、ここまでの大所帯を想定しておらず、食料はともかくとして、水は圧倒的に備蓄分がなくなってきているのである。
クリストファー様からの婚約違約金はたっぷりとあるから、それで父の赴任先ブルーフォード国まで行って帰ってくるぐらい、余裕がある。
それに食事は毎食立食パーティをするぐらいの軍資金があるけど、水だけはどうしようもないからである。
精霊に頼めば、水ぐらい出してくれるような気もするけど、安易に小間使いのようなことはさせられない。
ブルーライドウエル国は大国で、行き交う人々は、みな笑顔であったのだ。
ストラッカー国とは、違う。繁栄している国なのだろう。今までは、ストラッカー国の外を一歩も出たことがなかったので、他国もこんなものだろうと思っていたのである。
ブルーライドウエル国を物見遊山気分で、観光してから、そのまた隣の国、ゴールデンラブリス国には素通りで、その隣の国ブラッドリボン国では、また入国して、食料の買い出しと水の補給に務める。
こうして、互い違いにスルーする国と水の補給をする国とに分けて、父の赴任先を目指すことにしたのである。
片道3か月かかると言われているところを、約2か月で着く。泊る宿の確保のための時間がいらないから、日が暮れるまで、街道を進める結果、殊の外、早く到着したのだ。
ハートフルス公爵は、娘のジュリアスティの姿を見つけ、大変驚いている。
そして、父が出張に出かけている間に、偽の後妻とその連れ子が入り込んできて、王家を巻き込む詐欺事件があったことなどを言う。
「へぇー。そんなことが……。それでは、おいそれと家を空けられないね。」
それでクリストファー様との婚約も破棄されてしまい、その違約金でここまで来たことなどを言う。
父はしばらく考え込んでいる。それから、何も言わずに出て行ったのである。
父が帰宅したのは、その日の夕暮れで、明日、一緒に教会へ行こうと言われる。
「え?何故でございますか?」
「このブルーフォード国では、聖女様の判定を15歳からできることになっている。もし、ジュリアスティが聖女様なれば、もう父さんは、ストラッカー国へ戻らないことにするよ。」
「ど、どういうことでございますか?」
「大丈夫だ。任せておけ。」
翌朝、早くに教会へ行くことになったのだけど、なぜか、国王陛下に王太子様までいらっしゃる。
昨日、父が出かけたことと関係ある?
司祭様より出された水晶玉に手をかざすだけで、聖女様か否かがわかるという。
おそるおそるジュリアスティが、水晶玉に手をかざすと……、
……はい、キラキラと輝きだして、やはり精霊の申し子だけのことはある。
場内からは、「ほーっ。」とため息が漏れる。
「やっぱり、聖女様であったか。」
「聖女様、どうか私と婚約していただきたいのです。私は、ロジャー・フォン・ブルーフォードと申します。昨日、お父上より、ストラッカー国での婚約がなくなったと伺いました。かねてより、お父上のハートフルス公爵にお嬢様をくださいとお願いしておりました。」
ジュリアスティは、初耳の話で思わず振り返って、父のほうを見ると、父が頷いている。いったいどういうこと?
父の話では、赴任してすぐ、王太子殿下から婚約の打診があったそうで、でも娘はストラッカー王国の第2王子と婚約してしまった後で、どうしようかと思っていたそうです。
偽の後妻騒ぎがあり、婚約解消されていることなど、昨日、初めて聞かされるまで全然知らなかったことで、それを知ったから、あの話は生きているか?と昨日、父から話が合ったらしい。
ブルーフォード国は、もう何百年も聖女様が出ていない国で、聖女様出現を待ち望んでいたところ、父が赴任して、「ウチの娘は、精霊の申し子で、18歳になれば聖女認定を受ける予定だ。」ということを歓迎祝賀会で酔った勢いでついポロリと喋ってしまったことから、ハートフルスの令嬢を待ち望んでいたということ。
ジュリアスティとしては、いいことはいいけど、一応まだストラッカー国に籍を置いているのでは?との思いから、ストラッカー国に一応聖女報告しといたほうがいいのでは?と思ってしまう。
そこでハートフルス公爵家として、ストラッカー国に対し、ジュリアスティが聖女覚醒したということの報告がなされる。
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