上 下
17 / 49

17.リングの効果

しおりを挟む
 時は流れ、いよいよ卒業式が始まる頃となった。

 卒業式が済めば、すぐにマクシミリアン様との結婚式が行われる。乙女ゲームにはなかった設定だけど、ミッシェルは幸せだ。

 ウエディングドレスも仮縫いを経て、出来上がるのが待ち遠しい。

 マクシミリアン様とは、あれから週末になるとお泊り愛をしている。もうリングが少しでもマクシミリアン様と離れると、やたら、うるさく言うので、かなわない。

 たださえフェロモンのせいで、発情しっぱなしになるというのに、そこへもってきて、リングを嵌められてからは、マクシミリアン様もそうだと思うのだけど、リングがお互いの対のリングを呼び合うのだ。

 このリングは魔道具で、一種の貞操帯の役目を果たしているのだが、嵌めてすぐ二人がセックスに及んだことが影響しているらしく、貞操帯というより、お互いを求め合うためのリングとなってしまっている。

 マクシミリアン様が欲情なさると、対のリングをしているミッシェルにまで影響を及ぼし、自然と濡れてくるのだ。

 反対に、ミッシェルがマクシミリアン様からのキスを受け、濡れると、マクシミリアン様も途端にムクムクと元気になられる仕組みになってしまったのだ。

 おかげで、朝の馬車内で、いきなりセックスに及ぶこともあり、休憩時間も、空き教室に飛び込んで、お互いを慰めあう。授業中は、できるだけ、そのことを考えないようにしているが、何かのはずみで、リングが反応したときは、トイレに駆け込むこともしばしばある。

 その時は、男子トイレか女子トイレか、どちらに入るべきなのかを躊躇する。

 たいてい、マクシミリアン様が待っていてくださるので、適当にどちらか空いている方に入り、そこで処理するのだ。

 でも、このリングのおかげで、ダニエルに犯されなくても済むようになって、よかった。いずれにしても、結界が張ってあるので、ミッシェルのカラダには、そうそう近づけない。

 放課後は放課後で、疲れて、できなくなるまで、お互いを求め合う。

 そんな調子の毎日を送っているので、週末はお泊り愛に徹しているのだ。

 でも、さすがに若い二人は体力がある。そんな生活を送っていても、表面上は貴族令息、貴族令嬢の体面を保つぐらいの礼儀は心得ている。

 リングがお互いを呼び合う。もうマクシミリアンとミッシェルは切っても切れない仲になってしまったのだ。

 だから、それがたとえクリストファー殿下の思し召しでも。

 「なぁ、頼むよ、一生のお願いだから。」

 「ダメなものはダメなのです。」

 「いいじゃないか?アイリスが戻ってこないのだよ。」

 「世継ぎができなければ、この国はおしまいになる。だから、1回だけ?ね。1回だけならいいでしょ?」

 「ミッシェルには、貞操帯を着けさせていますから、できません。」

 「おま、お前、そんな古臭い手を使っているのか?はぁ呆れた奴だな。」

 「1回でもし孕んだとしても、パルシャンティア家の子供になります。」

 「いいよ。それでもミッシェルとヤりたい。ミッシェルを抱かせてくれるのなら、俺は、どれだけ犠牲を払っても構わない。」

 「ミッシェルに聞いてみます。ミッシェルがどうしても、殿下との夜伽を望むのなら、止はしませんし、結界も解除します。」

 「そうか、ありがとう。ミッシェルがイヤというはずはない。早速、結界を解除してもらおうか?」

 「え?今からですか?ミッシェルの意見も聞かずに解除することはできません。」

 「なんなんだよ?もう、ミッシェルの亭主気取りか?まだ、結婚式も済ませてないだろ?ミッシェルは、絶対やらせてくれるさ。いいから、今すぐ結界を解除しろ!これは王太子としての命令だ。」

 そこまで言われ、渋々ながら、ミッシェルの結界を解除する。

 「知りませんよ。どうなっても?いいですね?」

 舌なめずりをしながらクリストファー殿下は、ミッシェルの居場所を探す。

 結界が亡くなったせいか、意外にも早くミッシェルを見つけ出すことができた。ミッシェルは、東の庭で、マクシミリアンが来るのを待っているようだった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

夫の不倫劇・危ぶまれる正妻の地位

岡暁舟
恋愛
 とある公爵家の嫡男チャールズと正妻アンナの物語。チャールズの愛を受けながらも、夜の営みが段々減っていくアンナは悶々としていた。そんなアンナの前に名も知らぬ女が現れて…?

悪役令嬢に転生して主人公のメイン攻略キャラである王太子殿下に婚約破棄されましたので、張り切って推しキャラ攻略いたしますわ

奏音 美都
恋愛
私、アンソワーヌは婚約者であったドリュー子爵の爵士であるフィオナンテ様がソフィア嬢に心奪われて婚約破棄され、傷心…… いいえ、これでようやく推しキャラのアルモンド様を攻略することができますわ!

【完結】妻至上主義

Ringo
恋愛
歴史ある公爵家嫡男と侯爵家長女の婚約が結ばれたのは、長女が生まれたその日だった。 この物語はそんな2人が結婚するまでのお話であり、そこに行き着くまでのすったもんだのラブストーリーです。 本編11話+番外編数話 [作者よりご挨拶] 未完作品のプロットが諸事情で消滅するという事態に陥っております。 現在、自身で読み返して記憶を辿りながら再度新しくプロットを組み立て中。 お気に入り登録やしおりを挟んでくださっている方には申し訳ありませんが、必ず完結させますのでもう暫くお待ち頂ければと思います。 (╥﹏╥) お詫びとして、短編をお楽しみいただければ幸いです。

皇太子殿下の御心のままに~悪役は誰なのか~

桜木弥生
恋愛
「この場にいる皆に証人となって欲しい。私、ウルグスタ皇太子、アーサー・ウルグスタは、レスガンティ公爵令嬢、ロベリア・レスガンティに婚約者の座を降りて貰おうと思う」 ウルグスタ皇国の立太子式典の最中、皇太子になったアーサーは婚約者のロベリアへの急な婚約破棄宣言? ◆本編◆ 婚約破棄を回避しようとしたけれど物語の強制力に巻き込まれた公爵令嬢ロベリア。 物語の通りに進めようとして画策したヒロインエリー。 そして攻略者達の後日談の三部作です。 ◆番外編◆ 番外編を随時更新しています。 全てタイトルの人物が主役となっています。 ありがちな設定なので、もしかしたら同じようなお話があるかもしれません。もし似たような作品があったら大変申し訳ありません。 なろう様にも掲載中です。

婚約破棄の『めでたしめでたし』物語

サイトウさん
恋愛
必ず『その後は、国は栄え、2人は平和に暮らしました。めでたし、めでたし』で終わる乙女ゲームの世界に転生した主人公。 この物語は本当に『めでたしめでたし』で終わるのか!? プロローグ、前編、中篇、後編の4話構成です。 貴族社会の恋愛話の為、恋愛要素は薄めです。ご期待している方はご注意下さい。

光の王太子殿下は愛したい

葵川真衣
恋愛
王太子アドレーには、婚約者がいる。公爵令嬢のクリスティンだ。 わがままな婚約者に、アドレーは元々関心をもっていなかった。 だが、彼女はあるときを境に変わる。 アドレーはそんなクリスティンに惹かれていくのだった。しかし彼女は変わりはじめたときから、よそよそしい。 どうやら、他の少女にアドレーが惹かれると思い込んでいるようである。 目移りなどしないのに。 果たしてアドレーは、乙女ゲームの悪役令嬢に転生している婚約者を、振り向かせることができるのか……!? ラブラブを望む王太子と、未来を恐れる悪役令嬢の攻防のラブ(?)コメディ。 ☆完結しました。ありがとうございました。番外編等、不定期更新です。

【完結】悪役令嬢の反撃の日々

アイアイ
恋愛
「ロゼリア、お茶会の準備はできていますか?」侍女のクラリスが部屋に入ってくる。 「ええ、ありがとう。今日も大勢の方々がいらっしゃるわね。」ロゼリアは微笑みながら答える。その微笑みは氷のように冷たく見えたが、心の中では別の計画を巡らせていた。 お茶会の席で、ロゼリアはいつものように優雅に振る舞い、貴族たちの陰口に耳を傾けた。その時、一人の男性が現れた。彼は王国の第一王子であり、ロゼリアの婚約者でもあるレオンハルトだった。 「ロゼリア、君の美しさは今日も輝いているね。」レオンハルトは優雅に頭を下げる。

【完結】婚約破棄寸前の悪役令嬢に転生したはずなのに!?

もふきゅな
恋愛
現代日本の普通一般人だった主人公は、突然異世界の豪華なベッドで目を覚ます。鏡に映るのは見たこともない美しい少女、アリシア・フォン・ルーベンス。悪役令嬢として知られるアリシアは、王子レオンハルトとの婚約破棄寸前にあるという。彼女は、王子の恋人に嫌がらせをしたとされていた。 王子との初対面で冷たく婚約破棄を告げられるが、美咲はアリシアとして無実を訴える。彼女の誠実な態度に次第に心を開くレオンハルト 悪役令嬢としてのレッテルを払拭し、彼と共に幸せな日々を歩もうと試みるアリシア。

処理中です...