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14.チャーシュー
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安井康夫 65歳八百屋店店主。
異世界から帰ってきて以来、持病の腰痛はすっかり消え失せ、長い間、寝込んでいたおふくろの体調もすっかり安定し、今では、時々散歩に出かけられるぐらい回復した。それもこれも、異世界召喚に巻き込まれたおかげだと思っている。
異世界で習得した腐らない野菜魔法のおかげ。聖女様には野菜の成長を助ける魔法だと言っていたが、実は腐らない魔法を習得していたのだ。もちろん畑にその魔法を付与すれば、成長を格段と促進することができるのだが、効能はそれだけではない。
出来上がった野菜をおふくろに食べさせると、みるみる元気になり、寝たきりだったおふくろが自力で歩けるようになるまで回復を見せたことは大きいし、大きな喜びでもあった。
なんといっても、嫁さんからお小言を食らわなくて済むということが大きい。
嫁は、おふくろの世話を嫌な顔をしながらしていたので、康夫にもストレスがかかる。そのストレスを晴らすため、毎晩、居酒屋へ飲みに出かけていた時に、聖女様の召喚に巻き込まれた。
もう少し、居酒屋に長居していたら、おそらく巻き込まれずに済んだものだが、康夫にとってはラッキーとしか言いようがない出来事だったのだ。
葉物野菜は、すぐ傷む。それがこの魔法を習得してから、店売りの野菜は腐ることがなくなり、その分、廃棄するものもない。
それにウチの店で買った野菜を食べたら、聖女様の料理を食べたものと同様の一定の効果が得られることが分かったから。お客さんは、たいして気にはしていないようだが、中には、「ここの野菜を食べたら、なぜだか気分がいいの」と言ってくださるお客様まで現れる。
次第に口コミで、安井商店の野菜はスゴイという流言が成り立ってしまい、テレビや週刊誌の取材を受けるようになった。
康夫が野菜に、こっそり魔法をかけていることなど誰も知る由がなく、嬉しいうわさ話であることには変わりがない。
帰って以来、毎晩のように聖女様の夜食を食べに行き、居酒屋へはすっかりご無沙汰している。
それで魔力が枯渇することもなく、畑と店売りの野菜にどんどん魔力を注ぐことができる。
マツタケは赤松の傍でなければ生育しないが、この魔法を使えば、普通の畑にでもマツタケは生えるようになる。タケノコもしかりだ。竹林がなくても、タケノコをイメージすれば、季節を問わずタケノコやマツタケが収穫できるようになったことも大きい。
またハウス栽培のイチゴもしかりで、ハウスなどに頼らなくても普通の畑で、甘いイチゴが収穫できる。スイカも同じように、スイカは1年ごとに畑を休ませなければならないものだが、この魔法のおかげで、何の苦も無く同じ畑で、毎年、いや、季節を問わずスイカが成るようになった。
季節を問わず高級果実が作れるようになり、デパートのバイヤーから目を付けられ、注文が殺到するも、そもそも商売というよりは、おふくろのための野菜や果物なので、あまり金儲けには興味がない。
毎日、食べる物に困らなければ、そして家族全員が健康で長生きでき、幸せに暮らせたら一番と思っている。
害虫や冷害の心配はいらない。なぜなら、聖女様と言うほどではないが、畑に結界を張るやり方を教えてもらったからだ。
あのブエノスアイレス国の宮廷魔法師団長は大した男だ。康夫の願いや悩み事を何でも叶えてくれる。
それというのも、康夫には、異世界で毎日聖女様の作られる手料理を食べていたから、魔力量は十分にあったからこそ成し遂げられたものだと思う。これがあのオカマ野郎と召喚されたのであれば、今頃は生きていないだろう。だから、運よく聖女様の側につけて良かったとしか言いようがない。
-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-
チャーシュー
豚肩ロース 350グラム
水 1カップ
濃い口しょうゆ 1/2カップ
砂糖 大さじ2
ショウガチューブ 2cm
にんにくチューブ 1cm
ロースブロックは、フォークで全体を突き刺し、タコ糸などで縛る
耐熱容器に肉と調味料を入れ、クッキングペーパーを落とし豚の代わりに肉にピタリとくっつける
その上からラップをふんわりかけ、電子レンジ600w7分間加熱
いったん、取り出し豚肉を裏向け、再びクッキングぺーパーでかぶせるように覆い、ラップをして600w5分加熱
粗熱を取り、豚肉を切り分ければ完成です
異世界から帰ってきて以来、持病の腰痛はすっかり消え失せ、長い間、寝込んでいたおふくろの体調もすっかり安定し、今では、時々散歩に出かけられるぐらい回復した。それもこれも、異世界召喚に巻き込まれたおかげだと思っている。
異世界で習得した腐らない野菜魔法のおかげ。聖女様には野菜の成長を助ける魔法だと言っていたが、実は腐らない魔法を習得していたのだ。もちろん畑にその魔法を付与すれば、成長を格段と促進することができるのだが、効能はそれだけではない。
出来上がった野菜をおふくろに食べさせると、みるみる元気になり、寝たきりだったおふくろが自力で歩けるようになるまで回復を見せたことは大きいし、大きな喜びでもあった。
なんといっても、嫁さんからお小言を食らわなくて済むということが大きい。
嫁は、おふくろの世話を嫌な顔をしながらしていたので、康夫にもストレスがかかる。そのストレスを晴らすため、毎晩、居酒屋へ飲みに出かけていた時に、聖女様の召喚に巻き込まれた。
もう少し、居酒屋に長居していたら、おそらく巻き込まれずに済んだものだが、康夫にとってはラッキーとしか言いようがない出来事だったのだ。
葉物野菜は、すぐ傷む。それがこの魔法を習得してから、店売りの野菜は腐ることがなくなり、その分、廃棄するものもない。
それにウチの店で買った野菜を食べたら、聖女様の料理を食べたものと同様の一定の効果が得られることが分かったから。お客さんは、たいして気にはしていないようだが、中には、「ここの野菜を食べたら、なぜだか気分がいいの」と言ってくださるお客様まで現れる。
次第に口コミで、安井商店の野菜はスゴイという流言が成り立ってしまい、テレビや週刊誌の取材を受けるようになった。
康夫が野菜に、こっそり魔法をかけていることなど誰も知る由がなく、嬉しいうわさ話であることには変わりがない。
帰って以来、毎晩のように聖女様の夜食を食べに行き、居酒屋へはすっかりご無沙汰している。
それで魔力が枯渇することもなく、畑と店売りの野菜にどんどん魔力を注ぐことができる。
マツタケは赤松の傍でなければ生育しないが、この魔法を使えば、普通の畑にでもマツタケは生えるようになる。タケノコもしかりだ。竹林がなくても、タケノコをイメージすれば、季節を問わずタケノコやマツタケが収穫できるようになったことも大きい。
またハウス栽培のイチゴもしかりで、ハウスなどに頼らなくても普通の畑で、甘いイチゴが収穫できる。スイカも同じように、スイカは1年ごとに畑を休ませなければならないものだが、この魔法のおかげで、何の苦も無く同じ畑で、毎年、いや、季節を問わずスイカが成るようになった。
季節を問わず高級果実が作れるようになり、デパートのバイヤーから目を付けられ、注文が殺到するも、そもそも商売というよりは、おふくろのための野菜や果物なので、あまり金儲けには興味がない。
毎日、食べる物に困らなければ、そして家族全員が健康で長生きでき、幸せに暮らせたら一番と思っている。
害虫や冷害の心配はいらない。なぜなら、聖女様と言うほどではないが、畑に結界を張るやり方を教えてもらったからだ。
あのブエノスアイレス国の宮廷魔法師団長は大した男だ。康夫の願いや悩み事を何でも叶えてくれる。
それというのも、康夫には、異世界で毎日聖女様の作られる手料理を食べていたから、魔力量は十分にあったからこそ成し遂げられたものだと思う。これがあのオカマ野郎と召喚されたのであれば、今頃は生きていないだろう。だから、運よく聖女様の側につけて良かったとしか言いようがない。
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チャーシュー
豚肩ロース 350グラム
水 1カップ
濃い口しょうゆ 1/2カップ
砂糖 大さじ2
ショウガチューブ 2cm
にんにくチューブ 1cm
ロースブロックは、フォークで全体を突き刺し、タコ糸などで縛る
耐熱容器に肉と調味料を入れ、クッキングペーパーを落とし豚の代わりに肉にピタリとくっつける
その上からラップをふんわりかけ、電子レンジ600w7分間加熱
いったん、取り出し豚肉を裏向け、再びクッキングぺーパーでかぶせるように覆い、ラップをして600w5分加熱
粗熱を取り、豚肉を切り分ければ完成です
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