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13.平将門との出会い

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 菅原道真にミコができることは、梅の苗木を手渡し、太宰府に植えてもらうことしかできなく、虚しさにその夜は泣いてしまう。

 次に平安時代はさらに時間が経っていて、平将門の時代にまで、飛んでしまう。

 平将門と言えば、桓武天皇の曾孫にあたる高望親王殿下を祖父に持つ由緒正しき高貴な血筋であったが、不運から閑職にばかり当たり、実力を発揮できずにいた。

 そうこうしている間に、父良将が早逝して、夢をあきらめ、泣く泣く関東の地へ帰らざるを得なくなった。
 
 将門が家に帰ると、吉将の所領(下総国佐倉)が叔父良正(下野介)、良兼(上総介)、国香(陸奥大掾)に横領されていることがわかる。

 しかも、将門が妻として望んでいた源衛(みなもとのまもる)という官位を持つ男性の三人娘が揃って、叔父のところに嫁いでいたものだから、女と領地の二つを奪われ、大激怒したと言われている。

 結局、いつの時代でも、女とカネで喧嘩をする。

 諸説あるが、将門の妻となった女性に、源衛の3人の息子が横恋慕したという説もあるが、とどのつまりが、またしてもここでも、オンナとカネ絡みであること。

 それで将門は、源衛の3人の息子、国香が上野国花園村で将門を襲撃するが、国香の弟の平良文が援護を認め、難を逃れ返り討ちとする。

 これに怒った源衛と良正、良兼が朝廷に直訴をして、検非違使で尋問を受け囚われの身となってしまう。

 937年に朱雀天皇が元服する際に恩赦となり、晴れて自由の身となり坂東へ帰郷するも、それを面白くない良兼と貞盛(国香の息子)が塀を起こし、将門を攻撃するが、逆に将門は調停に二人の暴状を訴え出たことから、良兼、貞盛の追補の官符が発せられることになり、良兼軍は衰退していき、病死する。

 藤原玄明(ふじわらのはるあき)は、国政の在り方に不満を持ち、国司の横暴に耐え切れず、国司が不当にため込んだ蔵を襲い、民衆に分け与えるなどしたことから、将門に対し、藤原玄明の引き渡しを要求するが、将門はこれを拒否したことから、朝敵の汚名を着せられることになったのだ。

 最初は、領地(カネ)とオンナのもめ事がどんどん発展していき、将門は、自らを八幡大菩薩からご神託を受けた新皇と名乗るようになる。

 最初は、常陸国国司から印綬を取り上げただけでなく、関東一円の国司を襲い、片っ端から印綬を奪い続け、ついには朝敵となってしまう。

 調停は討伐軍を出すが、将門はめっぽう強い。

 そこで、なりふり構わなくなった調停は、将門の首を盗ったものは、身分にかかわらず、全員温床として、貴族の位を与えるという約束までしてしまう。

 それで平貞盛に狙われるが、難を逃れたのもつかの間、貴族に強いあこがれを持っていた藤原秀郷(俵藤太)の流れ矢に当たり絶命する。

 しばらく京の都で首を晒されていたところは、京都神田明神として祀られ、その後、怨霊となった将門の霊を鎮めるため神田明神を造り、丁重に祭ってある。現在は財務省の一部になっている。



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 天翔ける巫女と将門の出会いは、ちょうどミコが平安京の上空を飛んでいるときにさかのぼる。

 比叡山にある、通称将門岩で魔何やら叫んでいる大男がいる。

 気になって下りてみると、それが平将門との出会いであったのだ。

 「なんだ?物の怪か?」

 「わたくしは古来より、天翔ける巫女として知られておきます。」

 「ほう。その方があの有名な天翔ける巫女殿か?これは、ご無礼した。儂は、平将門と申す若輩者で叔父に騙され、領地と妻になる女性を奪われてしまったのだ。儂は運に見放されてしまったのかと思ったが、帝の元服祝いのため、こうしてまた出てこられた。巫女殿に聞く。儂は天下をとれるか?」

 「取れません。」

 「がはは。キッパリ言われてしまったな。でも、大暴れぐらいはできるのか?」

 「はい。後世に名前を残す武将になられます。しかし、伊予の国司藤原純友と手を組み、朝廷を挟み撃ちにすれば、あるいは勝算があるかもしれません。」

 「伊予の藤原純友とは?」

 「簡単に言えば、海賊の親分ですわ。」

 「がはは。これは面白いことを聞いた。コトを構える前に一度、死者でも送ってみようではないか?ああ、今日は気分がいいぞ。」

 「それでは、お近づきのしるしとして、神田明神まで、転移させてあげましょう。」

 「てんい?とは、なんぞや?」

 「平将門功を待つってある神社まで、ひとっとびで連れて行って差し上げます。今の世は、まだ祀られていませんが……、その場所をよく知っているものなので、わたくしには行くことができるのです。」

 「ほいじゃ。ひとつ頼むわ。」

 将門は、急にめまいのような浮遊感に襲われると、目を開けたら、そこは何もない野っ原が広がっていた。

 「ほう。ここが神田か……。ついでなら、常陸国まで、頼みたいところだが、ここからは、そう遠くないところにあるのだろう。」

 「ん?待って。佐倉だったわよね?大学の先輩が佐倉に住んでいて、遊びに行ったことがあるから、あるいは、そこまでなら行けるかもしれない。ちょっと、もう一度やってみるわね。はっきり覚えているのは、駅前だけで、先輩のお家まで覚えていないけどね。」

 再び浮遊感に襲われた将門は、目を開けると、そこはよく見知った場所であったのだ。

 「ありがとう。ここからなら一人で帰れる。世話になった。また、会おうぞ。」

 大股で歩いていく将門を見送るミコ。再び、会うことがないことをミコは知っている。



 結局、歴史は、歴史通り動き、藤原純友と将門が手を携えることがなく過ぎてしまう。
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