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23観光バス
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結局、聖女様の判定はその日の舞踏会で行われることになったのだ。
司祭様も早く結果を知りたいとおっしゃってくださり、クランベールの王様も喜んでくださって、急遽運び込まれた水晶玉を前に緊張する。
マーガレットの思惑に反して、水晶玉は反応したことで、クランベール側はお祝いムード一色に染まる。
悪役令嬢が聖女様になることなんて、あるのか?乙女ゲームの内容を知らないから、そんなものかもしれないと受け入れることにしたのだ。
しかたがない。ところで聖女様って、何するの?
鈴之助が覚醒する前のマーガレットの記憶をたどる。
確か、聖女様と言うのは、国家の安寧を願い国民の平和と健康、繁栄を願うということだったような?違うかも?
でもこうしちゃいられないと思うぐらい多忙になったことは事実で、初めに教会を建てることにしたのだ。
司祭様の意向を伺おうとしてところ、
「女神様が建ててくださるのならば、どこでもどんなものでもありがたいです。」
え!女神様?
司祭様の仲では女神様認定をされている?
もう、しょうがないと諦めることにしたよ、だって、この世界では500年ほど先の文明を取り入れてしまったから。
舞踏会の最中で、注目されているにもかかわらず、考え込む。
そして注目の中、前世使っていた愛用のパソコンを召喚してみた。鈴之助は前世、デスクトップではなくマイクロノートと呼ばれる非常にハイスペックなノートパソコンを使用していたのだ。
ボワンッ!
できた! ?
何か様子が変だ。昔、使っていたものとは比べ物にならない感じがする。1GBぐらいなものを使っていたのだが、色も違うし、なにより軽い。
そこが温泉ホテルの大ホールであることも忘れ、パソコンに夢中になって触る。
そしてやっと前世の新婚旅行で行ったバチカン市国のサン・ピエトロ寺院の図面を手に入れることに成功する。
「司祭様、こんな感じの教会を建てさせていただこうと考えておりますが、いかがでございますか?」
パソコンの画面を司祭様に見せる。
「おおー!なんと女神様になれば、こんな素晴らしい技術もお持ちになられるのですね?女神様から賜るものであれば、なんでもどんなものでも私は嬉しいのです。」
「そんな……、司祭様がお気に召してくださるものでよかったですわ。」
「お優しい女神様、それをあのジジィは『聖女であった場合、亡き者にせよ。』などと言いおって、神をも恐れぬ所業で今から行って討ち果たしてくれるわ!」
司祭様の一言で場が凍り付く。
「アンダルシア国王がそのようなこと……。好都合ではないか?」
クランベールの王様の顔がコワイ。マリンストーンの父と同じ顔をしている。この二人を会わせれば、国家転覆も夢ではなくなるかもしれない。
軍資金はたっぷりある。500年後の文明も科学技術もある。
「一度、父のマリンストーンに会ってくださいませ。それとこのマギー領から直接、クランベールへ抜ける入り口があります。明日にでも王都の近くまでお邪魔させていただきたいと思いますが、ご都合いかがでございましょうか?」
それからマーガレットは、クランベールにだだっ広い平地があるかどうか聞く。
「こんな大人数で王都まで、半日では移動できません。」
「大丈夫です。観光バスで行きますから50人は余裕で乗れます。人選はそちらで任せます。残りの方は馬車でゆっくり帰ってください。」
観光バスの定員は60名だけど、この世界の人には、初めての乗り物だろうから、なるべく補助いすは嫌がるだろうと想定する。
それからは、大わらわはで準備に取り掛かる。
「観光バスの下にトランクがあるから、お荷物はそちらで。」
「司祭様は今日、カルロス様が来られますから、それで辺境領へ帰れますが?それともこちらへ逗留されますか?」
お年寄りには、温泉のお湯が心地いいのだろう。司祭様は温泉街に留まれることになった。
「女神様のお帰りを、首を長くして待っております。」
「すぐ戻ってくるわよ。」
屋敷の者に、今日カルロス様が書類を持ってこられるので、受け取って、と伝言を頼む。
さて、出発と言う時に、カルロス様が運良く?悪く?到着されてしまう。
「あー間に合った。安藤さんのお相手見たさに、高速ぶっ飛ばしてきた甲斐があったわ。」
「大丈夫?」
「空いてたから楽勝よ。ところで、どなた?私にも紹介してよ。」
「カルロス様ぁ、いいところへ来てくださいましたわ。クランベールの王都まで行くんだけど、一緒に来てくれない?」
「は?なに?なんで?」
「いいから、いいから。」
マーガレットは王家のほうを見て、
「これで全員が乗れる見込みができましたっ!」
「え?ちょ、ちょっと待って、なんのこと?私はただ温泉メニューと医学的効能を……。」
「いいから、いいから。」
「ええー!私、大型免許なんて持ってないわよ!」
「わたくしだって、持っておりませんわよ。でもいったい誰が取り締まるって言うの?普通車と同じよ。たぶん。オートマがなかったから、ミッションで運転して。できるでしょ?」
「んなことぉ、できるかっ!」
「できるわよ。自分を信じれば、なんだってできる。不可能を可能にするのよ。」
クランベールの人たちだろうか?カルロスのほうをキラキラとしためで見ている。
「だったら、ひとつ条件があるわ。観光バスの前面にあのブルドーザーのガードを着けて頂戴。」
「へ?あれ、なんていうもの?ブレード?でいいの?」
「知らないわよ。この前、馬車で通った時、道なき道を走ったでしょ?倒木がフロントガラスに当たったら、コワイから。」
「いいわよ。お安い御用だけど、アナタは1号車よ。それでも必要ある?」
司祭様も早く結果を知りたいとおっしゃってくださり、クランベールの王様も喜んでくださって、急遽運び込まれた水晶玉を前に緊張する。
マーガレットの思惑に反して、水晶玉は反応したことで、クランベール側はお祝いムード一色に染まる。
悪役令嬢が聖女様になることなんて、あるのか?乙女ゲームの内容を知らないから、そんなものかもしれないと受け入れることにしたのだ。
しかたがない。ところで聖女様って、何するの?
鈴之助が覚醒する前のマーガレットの記憶をたどる。
確か、聖女様と言うのは、国家の安寧を願い国民の平和と健康、繁栄を願うということだったような?違うかも?
でもこうしちゃいられないと思うぐらい多忙になったことは事実で、初めに教会を建てることにしたのだ。
司祭様の意向を伺おうとしてところ、
「女神様が建ててくださるのならば、どこでもどんなものでもありがたいです。」
え!女神様?
司祭様の仲では女神様認定をされている?
もう、しょうがないと諦めることにしたよ、だって、この世界では500年ほど先の文明を取り入れてしまったから。
舞踏会の最中で、注目されているにもかかわらず、考え込む。
そして注目の中、前世使っていた愛用のパソコンを召喚してみた。鈴之助は前世、デスクトップではなくマイクロノートと呼ばれる非常にハイスペックなノートパソコンを使用していたのだ。
ボワンッ!
できた! ?
何か様子が変だ。昔、使っていたものとは比べ物にならない感じがする。1GBぐらいなものを使っていたのだが、色も違うし、なにより軽い。
そこが温泉ホテルの大ホールであることも忘れ、パソコンに夢中になって触る。
そしてやっと前世の新婚旅行で行ったバチカン市国のサン・ピエトロ寺院の図面を手に入れることに成功する。
「司祭様、こんな感じの教会を建てさせていただこうと考えておりますが、いかがでございますか?」
パソコンの画面を司祭様に見せる。
「おおー!なんと女神様になれば、こんな素晴らしい技術もお持ちになられるのですね?女神様から賜るものであれば、なんでもどんなものでも私は嬉しいのです。」
「そんな……、司祭様がお気に召してくださるものでよかったですわ。」
「お優しい女神様、それをあのジジィは『聖女であった場合、亡き者にせよ。』などと言いおって、神をも恐れぬ所業で今から行って討ち果たしてくれるわ!」
司祭様の一言で場が凍り付く。
「アンダルシア国王がそのようなこと……。好都合ではないか?」
クランベールの王様の顔がコワイ。マリンストーンの父と同じ顔をしている。この二人を会わせれば、国家転覆も夢ではなくなるかもしれない。
軍資金はたっぷりある。500年後の文明も科学技術もある。
「一度、父のマリンストーンに会ってくださいませ。それとこのマギー領から直接、クランベールへ抜ける入り口があります。明日にでも王都の近くまでお邪魔させていただきたいと思いますが、ご都合いかがでございましょうか?」
それからマーガレットは、クランベールにだだっ広い平地があるかどうか聞く。
「こんな大人数で王都まで、半日では移動できません。」
「大丈夫です。観光バスで行きますから50人は余裕で乗れます。人選はそちらで任せます。残りの方は馬車でゆっくり帰ってください。」
観光バスの定員は60名だけど、この世界の人には、初めての乗り物だろうから、なるべく補助いすは嫌がるだろうと想定する。
それからは、大わらわはで準備に取り掛かる。
「観光バスの下にトランクがあるから、お荷物はそちらで。」
「司祭様は今日、カルロス様が来られますから、それで辺境領へ帰れますが?それともこちらへ逗留されますか?」
お年寄りには、温泉のお湯が心地いいのだろう。司祭様は温泉街に留まれることになった。
「女神様のお帰りを、首を長くして待っております。」
「すぐ戻ってくるわよ。」
屋敷の者に、今日カルロス様が書類を持ってこられるので、受け取って、と伝言を頼む。
さて、出発と言う時に、カルロス様が運良く?悪く?到着されてしまう。
「あー間に合った。安藤さんのお相手見たさに、高速ぶっ飛ばしてきた甲斐があったわ。」
「大丈夫?」
「空いてたから楽勝よ。ところで、どなた?私にも紹介してよ。」
「カルロス様ぁ、いいところへ来てくださいましたわ。クランベールの王都まで行くんだけど、一緒に来てくれない?」
「は?なに?なんで?」
「いいから、いいから。」
マーガレットは王家のほうを見て、
「これで全員が乗れる見込みができましたっ!」
「え?ちょ、ちょっと待って、なんのこと?私はただ温泉メニューと医学的効能を……。」
「いいから、いいから。」
「ええー!私、大型免許なんて持ってないわよ!」
「わたくしだって、持っておりませんわよ。でもいったい誰が取り締まるって言うの?普通車と同じよ。たぶん。オートマがなかったから、ミッションで運転して。できるでしょ?」
「んなことぉ、できるかっ!」
「できるわよ。自分を信じれば、なんだってできる。不可能を可能にするのよ。」
クランベールの人たちだろうか?カルロスのほうをキラキラとしためで見ている。
「だったら、ひとつ条件があるわ。観光バスの前面にあのブルドーザーのガードを着けて頂戴。」
「へ?あれ、なんていうもの?ブレード?でいいの?」
「知らないわよ。この前、馬車で通った時、道なき道を走ったでしょ?倒木がフロントガラスに当たったら、コワイから。」
「いいわよ。お安い御用だけど、アナタは1号車よ。それでも必要ある?」
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