巻き込まれ召喚聖女は、商人として成り上がる ～日本から持ってきたタブレットPC、異世界通販で大活躍

第2章 異世界開発

27.臨月

　異世界へ魔石収集のため、行ったときにすでに妊娠していたようだった。
　
　「あぁ。また、出産かぁ。」しばらくは二人だけの時間を楽しみたかった。
　異世界で大和を出産したのは、不可抗力。でも、結衣ちゃんとこの学生カップルには、できなかったのよね。王宮を脱出してすぐ、結衣ちゃんの彼氏さんから、異世界通販での「コンドーム希望」がきて、10箱ぐらい渡したのよね。他のカップルさん、特に高校生さんのところにも10箱ずつ渡した。ウチ用にも旦那に10箱渡したのに、「あー間に合わなかった。」「マリが煽るから、マリのせいだ。」とか言われちゃって中ばっかり。ムカつく。

　Armyの仕事で沖縄に行ったのがマズかった。
　沖縄って、青い海、白い砂浜、青い空、開放的になっちゃってついつい…。

　妊娠を気づかずに、何度も異世界へ行っちゃったから、異世界時間で成長が早い。
　魔石収集から、日本時間で1週間足らず。
　もう、お腹が目立って。目立って。

　まだ、23歳よ。新入社員で2人の子持ちってねぇ。
　マリの同級生たちは、まだこれから恋愛を始めるところなのに。

　そういえば、異世界召喚されたあの日、合コンのお誘いがあったんだ。でも、残業になったから急遽行けないって伝えて…。お相手は、えっと。そうそう大学病院の研修医のみなさんだったっけ。

　あのイカズ後家厚化粧無資格先輩OLのせいだ。

　悔しい！あの日、合コンへ行っとけば、また違う人生があったかもしれないのにぃ！悔しい！悔しい！思い出したら、知らない間に泣いていた。

　びっくりして、旦那さんが駆け寄ってきた。
　「どうした？痛むか？」

　「違う！なんでもない！」
　旦那と出会った運命を悲観して泣いていた。なんて、とても言えない。

　「大丈夫か？」
　優しくお腹をさすってくれる。

　そして、背中から抱きしめて、胸を揉み首筋に唇を這わす。

　「ううん。こんなところでダメ。優しくしてね。」

　お腹が目立つようになってからは、いつも後ろからだ。
　いやいや今は、そんなこと言っている場合じゃない。
　自分で言うのもなんだけど、私たちって本当に「バカップル」よね。

　病院へ行くための用意をしなきゃいけないんだった。
　ボストンバッグに洗面道具とバスタオルとパジャマ、石鹸、シャンプーもあったほうがいいね。

　用意をしていると、異世界へ魔物討伐に行っていた人たちからの念話が届いた。
　「至急、応援頼む！」って、どうする？どうする？
　今、行ったら向こうで産んじゃうことになるよね？いやいや、助けに行かなかったら、今、行っている人の生命の危険が？
　いやいや出産って、命がけの大仕事よ！
　Armyが行けばいいじゃない！魔法が使えないからダメか。
　どうしよう？どうしよう？