巻き込まれ召喚聖女は、商人として成り上がる ～日本から持ってきたタブレットPC、異世界通販で大活躍

第1章 異世界召喚

14.ベルソ村

　魔物討伐を終え、さらにバスを走らせていたら、最初の集落が見えてきた。

　一応、メトグルコ国の国王陛下からの依頼でカナリヤ帝国に来ているわけだし、素通りするのも憚られる。

　市会議員のミサキ先生に、挨拶へ行ってもらう。
　私たちは、異空間収納から家を出せるようになったけど、あんな豪邸を出せる場所はない。土魔法でまた、小屋を作るも集落の端っこをお借りしなければならないので、そのためのご挨拶です。

　集落の村長さんは、人懐こいトニーさんというお兄さんで、どうやらマサコさんに一目惚れしたみたいな感じで、盛んにマサコさんにアプローチしている。
　マサコさんのほうはどうかなぁ？作り笑顔をしているけど、いい感じ。

　私たちが土魔法の使い手だとわかるといろいろ手伝いを要求してきた。集落を囲う土塀の修復や水路の補修、畑のあぜ道などを作らせたいみたいだった。主に土木関係のインフラが中心だった。
　集落の中にも宿があるから、そちらを利用してほしそうだった。

　いいのぉ～？
　ミサキ先生と数人しか見てないから、だと思うよ。
　150人ぐらいの大所帯を引き受けられるほどの宿があるとは思えないけど、貴重な現金収入がほしいのでしょうね。

　マリは、鈴鹿先輩とイチャイチャできるのなら、どこへ泊ってもいいけど♡
　せっかく、豪邸に合うように異世界通販でダブルベッドを買ったから、やっぱり家で寝たいなぁ。

　3台のバスで来ているから、くじ引きしたら1号車の人全員が宿で泊まることになった。
　1泊一人当たり銀貨5枚（日本円で5千円ぐらい）で、朝夕食込みは、安いね。ちゃんとしたお風呂も共同ではあるけど、入れる。
　
　くじ引きで当たった1号車の人がうらやましくなっちゃった。

　ベルソ村の人たちが私たちの歓迎会をしてくださることになった。
　村の公民館（？）みたいなところで、飲めや歌えの大騒ぎ。私たち2号車の連中が率先して取り仕切った。バスからカラオケ器械を降ろしたので、他のバスの人たちに宴会していることがバレたわよ。まぁ、いいけどね。

　村の素朴なお料理も美味しかったけど、異世界から出来合いのお料理を出した。
　楽展デリバリーというのを頼んだ。異世界まで配達してくれるのだろうかと不安があったけど、異空間収納に配達してくれた。とりあえずお寿司の盛り合わせを150人前と某有名料理店の懐石弁当を150人前頼んだ。日本円で200万円ぐらいした。

　ついでにお酒も、そしたら村の人も村のお酒を飲まず、異世界酒で酒盛りを始めた。村を出るときには、この酒を売ってくれと、懇願されたわ。
　
　お客様は神様です。
　「毎度あり～♪」てなもんよ。

　翌朝、土魔法での工事を開始した。
　人数が多いので、あっという間に完成した。

　トニー村長は、相変わらずマサコさんに付きまとっていたけど、マサコさんが嫌がる素振りを見せていなかったので、温かく見守ることにした。

　すぐに出発することもできたが、しばらくベルソ村でゆっくりすることにした。
　この世界での農業を見学したかった。
　だいたい日本と同じだったけど、農薬や肥料がなく、一度虫がついたら、その年は諦めることになるみたいだった。（魔物化した虫もいるそうです。）

　耕運機、トラクターはなく、すべて人力で手作業しているので、時間がかなりかかる。

　異世界へ来てからは、都市部ばかりを見ていたので、ベルソ村ではそういう意味で勉強になった。