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第1章 異世界召喚

12.移住準備

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 隣国に魔物退治に行くことになり、準備が慌ただしくなった。

 せっかくの商売も軌道に乗りかけていたので残念だ。

 しょせん私たち異世界被召喚日本人は根無し草ということなのか、なんか虚しくなる。早く日本へ帰る方法を見つけなきゃ、召喚された直後は、絶望感でいっぱいだったけど、こちらの世界に来られたのだから、いつかはあちらの日本にも戻れるような気がしてきた。なんの根拠もないけど、隣国へ出張することになってから、日本へ帰れるかも?と淡い期待を持つようになった。

 この街で空き家を買い取るようにした。移動中の家を土魔法で作っていたけど、お風呂やトイレ、キッチン、寝室が分かれていないと休まらない。

 乗客の中に一級建築士の坂部さんがいらしたので、少々傷んでいる古家でも修復できることがわかった。修復魔法があるので、私たちにでもたいていのものは、修復できるようになったけど、強度、耐震、とか構造計算がまるでできないしわからない。

 一から新築するより、古家を利用したほうが安上がりだし、買い取った家屋は異空間収納に入れて持ち運びができる。

 日本のウサギ小屋住居環境から比べれば、郊外に行かなければ手に入らないような立派なお屋敷がたくさん買えた。さすがにマンションのような集合住宅はなかった。
 しかも内装は、貴族様でも住めるような魔石がふんだんに使われており、自動で照明が付くものだったり、自動でカーテンが開閉したり、広いお風呂は、追い焚き機能がついている。

 ここでまた私の貧乏性が出た。何もこんな広い家1軒で一家族(カップル2人だけだから)住まなくても、何家族か同居したらいいのではないかと、これには、鈴鹿先輩をはじめとして男性陣がこぞって反対した。男の人は、テリトリー意識が強いのかな?よくわからないけど、断念した。

 この街で買い取っても足りない分は、隣町まで足を運んで買い漁った。

 同時に机やベッドなどの家具やじゅうたん、絹織物、毛織物、かばん、小物に武器など、順次揃えていった。靴など異世界通販の物のほうが履きやすいものは、そちらで買うことにした。足りないものは、隣国で現地調達することにした。

 その結果、この国では、ちょっとしたバブル景気になった。ごめん。私たちが出て行った後、どうなるか想像できるから、先に謝っとく。

 食堂、居酒屋、キャバクラ、ホストクラブの各売り上げは空前のものとなった。
 それにしても商売がもったいない。隣国へ行ってもできるから、と言われて我慢した。

 今回の移動手段は、乗用車、オート二輪で分乗していくのではなく、もらった恩賞金もあるし、大型観光バスを3台購入した。座席の下にトランクスペースがあるから、ちょっとした荷物も入れられる。大型バスが通れないような狭い道があれば、自動車を出して乗り換えればいいから。ガソリンなどの燃費を考えれば、大型車で行くほうが効率がいいという話になった。

 異世界通販から無線機を購入して、3台のバスそれぞれに搭載した。何かあれば、無線ですぐに連絡を取れるようにした。

 ちなみにこの世界にガソリンがないから魔力を通して走らせている。買ったばかりの車には、最初、ある程度のガソリンが入っている。それがなくなれば魔力で補って走るという仕組みです。運転者の魔力が枯渇すれば、同乗者の魔力を運転者の肩などを掴めば運転者に送れる仕組みである。

 幸いなことに大型免許を持っている人が3人いた。集団で召喚されると、不可能が可能になりなんでもできちゃうね。ありがたや。ありがたや。

 
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