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第1章 異世界召喚
9.南無阿弥陀仏
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マリとマサコさんは、鈴鹿先輩たちと共に山の中で魔物討伐に参加している。
戦闘のためではない。元聖女として、聖魔法ぐらいは使えるだろうということで祈りを捧げるためである。
マリの実家は浄土系のお寺で、父が住職をしている。日本にいたときは、毎朝、本堂でお念仏を唱える生活をしていた。
異世界に来てからも何か危機が迫ると無意識にお念仏を唱えていた。マリが無意識に拝んでいる姿は体中が光り輝いているらしい。そこを鈴鹿先輩に見られていて、今回の討伐参加が決まった。
食堂で提供していたメニューは、わざわざ作らないで日本製のレトルトを使用している。そのほうが原価率の算定が楽で、誰でも温めたり、お湯をかけたりと調理が楽だから。
高校生の中には、イケるクチの子もいれば、まったく下戸の子もいるから、そういう子たちを昼間の食堂で働いてもらうようにした。異世界に来てまで無理して飲んで、身体壊しちゃったら元も子もないからね。
代わりに食堂にいた主婦やOLのお姉さんたちに、夜のお仕事をしてもらうことになった。豊富な経験(アレと違うよ?)豊かな話術でお客様を満足させている。適材適所って大事ね。主婦のおばちゃんは、豪華なドレスに目を輝かせて、ウエディングドレス以来だって、大はしゃぎしてたっけ。
というわけで商売のほうは、他の女性陣に任せた。ただ、毎日の売り上げと金貨の集計はきちんとメモをするようにお願いした。OLのお姉さんが率先してやってくれるようだ。
山や森の中には、魔物以外にも普通の動物が生息している。猪、鹿(花札みたい)、時には狼、熊などなど。相手が何もしなかったら、こちらもスルーするつもりなのに、必ずと言っていいぐらい襲ってくるね。野生の本能なのかしらね、むやみに殺生をするのがイヤだから、私とマサコさんで拝むの。
マサコさんの祈りは、「鎮まりなさい。」「私たちは何もしない。住処へお帰りなさい。」って優しく言うのよ。さすがに元聖女度が高い人は違うわ。
マリは、父のようなお声明を唱えられるわけでもないから、般若心経とお念仏を繰り返す。こんなんだったら学生時代の夏休み、得度を受けとけばよかった。そしたら、もう少しマシだったかもしれない。
学生時代の夏休み前半は、税理士試験があった。試験終了後、鬱憤を晴らすかのように夜遅くまで遊び惚けた。お小遣いがなくなったら、ひたすらバイトをした。ハンバーガーショップ、デパートの商品券売り場、商品券は経理部の所属だった。
家がお寺だったから、小さい時から父に書道のお稽古をつけてもらっていたので、筆耕(のし書き)ができたから重宝された。
大学卒業時、デパートの経理部から来ないかと誘われた。苦労して5科目合格したので、資格を生かせる仕事に就きたいと断った。
「かんじーざいぼ-さ(観自在菩薩)・・・」と大声で張り上げていたら、なぜか討伐に参加しているオジサンたちも一緒に唱えてくれる。ありがたや。ありがたや。
さすが!日本人!般若心経は宗派を問わないから、上げられる人が多い。
でもオジサンが唱えても体は光らないらしい。そこはやっぱり聖女もどきの力らしい。
みんながそれぞれ一生懸命、拝んでいたら魔物化した動物は光に包まれて消えてくれた。魔物がいなくなった痕には、きれいな色をした魔石が落ちていた。この魔石が魔力の電池代わりになってコンロや水道の魔道具に使われている。
戦わずして勝利を収めてからは、鈴鹿先輩たちのストレスも軽減され、聖女もどきの私たちは毎回、討伐に参加することになった。魔力もUPして、一度行った場所へは、転移魔法が使えるようになった。
異世界に来て3か月が過ぎた。
この国の山の中、森の中の魔物が一匹残らずいなくなった。
めでたし。めでたし。
と思っていたところにギルドを通して国王陛下から呼び出し命令が下った。
戦闘のためではない。元聖女として、聖魔法ぐらいは使えるだろうということで祈りを捧げるためである。
マリの実家は浄土系のお寺で、父が住職をしている。日本にいたときは、毎朝、本堂でお念仏を唱える生活をしていた。
異世界に来てからも何か危機が迫ると無意識にお念仏を唱えていた。マリが無意識に拝んでいる姿は体中が光り輝いているらしい。そこを鈴鹿先輩に見られていて、今回の討伐参加が決まった。
食堂で提供していたメニューは、わざわざ作らないで日本製のレトルトを使用している。そのほうが原価率の算定が楽で、誰でも温めたり、お湯をかけたりと調理が楽だから。
高校生の中には、イケるクチの子もいれば、まったく下戸の子もいるから、そういう子たちを昼間の食堂で働いてもらうようにした。異世界に来てまで無理して飲んで、身体壊しちゃったら元も子もないからね。
代わりに食堂にいた主婦やOLのお姉さんたちに、夜のお仕事をしてもらうことになった。豊富な経験(アレと違うよ?)豊かな話術でお客様を満足させている。適材適所って大事ね。主婦のおばちゃんは、豪華なドレスに目を輝かせて、ウエディングドレス以来だって、大はしゃぎしてたっけ。
というわけで商売のほうは、他の女性陣に任せた。ただ、毎日の売り上げと金貨の集計はきちんとメモをするようにお願いした。OLのお姉さんが率先してやってくれるようだ。
山や森の中には、魔物以外にも普通の動物が生息している。猪、鹿(花札みたい)、時には狼、熊などなど。相手が何もしなかったら、こちらもスルーするつもりなのに、必ずと言っていいぐらい襲ってくるね。野生の本能なのかしらね、むやみに殺生をするのがイヤだから、私とマサコさんで拝むの。
マサコさんの祈りは、「鎮まりなさい。」「私たちは何もしない。住処へお帰りなさい。」って優しく言うのよ。さすがに元聖女度が高い人は違うわ。
マリは、父のようなお声明を唱えられるわけでもないから、般若心経とお念仏を繰り返す。こんなんだったら学生時代の夏休み、得度を受けとけばよかった。そしたら、もう少しマシだったかもしれない。
学生時代の夏休み前半は、税理士試験があった。試験終了後、鬱憤を晴らすかのように夜遅くまで遊び惚けた。お小遣いがなくなったら、ひたすらバイトをした。ハンバーガーショップ、デパートの商品券売り場、商品券は経理部の所属だった。
家がお寺だったから、小さい時から父に書道のお稽古をつけてもらっていたので、筆耕(のし書き)ができたから重宝された。
大学卒業時、デパートの経理部から来ないかと誘われた。苦労して5科目合格したので、資格を生かせる仕事に就きたいと断った。
「かんじーざいぼ-さ(観自在菩薩)・・・」と大声で張り上げていたら、なぜか討伐に参加しているオジサンたちも一緒に唱えてくれる。ありがたや。ありがたや。
さすが!日本人!般若心経は宗派を問わないから、上げられる人が多い。
でもオジサンが唱えても体は光らないらしい。そこはやっぱり聖女もどきの力らしい。
みんながそれぞれ一生懸命、拝んでいたら魔物化した動物は光に包まれて消えてくれた。魔物がいなくなった痕には、きれいな色をした魔石が落ちていた。この魔石が魔力の電池代わりになってコンロや水道の魔道具に使われている。
戦わずして勝利を収めてからは、鈴鹿先輩たちのストレスも軽減され、聖女もどきの私たちは毎回、討伐に参加することになった。魔力もUPして、一度行った場所へは、転移魔法が使えるようになった。
異世界に来て3か月が過ぎた。
この国の山の中、森の中の魔物が一匹残らずいなくなった。
めでたし。めでたし。
と思っていたところにギルドを通して国王陛下から呼び出し命令が下った。
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