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3転生

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 「いらっしゃいませ。ようこそ肉体ブティックへ。」

 「え?」

 「ご希望のカラダは、ございますか?王族~平民まで揃っています。頭脳系、特技系、才能系は、割増料金がかかります。なお、1週間無料で試着も出来ますから、まずはお気軽にお試しあれ。」

 「あの……?ここは何処ですか?」

 確か、離婚された日の翌日、博衛堂へ臨検に入り、涼森鈴とドンパチやり合った後、省へ帰る途中、横断歩道で突き飛ばされ、死んだはずではなかったのか?

 やたら明るい店主の顔を見ながら、死の直前に「ざまぁみろ」という顔をした鈴の記憶が過る。

 「アナタ復讐したいのでしょ?だったら、この店を利用すべきよ。」

 「どういうことですか?」

 「ここは、三途の川の一歩手前にある女神直営のお店なのよ。それはわかるわね?」

 「はい。」

 「普通に死んだ人の前には絶対現れないお店なの。アナタみたいに誰かに殺され、無念を持ったまま死んだ人、水子、事故死、第三者の人の手により、死んだ人の前にしかこの店は現れないのよ。ちょっとこっちへ来て。」

 「暖簾の隙間から向かい側が見えるでしょ?あちらは天寿を全うした人が通る道なのよ。だから六文銭を持っていない人は三途の川の渡し船に乗れないから、あそこで働いてからお金を作っているのよ。」

 「私もお金を持っていないです。あ!貸金庫のカードキーならあります。」

 「それは転生してからの軍資金になるものよ。大事に持っておきなさい。アナタは殺されたのだから、最初から六文銭を持って死んでいるのです。」

 「ありがとうございます。でもなぜこんなに親切にしていただけるのですか?殺されたからですか?」

 「それもあるけど、アナタは、本来、佐倉裕介と涼森鈴にさえ会わずにいたら、もっと幸せな人生を送れるはずの人だったのよ。高校時代に涼森鈴に出会ってしまったことが失敗の上、大学生になってからまで佐倉裕介と出会ってしまった。あの男は女を幸せにできない男、だからアナタの復讐も半分はもうすでに成功しようとしているのよ。」

 「へぇ?裕介はそんなダメ男だったのですか?」

 「小心者で、優柔不断、自分で仕出かしたことなのに、何一つ解決に向けて動こうとしない。ハッキリものを言わず、相手を傷つけないように優しい言葉を選んでいる。それが相手にとって、一番残酷だということがわからない。」

 「言われてみれば、裕介のことはなんとなくわかる。当たっています。」

 「そして、アナタの天敵、涼森鈴ももうじき破滅するわ。だから今度はアナタの幸せだけを考えて頂戴。でも気持ちの踏ん切りがなかなかつかないわよね?だから、アナタにおすすめのカラダはこちら。」

 店主は、万人受けするような?美人のカラダを持ってくる。

 「このカラダを使って、気が済むまで復讐をやりなさい。でも気が済んで、他に好きな男性ができたら、迷わずその人の胸に飛び込みなさい。今度は幸せになってね。」

 「ありがとうございます。」

 「今まで、アナタが積み上げてきた努力や才能は、そのまま引き継げるわ。前世勤務していた経産省にも引き続き勤務できるように、全員の記憶を塗り替えてあげるわね。」

 「でも、このカラダの元の持ち主のご家族から不審がられないかしら?」

 「それは大丈夫、全員の記憶を操作するし、そもそもそのカラダは神の創造物だから、そのカラダの持ち主を見れば、誰もが好意を持つような代物なのよ。誰から見ても自分の一番のタイプに見える。誰からも愛される存在なのよ。それに神は健康と言う財産もアナタにくださったわ。どんなに暴飲暴食をしても、夜更かしをしても、決して病気にならない。だから今度こそ、幸せになってね、」

 「はい。何から何までありがとうございました。」
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