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いちひめ神社

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 私、姉小路御幸は、ご依頼で中央市場に来ています。
 最初、御幸は魚の恨みが原因かと思ったが、赤い着物を着ている女が恨みを抱いて憑りついていたのである。

 なぜ?と思ったが、とりあえずお祓いして、成仏させた。
 ところが、霊が出るのは、その一軒だけではなく、あちこちの店から依頼がかかる。

 順番にやっていたら、何日かかるやら。そこで市場の神様に手助けしてもらうことを思いつくのである。

 すぐさま、いちひめ神社に行くことにしたのである。
 別に出産の神様ではない。女性と市場の神様なのである。中央市場内にも分社があるが、やはりここは本家へ行かなくては、と思い立ち早速出発することにしたのである。

 いちひめ神社は、河原町通りに面した、わりとわかりやすい立地にある。
 関西に拠点を置く女性芸能人がよくお参りに来られる知る人ぞ知るのスポットである。

 着いてすぐ、気のせいか?何やら血の匂いがする?最近、オカルトばかりだから、気のせいだと御幸自身に言い聞かせ、本殿でお賽銭を取り出し、浄財と書かれた賽銭箱に入れて拝もうとすると、やはり血の匂いがする。

 ダメだ。無視しようにも、気になるものは仕方がないので、拝む前に本堂の裏手を除くことに、そこには巫女さんのような着物を着た女性が血まみれになって、倒れていたのだ。

 「きゃーっ」

 姉小路御幸は、人間の死体を見るのは慣れていなく、変な話、死霊は見慣れているが
生きていた人間のご遺体を見ると思わず、悲鳴を上げてしまいました。

 神社の社務所の人が御幸の悲鳴に駆けつけてくれて、救急車と110番していらっしゃいました。もう、御幸は、その場にヘナヘナと座り込み茫然としていたところへ、京都府警の顔なじみの刑事さんが来てくださいました。

 「なんや、驚きやな、御幸ちゃんが第1発見者になるやなんて。」

 「もうそんなん知らんわ。中央市場でご依頼があって、ウヨウヨしてたからいちひめ神様に助けてもらおうと思って、来た時からなんか血の匂いがする、と思って裏見たら、血流して倒れてた人を見つけてしまったの。」

 「来たとき、不審人物を見かけなかったか?ひょっとしたら、犯人とすれ違ってるかもしれへんで。」

 「怖いこと言わんといて。誰も見てないわ。そういえば、そこの駐車場からブルーのBMW が急発進していくのを見たかも?」

 「周辺の防犯カメラを当たらせるわ。おおきに。」

 そういえば、今朝がた中央市場で見た赤い着物の女性に似ている。ゾっとするわ。
 あのまま、死後何時間も経過していたら、あの霊のように白い着物が真っ赤になったのだろうか?

 御幸は、中央市場に戻り、お祓いの続きをすることにした。いちひめ神社にいても、何もできないし、することがないからである。
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