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鞍馬の蔵、呪の血文字
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四宮美千代のご遺体は、高瀬川の一之舟入付近の路上で見つかる。何者かに後頭部を鈍器にて殴られ、血を流している状態で発見される。朝、犬の散歩に来ていた近所の人が第1発見者である。
一之舟入といっても、ピンとこない?えっと……昔々、たけやみそのテレビコマーシャルに出演されていた有名な女優さんが住んでいらしたところの近く?余計、わからないか?市田ひろみさんの美容室の近く?余計わからない?とにかく、高瀬川の一番北側のあたりです。
今度は、密室ではない。凶器も鈍器であろうと推察されるだけで、同じものかどうかも、まだわかっていない。
いや待てよ、四宮敬一郎を殺害したのが、四宮和夫、でその四宮和夫を殺害したのが四宮美千代だとすれば、いったい誰が美千代を殺したか?
四宮和夫と四宮美千代に死んでほしい人間。四宮和夫の嫁さんだな。旦那が愛人や兄嫁と浮気して嫉妬に狂って殺害する。そうなると旦那を殺したのも、嫁の疑いが濃厚だな。
捜査線上に一度も浮上していなかった。四宮和夫の妻、四宮雅恵31歳。四条河原町でブティックを経営している。派手な顔立ちの美人である。四宮和夫との間に子供はいない。
四条河原町から、一之舟入まで徒歩数分のところであるから、近い。
四宮雅恵の店が終わってから、聞き込みに行く。
「私が旦那を殺すわけないでしょ。あの人の女好きは、もうほとんど病気だから、好きなようにさせているのよ。だいたい、私も元はと言えば、旦那の選挙運動のときにウグイス嬢をやっていて、そこで二人きりになった時、無理やりにレイプされて、それも街宣車の中でよ。よくマイクのスイッチ切っていたと思うわ。それで奥さんに納まっただけだから。」
「当時は、まだ舅が生きていたから、責任取って、結婚話になったのよ。京都市長の息子がレイプって外聞悪いわよね。」
「え?昨夜の9時から11時の間?ああ、その時間なら先斗町の加藤珠緒さんのところで飲んでいたわよ。同い年だから、気が合うのよ。和夫にヤられた者同士だからね。」
四宮雅恵には加藤珠緒の店の常連客と一緒にカラオケで盛り上がったと言うから、完ぺきなアリバイがあった。
四宮和夫の妻でなかったら、誰が?他の愛人に動機があるようなないような?
調べが進むうちに、四宮和夫は、大変金に汚いことがわかってくる。妻や愛人に仕事をさせて、あの上がりを吸い上げていたらしい。そうなると金がらみの犯行も十分ありうるが、今のところバーを経営している加藤珠緒と妻のブティック経営の四宮雅恵はシロだ。
残りは、お茶屋経営の「佐々木梓」と置屋経営の「豊井まゆみ」、いや金にターゲットを絞ると、子供がいる「舞はる」、衿かえ間近の「みち豊」「ふさ豊」、ほかにも花代をつけてもらえないとぼやいていた「こと華」、も怪しい。ほぼ全員が怪しくなってきた。そういえば、姉小路御幸が全員のアリバイはあってないのと等しいと言っていたな。
捜査はまたもや暗礁に乗り上げ行き詰まる。
こういう時は、彼女の出番である。彼女とは、まぎれもなく姉小路御幸のことである。
その頃、姉小路御幸は、またお仕事ちゅうであった。
今日のご依頼は、お寺、東山にある有名寺院である。今年の漢字が発表されるお寺と言ったほうがいいか?
ここへ行くまでの参道がかなり気持ち悪い。二年坂、三年坂と呼ばれる坂道と石段の参道を登り切ったら、今度はひたすら坂道が続く。
江戸時代、ここのお寺の舞台から飛び降りると生きていれば願い事が叶うとされて、多くの人が飛び降りた。その結果、霊だらけ。
ま、仕方がない。誰だって、願い事を叶えるためにイチかバチかやりたいものだから。お寺の近くには、飴買い幽霊の逸話も残されていて、この辺りは、そういうものが出やすい地域となっています。
舞台の下にもウヨウヨいましたが、意外と知られていない音羽の滝、ココ超いまっせ。滝と言っても水が3本、しょろしょろと降り落ちているだけの滝だけど、ゲ!と叫びたくなるぐらいいる。
ご利益は慈悲、利得、智慧。と言われていて、慈悲は延命長寿の祈願、利得は恋愛成就の祈願、智慧は学業成就の御利益がある霊水と言われています。
いつもは修学旅行生で人だかりができている。やっぱり、人気があるのは、恋愛成就でしょうね。延命長寿なんて、年寄りぐらいしか関心持たないから、飲まないだろうしね。
だいたい霊というのは、反射するところが好きみたいね。ガラス、カガミ、水、光が反射しているところに浮かび上がる。それでここも滝だから、わずかな水でもここに出たがるのか?それとも三途の川が渡れないから、水付近にいるのか?よくわからない。
とにかく、音羽の滝で商売道具を広げ、いざ、お祓いです。ウヨウヨいるから全部の除霊は難しい。何度となくわけて試みる。何百年もの間に蓄積された、たくさんの霊魂であるため1日では終わらない。どれぐらいかかるかしら。10日間ぐらいあれば、全需、除霊ができるかな?事件が新たな展開を見せる中、御幸の仕事は、まだ終わらない。
一之舟入といっても、ピンとこない?えっと……昔々、たけやみそのテレビコマーシャルに出演されていた有名な女優さんが住んでいらしたところの近く?余計、わからないか?市田ひろみさんの美容室の近く?余計わからない?とにかく、高瀬川の一番北側のあたりです。
今度は、密室ではない。凶器も鈍器であろうと推察されるだけで、同じものかどうかも、まだわかっていない。
いや待てよ、四宮敬一郎を殺害したのが、四宮和夫、でその四宮和夫を殺害したのが四宮美千代だとすれば、いったい誰が美千代を殺したか?
四宮和夫と四宮美千代に死んでほしい人間。四宮和夫の嫁さんだな。旦那が愛人や兄嫁と浮気して嫉妬に狂って殺害する。そうなると旦那を殺したのも、嫁の疑いが濃厚だな。
捜査線上に一度も浮上していなかった。四宮和夫の妻、四宮雅恵31歳。四条河原町でブティックを経営している。派手な顔立ちの美人である。四宮和夫との間に子供はいない。
四条河原町から、一之舟入まで徒歩数分のところであるから、近い。
四宮雅恵の店が終わってから、聞き込みに行く。
「私が旦那を殺すわけないでしょ。あの人の女好きは、もうほとんど病気だから、好きなようにさせているのよ。だいたい、私も元はと言えば、旦那の選挙運動のときにウグイス嬢をやっていて、そこで二人きりになった時、無理やりにレイプされて、それも街宣車の中でよ。よくマイクのスイッチ切っていたと思うわ。それで奥さんに納まっただけだから。」
「当時は、まだ舅が生きていたから、責任取って、結婚話になったのよ。京都市長の息子がレイプって外聞悪いわよね。」
「え?昨夜の9時から11時の間?ああ、その時間なら先斗町の加藤珠緒さんのところで飲んでいたわよ。同い年だから、気が合うのよ。和夫にヤられた者同士だからね。」
四宮雅恵には加藤珠緒の店の常連客と一緒にカラオケで盛り上がったと言うから、完ぺきなアリバイがあった。
四宮和夫の妻でなかったら、誰が?他の愛人に動機があるようなないような?
調べが進むうちに、四宮和夫は、大変金に汚いことがわかってくる。妻や愛人に仕事をさせて、あの上がりを吸い上げていたらしい。そうなると金がらみの犯行も十分ありうるが、今のところバーを経営している加藤珠緒と妻のブティック経営の四宮雅恵はシロだ。
残りは、お茶屋経営の「佐々木梓」と置屋経営の「豊井まゆみ」、いや金にターゲットを絞ると、子供がいる「舞はる」、衿かえ間近の「みち豊」「ふさ豊」、ほかにも花代をつけてもらえないとぼやいていた「こと華」、も怪しい。ほぼ全員が怪しくなってきた。そういえば、姉小路御幸が全員のアリバイはあってないのと等しいと言っていたな。
捜査はまたもや暗礁に乗り上げ行き詰まる。
こういう時は、彼女の出番である。彼女とは、まぎれもなく姉小路御幸のことである。
その頃、姉小路御幸は、またお仕事ちゅうであった。
今日のご依頼は、お寺、東山にある有名寺院である。今年の漢字が発表されるお寺と言ったほうがいいか?
ここへ行くまでの参道がかなり気持ち悪い。二年坂、三年坂と呼ばれる坂道と石段の参道を登り切ったら、今度はひたすら坂道が続く。
江戸時代、ここのお寺の舞台から飛び降りると生きていれば願い事が叶うとされて、多くの人が飛び降りた。その結果、霊だらけ。
ま、仕方がない。誰だって、願い事を叶えるためにイチかバチかやりたいものだから。お寺の近くには、飴買い幽霊の逸話も残されていて、この辺りは、そういうものが出やすい地域となっています。
舞台の下にもウヨウヨいましたが、意外と知られていない音羽の滝、ココ超いまっせ。滝と言っても水が3本、しょろしょろと降り落ちているだけの滝だけど、ゲ!と叫びたくなるぐらいいる。
ご利益は慈悲、利得、智慧。と言われていて、慈悲は延命長寿の祈願、利得は恋愛成就の祈願、智慧は学業成就の御利益がある霊水と言われています。
いつもは修学旅行生で人だかりができている。やっぱり、人気があるのは、恋愛成就でしょうね。延命長寿なんて、年寄りぐらいしか関心持たないから、飲まないだろうしね。
だいたい霊というのは、反射するところが好きみたいね。ガラス、カガミ、水、光が反射しているところに浮かび上がる。それでここも滝だから、わずかな水でもここに出たがるのか?それとも三途の川が渡れないから、水付近にいるのか?よくわからない。
とにかく、音羽の滝で商売道具を広げ、いざ、お祓いです。ウヨウヨいるから全部の除霊は難しい。何度となくわけて試みる。何百年もの間に蓄積された、たくさんの霊魂であるため1日では終わらない。どれぐらいかかるかしら。10日間ぐらいあれば、全需、除霊ができるかな?事件が新たな展開を見せる中、御幸の仕事は、まだ終わらない。
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