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ミカエルの縁談は、王国の内外から多く寄せられることになった。
バスティーユ公爵は、できればミカエルを嫁に出したくはない。婿を取って、いつまでもミカエルと共に暮らしたいというのが本音のところ。
さりとて、王家からは、聖女様になられた限りは、一公爵家に置いておくのはもったいないという考え方で、すぐにでも王家に召し出したいところ。
頑として、バスティーユ公爵が首を縦に振らないことにいら立ちを覚えている。
教会もミカエルはもともと、下男として雇い入れたものだから、教会に所有権があるはずと主張している。
ミカエルが聖女様として覚醒できたのは、聖なる空気を吸って育ったからだとも言い張り、バスティーユ家に引き渡しを要求するも拒否され、苦虫をかみつぶしたような顔をしている。
「できれば高位貴族の次男坊か三男坊で、養子に来てもいいという男性に嫁いでもらいたい」
公爵の意向は、ミカエルに伝えられ、ミカエルは有り余る釣り書きの中から、その条件に合う男性を探すのに、一苦労している。
公爵邸では、聖女様ではなく「お嬢様」として、傅かれていることから、お嬢様として、縁談を探した方が身の丈に合っていると考えるようになった。
その考えから必然的に、王族との縁談を遠ざけ、もっともミカエルのことを大切に考えてくれる殿方の元に嫁ぎたいと考えるようになり、それはある結論を生み出したのだ。
ミカエルは、父の書斎を訪ね、こう切り出す。
「いろいろと釣り書きを拝見しましたが、気になる殿方は一人もおられず……、それで、わたくし、できればお父様と結婚したいと思っております」
「そうか」と返事をしたもののバスティーユは二の句を告げない。
「えっ!?今、なんと申した?」
「ですから、お父様の妻になりとう存じます」
「いやいや、それは……」
確かに、今は独身の公爵だが……年齢差があり過ぎるだろっ!
聖女様と言うのは、純潔の証で……純潔でなければ覚醒しない。だからと言って、純潔を失ったからと言って、聖女様の地位ははく奪されないし、聖魔法は衰えない。それに、何かの本で、聖女様はいつでも処女膜を再生することができると書いてあったような記憶がある。
カラダの相性もあるから、一度、味見だけでもしてみたい。これが公爵自身が考えたスケベ心から来ることは間違いようがないが、同時にそんなことはできないという否定する心も持ち合わせている。
娘には、いい男のところに嫁いで幸せになってもらいたいという気持ちも確かにある。そうでなければ、教会から養女として引き取ったりしない。
ミカエルは挑発するかのように薄いネグリジェの前を開け、バスティーユの膝の上に乗る。そしてカラダを上下に動かすと、胸のふくらみが揺れていることがわかる。
「いい加減にしないか!」
声を荒げてみたところで、下半身のムクムク感は収まらない。
「お願い。一度だけでいいからお父様に女にしてほしいの。聖女だからいつでも処女に戻れるわ。責任なんて、口にしないからお願い、抱いて。」
そこまで言われたら、我慢できない。理性も何もかも吹っ飛んでしまう。
執務室から、寝室までは奥の扉ひとつで行け、誰に見られることもない。念のため、執務室にカギを閉め、ミカエルを抱きかかえたまま奥の扉へ消えてゆく。
前の妻が流産してから、ずいぶん女の肉とは無縁の状態でいた。公爵は妻が流産したことにより、妻のカラダを労わるため没交渉していたのだ。その間に間男を引き入れているとも知らずに、マヌケな男だとつくづく自嘲していた。
それが今、とびきり上等の聖女様から「抱いて」と言われ抱き着かれてしまい、すっかり我を忘れてしまっている状態に、もはや抑えるべき理性の欠片もない。
ミカエルをベッドに寝かせ、自らも全裸になって、覆いかぶさる。まるで野獣のごとき、ミカエルのカラダを貪り愛し始める。ミカエルは小さく喘ぎながら、公爵の背中に腕を回す。
公爵は、25歳。ミカエルとは10歳差だ。男の25歳というのは、一番ヤりたい年齢で、よく今まで女なしの生活ができていたと思えるほど、情熱的にミカエルを抱く。
「あっは。あっは。お父様、もっと、深く……んん……」
「ミカエル、名前で呼んでくれ」
「お父様の名前って?」
「ラファエルだ。ラファエル・バスティーユそれが俺の名前だ」
「ラファエル……!ああん」
「ミカエル、一緒に……」
何が1回だけの味見だ。その夜は、ミカエルと10回もチャレンジしてしまい、翌日は久しぶりに黄色い太陽を見た。
必然的に、ミカエルの縁談は、ミカエル自身がすべて断り、なくなってしまった。その日から毎日、10回以上、愛し合う日々が続き、使用人に知られることになったが、誰も咎めない。前の夫人よりよっぽどいいから。
そして、いつの間にか妊娠して、聖女覚醒から1年後、元気な男の子を産みました。男の子はガブリエルと名付けられ、すくすくと育っています。
バスティーユ公爵は、できればミカエルを嫁に出したくはない。婿を取って、いつまでもミカエルと共に暮らしたいというのが本音のところ。
さりとて、王家からは、聖女様になられた限りは、一公爵家に置いておくのはもったいないという考え方で、すぐにでも王家に召し出したいところ。
頑として、バスティーユ公爵が首を縦に振らないことにいら立ちを覚えている。
教会もミカエルはもともと、下男として雇い入れたものだから、教会に所有権があるはずと主張している。
ミカエルが聖女様として覚醒できたのは、聖なる空気を吸って育ったからだとも言い張り、バスティーユ家に引き渡しを要求するも拒否され、苦虫をかみつぶしたような顔をしている。
「できれば高位貴族の次男坊か三男坊で、養子に来てもいいという男性に嫁いでもらいたい」
公爵の意向は、ミカエルに伝えられ、ミカエルは有り余る釣り書きの中から、その条件に合う男性を探すのに、一苦労している。
公爵邸では、聖女様ではなく「お嬢様」として、傅かれていることから、お嬢様として、縁談を探した方が身の丈に合っていると考えるようになった。
その考えから必然的に、王族との縁談を遠ざけ、もっともミカエルのことを大切に考えてくれる殿方の元に嫁ぎたいと考えるようになり、それはある結論を生み出したのだ。
ミカエルは、父の書斎を訪ね、こう切り出す。
「いろいろと釣り書きを拝見しましたが、気になる殿方は一人もおられず……、それで、わたくし、できればお父様と結婚したいと思っております」
「そうか」と返事をしたもののバスティーユは二の句を告げない。
「えっ!?今、なんと申した?」
「ですから、お父様の妻になりとう存じます」
「いやいや、それは……」
確かに、今は独身の公爵だが……年齢差があり過ぎるだろっ!
聖女様と言うのは、純潔の証で……純潔でなければ覚醒しない。だからと言って、純潔を失ったからと言って、聖女様の地位ははく奪されないし、聖魔法は衰えない。それに、何かの本で、聖女様はいつでも処女膜を再生することができると書いてあったような記憶がある。
カラダの相性もあるから、一度、味見だけでもしてみたい。これが公爵自身が考えたスケベ心から来ることは間違いようがないが、同時にそんなことはできないという否定する心も持ち合わせている。
娘には、いい男のところに嫁いで幸せになってもらいたいという気持ちも確かにある。そうでなければ、教会から養女として引き取ったりしない。
ミカエルは挑発するかのように薄いネグリジェの前を開け、バスティーユの膝の上に乗る。そしてカラダを上下に動かすと、胸のふくらみが揺れていることがわかる。
「いい加減にしないか!」
声を荒げてみたところで、下半身のムクムク感は収まらない。
「お願い。一度だけでいいからお父様に女にしてほしいの。聖女だからいつでも処女に戻れるわ。責任なんて、口にしないからお願い、抱いて。」
そこまで言われたら、我慢できない。理性も何もかも吹っ飛んでしまう。
執務室から、寝室までは奥の扉ひとつで行け、誰に見られることもない。念のため、執務室にカギを閉め、ミカエルを抱きかかえたまま奥の扉へ消えてゆく。
前の妻が流産してから、ずいぶん女の肉とは無縁の状態でいた。公爵は妻が流産したことにより、妻のカラダを労わるため没交渉していたのだ。その間に間男を引き入れているとも知らずに、マヌケな男だとつくづく自嘲していた。
それが今、とびきり上等の聖女様から「抱いて」と言われ抱き着かれてしまい、すっかり我を忘れてしまっている状態に、もはや抑えるべき理性の欠片もない。
ミカエルをベッドに寝かせ、自らも全裸になって、覆いかぶさる。まるで野獣のごとき、ミカエルのカラダを貪り愛し始める。ミカエルは小さく喘ぎながら、公爵の背中に腕を回す。
公爵は、25歳。ミカエルとは10歳差だ。男の25歳というのは、一番ヤりたい年齢で、よく今まで女なしの生活ができていたと思えるほど、情熱的にミカエルを抱く。
「あっは。あっは。お父様、もっと、深く……んん……」
「ミカエル、名前で呼んでくれ」
「お父様の名前って?」
「ラファエルだ。ラファエル・バスティーユそれが俺の名前だ」
「ラファエル……!ああん」
「ミカエル、一緒に……」
何が1回だけの味見だ。その夜は、ミカエルと10回もチャレンジしてしまい、翌日は久しぶりに黄色い太陽を見た。
必然的に、ミカエルの縁談は、ミカエル自身がすべて断り、なくなってしまった。その日から毎日、10回以上、愛し合う日々が続き、使用人に知られることになったが、誰も咎めない。前の夫人よりよっぽどいいから。
そして、いつの間にか妊娠して、聖女覚醒から1年後、元気な男の子を産みました。男の子はガブリエルと名付けられ、すくすくと育っています。
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