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5.関西風お好み焼き
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結局、美波の信奉者の全員が、美波と行動を共にすることを希望し、けっこうな人数での移動となった。
ここで困ることと言えば、3合炊きの炊飯器1個しか持ってこなかったこと、せめて、家に置いてある炊飯器をすべて持ってこられていたら、と悔やんでも悔やまれない。
そもそもご飯を炊くにしても、3合炊きの目安人数は2~3人だから、到底足りない。
やっぱり何度も炊飯器を空にして、やるしかないのかな……。リケジョの南は、考えることをやめ、今できることを遣ろうと思う。
今、できることと言えば、魔法の練習だ。宮廷魔法師団にいた人が、定年で辞め、故郷に帰る途中に美波の料理を食べて、ハゲが直ったというあの人のことだ。
ハゲが原因で、奥様に愛想を尽かされ、仕方なく故郷で、ひっそり隠遁生活をするはずだった人が、美波の料理でハゲが直り、再び生きる希望が湧いてきたらしい。
宮廷魔法師団の定年年齢は、45歳とずいぶん早い。日本なら確実に労働基準法に違反し、労基から是正勧告を受けるところだ。
この世界での成人年齢は15歳で、たいていの貴族はその年齢で学園に入学し、卒業後に一斉に結婚する。
だからあの一緒に召喚されてきたカワイコちゃんも、おそらく結婚させられているのだと思う。かわいそうに。
ううん。そんなことより、今は魔法の練習、この世界では平民でも生活魔法ぐらいは普通に使えるし、生まれて来て、すぐに魔力検診があり、誰でも魔力が備わっているらしいんだけど、果たして地球生まれの美波に魔力なんて……あるの?
ハゲ魔法師は、カイルさんと名乗られる。そのカイルさんが幌馬車の中で直々に魔法の扱い方を教えてくださっているというわけ。
「大きく息を吸って、お腹にためるような感じに……そうそう、イイ感じですよ。そのまま指先に魔力wお集めるように集中して、少し火をともしてみましょう」
え?マッチ位の火でいいかな?熱くないのかしらね?心配しながらも恐る恐るマッチの火を思い浮かべると……!
美波の人差し指に蝋燭の火が灯る。ああ、そうか指を立ててしまったから蝋燭のような火になってしまったんだわ。これを横にすれば、マッチ棒ぐらいの火になるかも、そう思って、指を傾けると、やっぱり、マッチ棒ぐらいの火の大きさになった。嬉しい!
「お上手ですね。さすが、聖女様です」
いやいや違うって、私が聖女様のわけがないでしょ?
次に水魔法、そして土魔法に風魔法と次々と試させられる。美波には、全属性の魔力が宿っているようで、複雑な気分になる。
やっぱり、聖女様として召喚された?いやいやそんなわけはない。だって、カイルさんの話によれば、聖女様としてはトウが立っている?らしいから、まったく失礼にも程があるってものよ。
勝手に呼びつけておいて、ババァだからって、追い出すなんて、せめてこの世界で生きていくことの初心者教育だけでもしてくれればいいものを。
たとえば、読み書きとか……?でも、驚いたことに今まで苦労したことがない。なんで?と疑問も挟まなかったぐらいに、すんなりと理解できたことが不思議に思う。
無一文で追い出されてはしたが、それ以外のことは何とかなっている。
魔法の練習をしていたら、美波には光魔法や聖魔法まで使えることが判明する。だから、美波の料理には病気を治す効力があるとカイルさんは納得しているようだが、美波は納得していない!そんなもの、納得いかなくて、当然よ。
聖魔法は、任意の場所に転移することができ、便利なのはアイテムボックス持ちだということ。それは、何かと問えば、自分の使わないものをアイテムカバンに何でも仕舞える空中クローゼットのようなものだと教えられる。
それなら必要なものも、出てくれればいいのだけど……、考え込んでいると、それを同じように召喚する力もあるという。本当?それなら、と。
美波は、家にあった社割の炊飯器を何個か思い浮かべてみる。そして「召喚!」と呟くとボワンと煙?の中から家にあった買ったばかりのPB炊飯器が何個か出てくる。
「わぉ!ステキ!これならバリエーションのあるものが作れるわ」
でも、その中で今夜のご飯として、選んだものは、お好み焼き。だって、魔法の練習をして、くたびれちゃったんだもん。それにこれだけの炊飯器があれば、大の男が満足できるお好み焼きの量を確保できるもの。
それに5合~5.5合は、炊飯器の中でも主力戦力で、価格帯の中で最も安いが、最もよく売れる。いわゆる薄利多売の原則に乗っ取っている。3合炊きは割高になるのだ。だから、5.5合を召喚できたことは、まさに悦びでしかない。
材料は、家ごとに少し違うけど、薄力粉100グラム、水1カップ、出汁の素小さじ1/3、長芋40グラム、塩コショウ少々、後は、グザイとして、豚肉を薄切りにしておくことと、天かす大さじ2~3、卵2個、キャベツたくさん
焼きあがった後、上に紅ショウガ、花かつお、青のりをまぶしお好み焼きソースを回すようにかけるのだけど、焼きあがった後では、それが手に入るかどうかわからない。
ついでに家の冷蔵庫も召喚するか?でも、ポールさんやカイルさんになんと説明すればいいかわからない。
究極は、自宅まるごと、つまり美波の借りていたマンションの部屋をまるごと召喚すればいいと思うけど、さすがにそこまでは、やりすぎ感がある。
まあ、それはベルソムラに着いてから考えることにして、上にトッピングとして載せるモノをすべて生地の中に入れて混ぜれば、同じじゃないかと思うので、お好み焼きソースまでも生地の中に入れちゃう
とにかく炊飯器の窯に小麦粉100グラムと水を入れ、卵2個、天かす、キャベツをたくさん千切りにしていれる。豚肉に塩コショウをして、長芋をすりおろし、適当にいれる。
それから花かつおを入れるなら、出汁の素はいらないような気がするので省略する。青のり紅ショウガを加え、よく混ぜ、イカの切り身をちぎって入れる。
今日は、大人の男の人がいるので、カロリーオーバーになってもいいよね?焼きそばの中華麺を炊飯器の中に入れ、上からお好み焼きのソースをかけ、蓋をして、炊飯。
残りの3合炊きにも同じように生地を作り混ぜ、具材を入れて、炊飯。
関西地方だけかもしれないけど、残業時によく作って食べたのが、カップに入ってお好み焼きの生地と具材がセットになった商品が売られているので、それに卵(セットにあるものもある)を割り入れて、よくかき混ぜ、ホットプレートに流し込んで焼けば、できあがりという「なんちゃってお好み焼き」、レンジで5分チンするだけで出来上がる冷食もある。
とにかく関西は粉物文化があるから、お好み焼き、たこ焼き、うどんなど太るものばっかり食べる。
きらきら星が~きれいな星が~♪
完成を知らせる合図が鳴ると、大きめのお皿を釜にかぶせ、ひっくり返すと、見事なジャンボお好み焼きが完成した。
他の炊飯器も同じように釜に皿をかぶせひっくり返す作業をする。
ここで困ることと言えば、3合炊きの炊飯器1個しか持ってこなかったこと、せめて、家に置いてある炊飯器をすべて持ってこられていたら、と悔やんでも悔やまれない。
そもそもご飯を炊くにしても、3合炊きの目安人数は2~3人だから、到底足りない。
やっぱり何度も炊飯器を空にして、やるしかないのかな……。リケジョの南は、考えることをやめ、今できることを遣ろうと思う。
今、できることと言えば、魔法の練習だ。宮廷魔法師団にいた人が、定年で辞め、故郷に帰る途中に美波の料理を食べて、ハゲが直ったというあの人のことだ。
ハゲが原因で、奥様に愛想を尽かされ、仕方なく故郷で、ひっそり隠遁生活をするはずだった人が、美波の料理でハゲが直り、再び生きる希望が湧いてきたらしい。
宮廷魔法師団の定年年齢は、45歳とずいぶん早い。日本なら確実に労働基準法に違反し、労基から是正勧告を受けるところだ。
この世界での成人年齢は15歳で、たいていの貴族はその年齢で学園に入学し、卒業後に一斉に結婚する。
だからあの一緒に召喚されてきたカワイコちゃんも、おそらく結婚させられているのだと思う。かわいそうに。
ううん。そんなことより、今は魔法の練習、この世界では平民でも生活魔法ぐらいは普通に使えるし、生まれて来て、すぐに魔力検診があり、誰でも魔力が備わっているらしいんだけど、果たして地球生まれの美波に魔力なんて……あるの?
ハゲ魔法師は、カイルさんと名乗られる。そのカイルさんが幌馬車の中で直々に魔法の扱い方を教えてくださっているというわけ。
「大きく息を吸って、お腹にためるような感じに……そうそう、イイ感じですよ。そのまま指先に魔力wお集めるように集中して、少し火をともしてみましょう」
え?マッチ位の火でいいかな?熱くないのかしらね?心配しながらも恐る恐るマッチの火を思い浮かべると……!
美波の人差し指に蝋燭の火が灯る。ああ、そうか指を立ててしまったから蝋燭のような火になってしまったんだわ。これを横にすれば、マッチ棒ぐらいの火になるかも、そう思って、指を傾けると、やっぱり、マッチ棒ぐらいの火の大きさになった。嬉しい!
「お上手ですね。さすが、聖女様です」
いやいや違うって、私が聖女様のわけがないでしょ?
次に水魔法、そして土魔法に風魔法と次々と試させられる。美波には、全属性の魔力が宿っているようで、複雑な気分になる。
やっぱり、聖女様として召喚された?いやいやそんなわけはない。だって、カイルさんの話によれば、聖女様としてはトウが立っている?らしいから、まったく失礼にも程があるってものよ。
勝手に呼びつけておいて、ババァだからって、追い出すなんて、せめてこの世界で生きていくことの初心者教育だけでもしてくれればいいものを。
たとえば、読み書きとか……?でも、驚いたことに今まで苦労したことがない。なんで?と疑問も挟まなかったぐらいに、すんなりと理解できたことが不思議に思う。
無一文で追い出されてはしたが、それ以外のことは何とかなっている。
魔法の練習をしていたら、美波には光魔法や聖魔法まで使えることが判明する。だから、美波の料理には病気を治す効力があるとカイルさんは納得しているようだが、美波は納得していない!そんなもの、納得いかなくて、当然よ。
聖魔法は、任意の場所に転移することができ、便利なのはアイテムボックス持ちだということ。それは、何かと問えば、自分の使わないものをアイテムカバンに何でも仕舞える空中クローゼットのようなものだと教えられる。
それなら必要なものも、出てくれればいいのだけど……、考え込んでいると、それを同じように召喚する力もあるという。本当?それなら、と。
美波は、家にあった社割の炊飯器を何個か思い浮かべてみる。そして「召喚!」と呟くとボワンと煙?の中から家にあった買ったばかりのPB炊飯器が何個か出てくる。
「わぉ!ステキ!これならバリエーションのあるものが作れるわ」
でも、その中で今夜のご飯として、選んだものは、お好み焼き。だって、魔法の練習をして、くたびれちゃったんだもん。それにこれだけの炊飯器があれば、大の男が満足できるお好み焼きの量を確保できるもの。
それに5合~5.5合は、炊飯器の中でも主力戦力で、価格帯の中で最も安いが、最もよく売れる。いわゆる薄利多売の原則に乗っ取っている。3合炊きは割高になるのだ。だから、5.5合を召喚できたことは、まさに悦びでしかない。
材料は、家ごとに少し違うけど、薄力粉100グラム、水1カップ、出汁の素小さじ1/3、長芋40グラム、塩コショウ少々、後は、グザイとして、豚肉を薄切りにしておくことと、天かす大さじ2~3、卵2個、キャベツたくさん
焼きあがった後、上に紅ショウガ、花かつお、青のりをまぶしお好み焼きソースを回すようにかけるのだけど、焼きあがった後では、それが手に入るかどうかわからない。
ついでに家の冷蔵庫も召喚するか?でも、ポールさんやカイルさんになんと説明すればいいかわからない。
究極は、自宅まるごと、つまり美波の借りていたマンションの部屋をまるごと召喚すればいいと思うけど、さすがにそこまでは、やりすぎ感がある。
まあ、それはベルソムラに着いてから考えることにして、上にトッピングとして載せるモノをすべて生地の中に入れて混ぜれば、同じじゃないかと思うので、お好み焼きソースまでも生地の中に入れちゃう
とにかく炊飯器の窯に小麦粉100グラムと水を入れ、卵2個、天かす、キャベツをたくさん千切りにしていれる。豚肉に塩コショウをして、長芋をすりおろし、適当にいれる。
それから花かつおを入れるなら、出汁の素はいらないような気がするので省略する。青のり紅ショウガを加え、よく混ぜ、イカの切り身をちぎって入れる。
今日は、大人の男の人がいるので、カロリーオーバーになってもいいよね?焼きそばの中華麺を炊飯器の中に入れ、上からお好み焼きのソースをかけ、蓋をして、炊飯。
残りの3合炊きにも同じように生地を作り混ぜ、具材を入れて、炊飯。
関西地方だけかもしれないけど、残業時によく作って食べたのが、カップに入ってお好み焼きの生地と具材がセットになった商品が売られているので、それに卵(セットにあるものもある)を割り入れて、よくかき混ぜ、ホットプレートに流し込んで焼けば、できあがりという「なんちゃってお好み焼き」、レンジで5分チンするだけで出来上がる冷食もある。
とにかく関西は粉物文化があるから、お好み焼き、たこ焼き、うどんなど太るものばっかり食べる。
きらきら星が~きれいな星が~♪
完成を知らせる合図が鳴ると、大きめのお皿を釜にかぶせ、ひっくり返すと、見事なジャンボお好み焼きが完成した。
他の炊飯器も同じように釜に皿をかぶせひっくり返す作業をする。
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