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2.サバ味噌煮込み丼
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それから、どんどん歩いていくと道らしい道が出てきたので、きっとこれが街道というものなのかしら?と思いながら、その道に沿って、どんどん進む。とにかく行く当てがないので、元の世界に行くには歩いていかなければならないと思い込んでいたのだ。
時折、馬車が通って行くのを見て、乗せてもらいたいなぁと思うも、お金がない。日本の1000円札や小銭はあるけど、使えないだろうし、会社では、ほとんど立ち仕事なので、足には自信があったけど、こう何もないところを一人で歩いていても、退屈なだけだ。
あーあ。これから、どうすればいいのかしら?あのお城を追い出されてからというもの。とにかくお城の見えないところまでは、行こうと思って歩いてきたけれど、せっかく召喚したくせに、薄汚いなんて、言われて、だって、仕方がないでしょ?
今日は、頼まれていた修理の手伝いをしていて遅くなってしまったのだもの。
美波は、いわゆるリケジョと呼ばれる理科系の大学を出て、家電量販店に就職したのだ。だから、家電製品の中で、単純なものは、メーカーに回さず、自分でちょこちょこっと直してしまう。
その方が早くお客様の元へ戻せるので、喜ばれるし、自分の手慰みにもなる。
それで、あの日も遅くまで電卓と掃除機を分解して、傷んだ回路をつなぎ合わせ、再び組み立てをしていたから、遅くなってしまったのだ。
この分の超勤は、残業代にはならない。だって、趣味でやっているんだもん。会社はそのことをわかっているから、でも、お客様から修繕費としていただく分の何%かは、キックバックされる仕組みになっているもので、だから労働時間にはならないけど、少しお金がもらえるので、趣味と実益を兼ねて、遅くまで残業するというわけ。
これは美波だけのことではなく、だいたい家電量販店なんぞに、勤務している人間は、管理部門を除いて、ほとんどが理科系出身なので、家にまっすぐ帰らず、給振とは、別のお小遣い稼ぎのために多くの社員が残っている現状がある。
もっとも、メーカーから派遣できている人は、別よ。あの方たちは、残業しないで、さっさと帰宅していらっしゃるみたいだから、メーカー派遣の方が気が楽かもしれないわね。
まあ、仕方がないわね。ここのところの新型ウイルスが蔓延したので、就職難であったにもかかわらず、理科系だからと就職できただけでもマシだと思っている。
グタグタ文句言っても始まらないので、今日は、サバの味噌煮込みご飯を作るつもりでいる。
超簡単なので、真似してみてくださいね。
まず洗ったお米、今回は2合にします。3合でもできるかもしれないけど、これは3合炊きなので、異世界にも少し慣れたので、爆食いは改め、胃も身のうちという言葉があるように、近頃は節制している。
そこに料理酒、薄口醤油(なければ濃い口でも可)を大さじ1ずつ入れ、鯖缶ひと缶を逆さにして振り入れる。この時中の水分も丸ごと入れるので、後で水加減を間違えないように注意する。
鯖、イワシなどは臭みがあるので、ショウガや大葉などと一緒に炊き込むことをオススメします。
3の目盛りのところまで水を入れ、蓋をして普通に炊飯ボタンを押し、できたら、よく混ぜ合わせ、お好みでゴマをかけて供します。
きらきら星が~きれいな星が~♪
聞こえてくると、蓋を開け、よく混ぜ、今日は、ガッツリ食べたい気分なので、どんぶり鉢にご飯と共によそっていく。
「いただきまーす」
誰も聞いていなくても、両手を合わせて、お箸を持ち、見た目に何か問題がないか確かめてから、口に入れる。
「ん~。美味しい」
鯖が柔らかくて、味が良く浸み込んでいる。
鯖が柔らかいのは、当然で、だって鯖缶を使っているのですもの。でも、スーパーで売っている切り身を使っても、十分、柔らかくなるので、安心してください。
パクパクと大口を開けて、食べているのを、誰かに見られていたみたいだ。
気が付くと、周りに人だかりができていて、その中心に炊飯器と美波がいるという格好になってしまっている。
「え?何か、ご用ですか?」
美波にとっては、嫌な予感しかない。やっぱり街道沿いで炊飯器を遣うのは、マズかったかなぁ。
「お嬢さん、ずいぶん美味しそうに召し上がっていますね。どれ、一口私にも味見をさせていただけませんか?もちろん、タダとは、申しません」
その男は、何やら革袋をジャラつかせているが、美波は、このご飯を売る気などない。だって、食べたいものを作って食べているだけだもの。でも、この世界のお金にも興味がある。いつまで、炊飯器ご飯が作れるのかわからないということもある。いつかは、どこかで外食しなくてはならなくなった時、一文無しでは困る。
逡巡した後、お茶碗に、一杯程度をよそい、その男性に渡す。マイ箸を持っていないようなので、いつも持ち歩いている。ポシェットから割り箸を探して、渡すと……すでに、その男は、鯖ご飯にかぶりついていた。
ご飯茶碗にかぶりつくかの勢いに、少々美波は引いてしまうが、この世界の食器だろうか?よく見ると男の手には、フォークらしきものが握られていて、それで鯖を突き刺し、ご飯を救って、食べているようだった。
「うまい!こんな、うまいもの初めて食った!」
男があたりに自慢するかのように、お茶碗を高く掲げている。
その声に呼応するように、どんどん南に金貨が手渡され、自分にもくれと言われる。
いやいや今日は、2合しか炊いてないのですけど……、その後、仕方なく、3合でもう一度、炊飯して、その夜は更けていく。
時折、馬車が通って行くのを見て、乗せてもらいたいなぁと思うも、お金がない。日本の1000円札や小銭はあるけど、使えないだろうし、会社では、ほとんど立ち仕事なので、足には自信があったけど、こう何もないところを一人で歩いていても、退屈なだけだ。
あーあ。これから、どうすればいいのかしら?あのお城を追い出されてからというもの。とにかくお城の見えないところまでは、行こうと思って歩いてきたけれど、せっかく召喚したくせに、薄汚いなんて、言われて、だって、仕方がないでしょ?
今日は、頼まれていた修理の手伝いをしていて遅くなってしまったのだもの。
美波は、いわゆるリケジョと呼ばれる理科系の大学を出て、家電量販店に就職したのだ。だから、家電製品の中で、単純なものは、メーカーに回さず、自分でちょこちょこっと直してしまう。
その方が早くお客様の元へ戻せるので、喜ばれるし、自分の手慰みにもなる。
それで、あの日も遅くまで電卓と掃除機を分解して、傷んだ回路をつなぎ合わせ、再び組み立てをしていたから、遅くなってしまったのだ。
この分の超勤は、残業代にはならない。だって、趣味でやっているんだもん。会社はそのことをわかっているから、でも、お客様から修繕費としていただく分の何%かは、キックバックされる仕組みになっているもので、だから労働時間にはならないけど、少しお金がもらえるので、趣味と実益を兼ねて、遅くまで残業するというわけ。
これは美波だけのことではなく、だいたい家電量販店なんぞに、勤務している人間は、管理部門を除いて、ほとんどが理科系出身なので、家にまっすぐ帰らず、給振とは、別のお小遣い稼ぎのために多くの社員が残っている現状がある。
もっとも、メーカーから派遣できている人は、別よ。あの方たちは、残業しないで、さっさと帰宅していらっしゃるみたいだから、メーカー派遣の方が気が楽かもしれないわね。
まあ、仕方がないわね。ここのところの新型ウイルスが蔓延したので、就職難であったにもかかわらず、理科系だからと就職できただけでもマシだと思っている。
グタグタ文句言っても始まらないので、今日は、サバの味噌煮込みご飯を作るつもりでいる。
超簡単なので、真似してみてくださいね。
まず洗ったお米、今回は2合にします。3合でもできるかもしれないけど、これは3合炊きなので、異世界にも少し慣れたので、爆食いは改め、胃も身のうちという言葉があるように、近頃は節制している。
そこに料理酒、薄口醤油(なければ濃い口でも可)を大さじ1ずつ入れ、鯖缶ひと缶を逆さにして振り入れる。この時中の水分も丸ごと入れるので、後で水加減を間違えないように注意する。
鯖、イワシなどは臭みがあるので、ショウガや大葉などと一緒に炊き込むことをオススメします。
3の目盛りのところまで水を入れ、蓋をして普通に炊飯ボタンを押し、できたら、よく混ぜ合わせ、お好みでゴマをかけて供します。
きらきら星が~きれいな星が~♪
聞こえてくると、蓋を開け、よく混ぜ、今日は、ガッツリ食べたい気分なので、どんぶり鉢にご飯と共によそっていく。
「いただきまーす」
誰も聞いていなくても、両手を合わせて、お箸を持ち、見た目に何か問題がないか確かめてから、口に入れる。
「ん~。美味しい」
鯖が柔らかくて、味が良く浸み込んでいる。
鯖が柔らかいのは、当然で、だって鯖缶を使っているのですもの。でも、スーパーで売っている切り身を使っても、十分、柔らかくなるので、安心してください。
パクパクと大口を開けて、食べているのを、誰かに見られていたみたいだ。
気が付くと、周りに人だかりができていて、その中心に炊飯器と美波がいるという格好になってしまっている。
「え?何か、ご用ですか?」
美波にとっては、嫌な予感しかない。やっぱり街道沿いで炊飯器を遣うのは、マズかったかなぁ。
「お嬢さん、ずいぶん美味しそうに召し上がっていますね。どれ、一口私にも味見をさせていただけませんか?もちろん、タダとは、申しません」
その男は、何やら革袋をジャラつかせているが、美波は、このご飯を売る気などない。だって、食べたいものを作って食べているだけだもの。でも、この世界のお金にも興味がある。いつまで、炊飯器ご飯が作れるのかわからないということもある。いつかは、どこかで外食しなくてはならなくなった時、一文無しでは困る。
逡巡した後、お茶碗に、一杯程度をよそい、その男性に渡す。マイ箸を持っていないようなので、いつも持ち歩いている。ポシェットから割り箸を探して、渡すと……すでに、その男は、鯖ご飯にかぶりついていた。
ご飯茶碗にかぶりつくかの勢いに、少々美波は引いてしまうが、この世界の食器だろうか?よく見ると男の手には、フォークらしきものが握られていて、それで鯖を突き刺し、ご飯を救って、食べているようだった。
「うまい!こんな、うまいもの初めて食った!」
男があたりに自慢するかのように、お茶碗を高く掲げている。
その声に呼応するように、どんどん南に金貨が手渡され、自分にもくれと言われる。
いやいや今日は、2合しか炊いてないのですけど……、その後、仕方なく、3合でもう一度、炊飯して、その夜は更けていく。
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