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1.ちりめん山椒ごはん
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社畜OL 吉田美波25歳は、大手家電量販店の販売員をしているが、PB(プライベートブランド)の炊飯器の売り込みに余念がなく、性能を調べるために、いくつも社割で炊飯器を買い調べている研究熱心な女の子。
ある日のこと、残業で遅くなった美波は急いで、炊飯器のスイッチを入れる。手洗いうがいをしていると、突如、足元が光り出し、咄嗟に炊飯器に手を伸ばしたまま、そのまま異世界に召喚されてしまう。
大理石の床に寝転がされた美波だが、ふと隣を見ると、まだ中学生?高校生かもしれない少女が震えながら佇んでいる。可愛い。
休憩時間に読んでいるラノベの設定によくあるやつだ。きっと、この娘が聖女様で、私は役立たずとして、放逐されるのだろうな。とぼんやり考えていると、案の定、奥の廊下から進んできたこの世界の王族か?きらびやかな衣装をまとった一団がやってくる。
「やっと、聖女様召喚に成功したというのだな?」
そのいでたちは、ほとんど千成瓢箪かと思えるほどの成金趣味で金きらしている。
「なんだ二人いるのか?どっちが聖女様か?」
「まだ魔力判定をしておりませぬゆえに……」
「そんなもの決まっておるわ。この薄汚い女をつまみ出せ!」
え!薄汚いって言われた?失礼ね!美波がプンプン怒る間もなく、炊飯器ごと、城の外へ放り出されたのだった。
「い、痛っ!ちょっと、何すんのよ?」
辺りは、もう真っ暗で、そりゃそうだ。残業から帰ってきた時間は夜の22時を回っていたもの。ふと、美波は自身の左手首にある時計に目を遣ると、なんと午前0時!
この時計は、就職祝いで、祖母からプレゼントされたものだった。
ひょっとしたら、もう二度と元の世界に帰れないかもしれない。急に寒さと空腹のせいで、現実に引き戻される。なんだか、悲しくなり、しゃっくりを上げながら泣き崩れる。
その時、お腹から「ぐーーーっ」と音が鳴り、我に返る。
「そうだ!こうしちゃいられない。とにかく今は、ご飯を食べることが先決。腹が減っては戦ができないっつうの」
炊飯器の蓋を開けると、中からまばゆいばかりの真っ白なご飯!うっとりと眺めながらも、お茶碗とお箸で一口、食べてみる。
「ん~♪美味しい。やっぱ、白ご飯は、最高だよね。でもちりめん山椒があれば、まぶしてもっと美味しく食べられるのに」
口に出した途端、どこからかちりめん山椒の袋が落ちてきた。それを美波は深く考えもせず、炊飯器の上にぶちまけ、しゃもじで混ぜる。
そして再び、お茶碗によそい、食べ始める。昨日のお昼から12時間、おやつも食べないで、頑張ってきたのだから、お腹が空いていて当然だったのだ。約3合のご飯を一人で全部平らげ、満足していると眠くなってくる。
いつの間にか、ウトウトしていて、気づいたときはお日様が空高く昇っていた。
きゃぁっ!大変、知らない世界で野宿してしまったんだわ。でも、盗られるものは何もないから、当然何も盗られていない、当たり前だけど。
近くに水が流れているような音がしたので、そこへ行き、口をゆすぎ、顔を洗うことにした。
そういえば、昨日、クレンジングをせずに寝てしまったことを川に映った自分の顔を見て思い出す。
「ヤダ。どうしよう。もう若くはないのよ。お肌の曲がり角を曲がっちゃったかな?」
シャバシャバっと、小川の水で、顔を洗う。それを手早くタオルハンカチで拭きとり、化粧水はないが、ほっぺたをパチパチと叩いて、血行を良くする。
それにしても、昨夜のあの金ぴか野郎の言い分については、腹が立つといったらありゃしない!
誰が薄汚い女だとぉ!
女を見る目がないにも程があるっていうものだ!
でも、あのままあのお城にいたら、何をされていたかわからないし、早々と放逐させてもらってよかったあもしれない。
とにかく、今は、あのお城が見えなくなるところまで、行こう。と心に決めて、前進あるのみ。
ある日のこと、残業で遅くなった美波は急いで、炊飯器のスイッチを入れる。手洗いうがいをしていると、突如、足元が光り出し、咄嗟に炊飯器に手を伸ばしたまま、そのまま異世界に召喚されてしまう。
大理石の床に寝転がされた美波だが、ふと隣を見ると、まだ中学生?高校生かもしれない少女が震えながら佇んでいる。可愛い。
休憩時間に読んでいるラノベの設定によくあるやつだ。きっと、この娘が聖女様で、私は役立たずとして、放逐されるのだろうな。とぼんやり考えていると、案の定、奥の廊下から進んできたこの世界の王族か?きらびやかな衣装をまとった一団がやってくる。
「やっと、聖女様召喚に成功したというのだな?」
そのいでたちは、ほとんど千成瓢箪かと思えるほどの成金趣味で金きらしている。
「なんだ二人いるのか?どっちが聖女様か?」
「まだ魔力判定をしておりませぬゆえに……」
「そんなもの決まっておるわ。この薄汚い女をつまみ出せ!」
え!薄汚いって言われた?失礼ね!美波がプンプン怒る間もなく、炊飯器ごと、城の外へ放り出されたのだった。
「い、痛っ!ちょっと、何すんのよ?」
辺りは、もう真っ暗で、そりゃそうだ。残業から帰ってきた時間は夜の22時を回っていたもの。ふと、美波は自身の左手首にある時計に目を遣ると、なんと午前0時!
この時計は、就職祝いで、祖母からプレゼントされたものだった。
ひょっとしたら、もう二度と元の世界に帰れないかもしれない。急に寒さと空腹のせいで、現実に引き戻される。なんだか、悲しくなり、しゃっくりを上げながら泣き崩れる。
その時、お腹から「ぐーーーっ」と音が鳴り、我に返る。
「そうだ!こうしちゃいられない。とにかく今は、ご飯を食べることが先決。腹が減っては戦ができないっつうの」
炊飯器の蓋を開けると、中からまばゆいばかりの真っ白なご飯!うっとりと眺めながらも、お茶碗とお箸で一口、食べてみる。
「ん~♪美味しい。やっぱ、白ご飯は、最高だよね。でもちりめん山椒があれば、まぶしてもっと美味しく食べられるのに」
口に出した途端、どこからかちりめん山椒の袋が落ちてきた。それを美波は深く考えもせず、炊飯器の上にぶちまけ、しゃもじで混ぜる。
そして再び、お茶碗によそい、食べ始める。昨日のお昼から12時間、おやつも食べないで、頑張ってきたのだから、お腹が空いていて当然だったのだ。約3合のご飯を一人で全部平らげ、満足していると眠くなってくる。
いつの間にか、ウトウトしていて、気づいたときはお日様が空高く昇っていた。
きゃぁっ!大変、知らない世界で野宿してしまったんだわ。でも、盗られるものは何もないから、当然何も盗られていない、当たり前だけど。
近くに水が流れているような音がしたので、そこへ行き、口をゆすぎ、顔を洗うことにした。
そういえば、昨日、クレンジングをせずに寝てしまったことを川に映った自分の顔を見て思い出す。
「ヤダ。どうしよう。もう若くはないのよ。お肌の曲がり角を曲がっちゃったかな?」
シャバシャバっと、小川の水で、顔を洗う。それを手早くタオルハンカチで拭きとり、化粧水はないが、ほっぺたをパチパチと叩いて、血行を良くする。
それにしても、昨夜のあの金ぴか野郎の言い分については、腹が立つといったらありゃしない!
誰が薄汚い女だとぉ!
女を見る目がないにも程があるっていうものだ!
でも、あのままあのお城にいたら、何をされていたかわからないし、早々と放逐させてもらってよかったあもしれない。
とにかく、今は、あのお城が見えなくなるところまで、行こう。と心に決めて、前進あるのみ。
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