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クルシュトフでの聖女様歓迎のパーティの日は、朝から大忙しである。主賓がアグネスだから、アグネスが欠席するわけにはいかないのである。
朝から風呂に入り、隅々まで磨き上げられたアグネス、ドレスを何度も試着され、もうくたくた状態になっている。髪型も再度に長祖たり、アップにしたり編み込みにされたり、と何度もやり直される。
頭をいらわれるのは、辛いのよ。ついには、頭痛までしてきたものだから。もうやめて!と言いたくなる。
何度も着替えや髪形を直されたアグネスは、疲れ果てて居眠りをしてしまう。うとうととしかけたところに、王城から迎えの馬車が来たのだ。
「お嬢様、お城からお迎えが来ましたわ。楽しんで行ってらっしゃいませ。」
公爵邸の使用人全員に見送られながら、城へ向かう。
正直なところ、もうどうでもいい。乾杯と挨拶だけして、さっさと帰宅しようと心に誓う。
お城に着くなり、ファンファーレが鳴り響き
「アグネス・トンプソン公爵閣下兼聖女様、御入場!」
入り口でカーテシーをして、中に入れば、もう注目の的である。
「あの方が隣国の聖女様ですわ。」
「お美しい。」
「なんでも隣国で婚約者様に浮気されたらしいですわよ。」
「あの若さでもう、隣国でもこの国でも公爵位らしいですわよ。」
「ほぅ。大したものだな。我が息子の嫁にしたいぐらいだ。」
大勢の貴族に値踏みをされている。非常に居心地が悪い中、国王陛下が壇上に上がられ、アグネスも従う。
「我が国にもやっと、聖女様が逗留してくださることになった。我が国の物価はこれで安定するだろう。ここに、聖女様を歓迎する宴を開き、いついつまでも逗留していただけることを願い、乾杯するものとする。……かんぱーい」
シャンパングラスを置き、拍手する。
あれ?アグネスが挨拶しなくてもよかったの?なんだ、せっかく挨拶を考えてきたのに、ま、その方が楽だけど。
疲れ切っているところでのシャンパンを飲んだせいか、酔いが一気に回ってきた。少し風にでもあたろうとバルコニーへ出る。
するとそこには、先客がいたようだ。
「これは、これは、聖女様、お疲れですか?」
「ええ。朝からたいそうな騒ぎで疲れ果てています。わたくしが欠席するわけにもいかないので、無理して出てきましたが、わたくしのことはアグネスと呼んでくださらない?」
「それではアグネス嬢、こういう社交の場はお嫌いですか?」
「嫌いというわけではないのですが、どちらかといえば苦手です。」
「実は、私もなんです。兄から今日このパーティにだけは出るようにしつこく言われましてね。嫌々で出席して、貴族令嬢のお相手は、疲れるのですよ。適度に褒めなければ、すぐ機嫌を損ねてしまいますしね。」
「まぁ!」
二人でクスクスと笑い合う。
初対面のはずなのに、喋りやすい。
それからとりとめもないような世間話をして、その日は別れた。
その後の社交の場でも、バルコニーに出たら、必ずその男性がいたのだ。その男性の名は、アレキサンドル様と仰いまして、なぜか家名はおっしゃらなかったが、明らかに高貴な雰囲気がします。
他の令嬢もアレキサンドル様をねらっている方が多いようで、アレキサンドル様が横を通られるだけで、ため息が漏れてきます。
そんなアレキサンドル様と最近、お話しする機会が多いので、少しばかり他の令嬢から睨まれているような気が!? なんとなくします。
アレキサンドル様には、まだ婚約者様がいらっしゃらないという。それで貴族令嬢の多くが狙っているのだ。
そこへ隣国の聖女が現れたものだから、貴族令嬢の中には気が気でないものもいるらしい。
めんどくさい。
確かにアレキサンドル様は、いい男だとは思うが、嫉妬されるほど、仲がいいわけでもない。ただ喋りやすく気さくな性格がいいというだけのこと。
そんなに欲しけりゃ、くれてやるわよ!と言いたいところだけど、まだ、アレキサンドル様はどなたのものでもないから言えない。
アグネスもただの友人関係の域を出ていないのだです。
そんな中、アグネスが飲むはずだったお酒の中に、毒が混入されていたことがあったのです。たまたま、アグネスが飲むはずだったものを隣の家の伯爵様が、お飲みになって急に苦しまれたことからわかったのです。
アグネスはすぐに治癒魔法を施して、命に別状はなかったものの、犯人はすぐ捕まった。それはアレキサンドル様に恋焦がれていた令嬢だったのである。
「わたくし、アレキサンドル様はいい方だとは思いますけれど、別に嫉妬されるような間柄ではございませんし、こんなめんどくさいことに巻き込まれるのなら、もうこの国から出て行きます。」
と言ってしまったから、その令嬢は首を刎ねられることになってしまったそうですが。
だって、もうめんどくさいことは嫌なのです。
せっかくのクルシュトフの生活も嫌になってしまいましたから、次の国の候補地の選定に入ることになりました。
クルシュトフのトンプソン領へ行き、皆に意見を聞きます。
「聖女様、また引っ越しですか?」
「そうなのです。今度は命を狙われてしまって。王都の隣家の伯爵様が被害に遭われたのだけどね。勝手に嫉妬されて、もうやんなっちゃうわ。」
「聖女様というのも、大変なのですね。」
次は何処へ行こうかと話し合っていたら、馬の蹄の音が聞こえてくる。ん?と思い、そちらのほうを見ると、アレキサンドル様が必死の形相でこちらに向かってきて、おもむろにアグネスの前に跪いて、
「毒入りドリンクのことは申し訳なかった。今後は私が命を懸けて全力でアグネス嬢をお守りします。ですから、私の妻になってください。お願いします。今まで社交の場に出るのをためらっていましたが、アグネス嬢にお会いできるのなら、と最近は、あなた様にお会いするのを楽しみにしていました。どうか、私の妻になっていただきたい。もし、クルシュトフが嫌だと仰せなら、その地へ私も共に参りましょう。」
「ええ?でも……。」
周りを見渡すと皆、ニヤニヤしながら、微笑ましいものを見るという顔でいる。プっっと全員が噴き出す。
「お嬢様にも、やっと春が来ました。」
うんうんと頷き合っている。
「何を迷われることがおありで?お嬢様もパーティに嬉々としてご出席あそばしていらしたではございませんか?」
「そうそう、あれほどパーティ嫌いのお嬢様が!鼻歌まで……。」
プっと、一人が噴き出すと全員、爆笑の海、アグネスは顔を真っ赤にしながら
「んもうっ!ばらさないでよ!」
その様子を見ながら、アレキサンドル様は、アグネスの右手の甲にキスを落とされる。
こうして、二人は結婚することになったのだが、結婚式の日に初めてアレキサンドル様の家名を知らされて、ビックリするアグネスと公爵家の面々。
「さぞかし、ご両親もお喜びになられているはずです。良かったですね。おめでとうございます。」
それで、あの時、毒殺されそうになった意味がようやく分かったのです。
それにしてもあの犯人の令嬢、首尾よくアグネスを毒殺しても、絶対、結婚相手として選ばれなかったろうに。
しょせんアレキサンドル様は高嶺の花に過ぎなかっただろう。
それが傷心旅行で聖女として来たおかげで状況が変わったのです。
そういえば、義妹のリリアーヌはどうしたんだろう?祖国にそれとなく聞いても、消息を知っている者はいない。
噂では、アグネスの後を追って、レイクビワー国に行き、人魚の情婦になったとか?
朝から風呂に入り、隅々まで磨き上げられたアグネス、ドレスを何度も試着され、もうくたくた状態になっている。髪型も再度に長祖たり、アップにしたり編み込みにされたり、と何度もやり直される。
頭をいらわれるのは、辛いのよ。ついには、頭痛までしてきたものだから。もうやめて!と言いたくなる。
何度も着替えや髪形を直されたアグネスは、疲れ果てて居眠りをしてしまう。うとうととしかけたところに、王城から迎えの馬車が来たのだ。
「お嬢様、お城からお迎えが来ましたわ。楽しんで行ってらっしゃいませ。」
公爵邸の使用人全員に見送られながら、城へ向かう。
正直なところ、もうどうでもいい。乾杯と挨拶だけして、さっさと帰宅しようと心に誓う。
お城に着くなり、ファンファーレが鳴り響き
「アグネス・トンプソン公爵閣下兼聖女様、御入場!」
入り口でカーテシーをして、中に入れば、もう注目の的である。
「あの方が隣国の聖女様ですわ。」
「お美しい。」
「なんでも隣国で婚約者様に浮気されたらしいですわよ。」
「あの若さでもう、隣国でもこの国でも公爵位らしいですわよ。」
「ほぅ。大したものだな。我が息子の嫁にしたいぐらいだ。」
大勢の貴族に値踏みをされている。非常に居心地が悪い中、国王陛下が壇上に上がられ、アグネスも従う。
「我が国にもやっと、聖女様が逗留してくださることになった。我が国の物価はこれで安定するだろう。ここに、聖女様を歓迎する宴を開き、いついつまでも逗留していただけることを願い、乾杯するものとする。……かんぱーい」
シャンパングラスを置き、拍手する。
あれ?アグネスが挨拶しなくてもよかったの?なんだ、せっかく挨拶を考えてきたのに、ま、その方が楽だけど。
疲れ切っているところでのシャンパンを飲んだせいか、酔いが一気に回ってきた。少し風にでもあたろうとバルコニーへ出る。
するとそこには、先客がいたようだ。
「これは、これは、聖女様、お疲れですか?」
「ええ。朝からたいそうな騒ぎで疲れ果てています。わたくしが欠席するわけにもいかないので、無理して出てきましたが、わたくしのことはアグネスと呼んでくださらない?」
「それではアグネス嬢、こういう社交の場はお嫌いですか?」
「嫌いというわけではないのですが、どちらかといえば苦手です。」
「実は、私もなんです。兄から今日このパーティにだけは出るようにしつこく言われましてね。嫌々で出席して、貴族令嬢のお相手は、疲れるのですよ。適度に褒めなければ、すぐ機嫌を損ねてしまいますしね。」
「まぁ!」
二人でクスクスと笑い合う。
初対面のはずなのに、喋りやすい。
それからとりとめもないような世間話をして、その日は別れた。
その後の社交の場でも、バルコニーに出たら、必ずその男性がいたのだ。その男性の名は、アレキサンドル様と仰いまして、なぜか家名はおっしゃらなかったが、明らかに高貴な雰囲気がします。
他の令嬢もアレキサンドル様をねらっている方が多いようで、アレキサンドル様が横を通られるだけで、ため息が漏れてきます。
そんなアレキサンドル様と最近、お話しする機会が多いので、少しばかり他の令嬢から睨まれているような気が!? なんとなくします。
アレキサンドル様には、まだ婚約者様がいらっしゃらないという。それで貴族令嬢の多くが狙っているのだ。
そこへ隣国の聖女が現れたものだから、貴族令嬢の中には気が気でないものもいるらしい。
めんどくさい。
確かにアレキサンドル様は、いい男だとは思うが、嫉妬されるほど、仲がいいわけでもない。ただ喋りやすく気さくな性格がいいというだけのこと。
そんなに欲しけりゃ、くれてやるわよ!と言いたいところだけど、まだ、アレキサンドル様はどなたのものでもないから言えない。
アグネスもただの友人関係の域を出ていないのだです。
そんな中、アグネスが飲むはずだったお酒の中に、毒が混入されていたことがあったのです。たまたま、アグネスが飲むはずだったものを隣の家の伯爵様が、お飲みになって急に苦しまれたことからわかったのです。
アグネスはすぐに治癒魔法を施して、命に別状はなかったものの、犯人はすぐ捕まった。それはアレキサンドル様に恋焦がれていた令嬢だったのである。
「わたくし、アレキサンドル様はいい方だとは思いますけれど、別に嫉妬されるような間柄ではございませんし、こんなめんどくさいことに巻き込まれるのなら、もうこの国から出て行きます。」
と言ってしまったから、その令嬢は首を刎ねられることになってしまったそうですが。
だって、もうめんどくさいことは嫌なのです。
せっかくのクルシュトフの生活も嫌になってしまいましたから、次の国の候補地の選定に入ることになりました。
クルシュトフのトンプソン領へ行き、皆に意見を聞きます。
「聖女様、また引っ越しですか?」
「そうなのです。今度は命を狙われてしまって。王都の隣家の伯爵様が被害に遭われたのだけどね。勝手に嫉妬されて、もうやんなっちゃうわ。」
「聖女様というのも、大変なのですね。」
次は何処へ行こうかと話し合っていたら、馬の蹄の音が聞こえてくる。ん?と思い、そちらのほうを見ると、アレキサンドル様が必死の形相でこちらに向かってきて、おもむろにアグネスの前に跪いて、
「毒入りドリンクのことは申し訳なかった。今後は私が命を懸けて全力でアグネス嬢をお守りします。ですから、私の妻になってください。お願いします。今まで社交の場に出るのをためらっていましたが、アグネス嬢にお会いできるのなら、と最近は、あなた様にお会いするのを楽しみにしていました。どうか、私の妻になっていただきたい。もし、クルシュトフが嫌だと仰せなら、その地へ私も共に参りましょう。」
「ええ?でも……。」
周りを見渡すと皆、ニヤニヤしながら、微笑ましいものを見るという顔でいる。プっっと全員が噴き出す。
「お嬢様にも、やっと春が来ました。」
うんうんと頷き合っている。
「何を迷われることがおありで?お嬢様もパーティに嬉々としてご出席あそばしていらしたではございませんか?」
「そうそう、あれほどパーティ嫌いのお嬢様が!鼻歌まで……。」
プっと、一人が噴き出すと全員、爆笑の海、アグネスは顔を真っ赤にしながら
「んもうっ!ばらさないでよ!」
その様子を見ながら、アレキサンドル様は、アグネスの右手の甲にキスを落とされる。
こうして、二人は結婚することになったのだが、結婚式の日に初めてアレキサンドル様の家名を知らされて、ビックリするアグネスと公爵家の面々。
「さぞかし、ご両親もお喜びになられているはずです。良かったですね。おめでとうございます。」
それで、あの時、毒殺されそうになった意味がようやく分かったのです。
それにしてもあの犯人の令嬢、首尾よくアグネスを毒殺しても、絶対、結婚相手として選ばれなかったろうに。
しょせんアレキサンドル様は高嶺の花に過ぎなかっただろう。
それが傷心旅行で聖女として来たおかげで状況が変わったのです。
そういえば、義妹のリリアーヌはどうしたんだろう?祖国にそれとなく聞いても、消息を知っている者はいない。
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