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江戸時代編
15.カピタン
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カピタンとは、長崎県の出島に、ポルトガルとの通商のため、ポルトガル語で商館長を意味する。この時代では、ポルトガルから、すでに東インド会社が入り込んでいるが、最初の名残で、そのまま名称として使っている。
カピタンは、4年に1度、江戸へ参上し将軍様に目通りし、歌を唄ったり、踊りを披露したりして、引き続きの通商を約束させる。
今年は、その季節となった。ちょうどカピタン一行が京へ立ち寄った時、清水寺で発熱と腹痛を起こし、倒れた。
カピタンは、すぐさま裏口診療所へ運ばれ、そのまま入院した。
凛太朗は、診察したが、長旅で疲れが出ただけであったが、なかなか退院してくれない。350年以上、時代が進んでいて、当時のイギリスより、はるかに近未来的な設備に居心地がよく退院してくれないのだ。
カピタンの一行は、京の宿屋へそれぞれ泊ってもらったのだが、酒も食事も裏口診療所のほうが、すべてにおいて勝る。
近習の将校や貴族連中は、なんだかんだと理由を付けて、裏口診療所に来たがり酒盛りを始める。
ウチの門弟たちは、見事なクイーンズイングリッシュを操ることから、話し相手にちょうどいいらしい。
将校や貴族は、門弟たちを将軍様以上に敬っている節があるほどだ。
一人の青年将校(貴族らしい)が、さよに一目ぼれした。
さよは、現代ヨーロッパへ連れて行っても、見劣りしないぐらいの美少女だ。クイーンズイングリッシュを巧みに使いこなし、芸事に通じているから所作も美しい。おまけに最近は、妻のせいで常にロングドレスを纏っている。髪もタカラジェンヌ風に三つ編みにして流したり、結い上げたり、編み込みにしたりと美しい。
しかし、さよはダメだ。さよは、ウチの娘だからだ。江戸時代の他の女なら、いくらでもちょっかいを出しても構わないが、さよだけはダメだ。
凛太朗は、カピタンに猛然と抗議をした。
「Dr.ido 本人同士が好き合っているのだから反対するのは、おかしい。」
え?さよは、あの外人が好きなのか?寝耳に水だ。早速、妻を通してさよの気持ちを確かめた。
どうやらカピタンの言うことは、本当らしい。
それでもだ、それでもさよを手放すのは、心苦しい。
若い娘が家の中にいるのと、いないのとは大違いだ。以前は、いないのが当たり前だったが殺風景だと思わなかった。今は違う。さよがいない家は、砂漠よりひどいだろう。
「お父さん、もう諦めなさい。さよは、かぐや姫だったのよ。」
見かねたカピタンが提案してきた。
さよをカピタンの養女にして、さよの希望を聞き、イギリスの大学へ進学させ、青年将校のもとへ嫁がせる、というものだった。
さよの実父、家老と話し合いがもたれ、その線で決まった。
さよは、カピタン一行が、江戸へ行き戻ってくるまで、裏口診療所で暮らすことになった。
それまでに嫁入り道具をそろえなきゃ、と妻は張り切っていた。
カピタンは、4年に1度、江戸へ参上し将軍様に目通りし、歌を唄ったり、踊りを披露したりして、引き続きの通商を約束させる。
今年は、その季節となった。ちょうどカピタン一行が京へ立ち寄った時、清水寺で発熱と腹痛を起こし、倒れた。
カピタンは、すぐさま裏口診療所へ運ばれ、そのまま入院した。
凛太朗は、診察したが、長旅で疲れが出ただけであったが、なかなか退院してくれない。350年以上、時代が進んでいて、当時のイギリスより、はるかに近未来的な設備に居心地がよく退院してくれないのだ。
カピタンの一行は、京の宿屋へそれぞれ泊ってもらったのだが、酒も食事も裏口診療所のほうが、すべてにおいて勝る。
近習の将校や貴族連中は、なんだかんだと理由を付けて、裏口診療所に来たがり酒盛りを始める。
ウチの門弟たちは、見事なクイーンズイングリッシュを操ることから、話し相手にちょうどいいらしい。
将校や貴族は、門弟たちを将軍様以上に敬っている節があるほどだ。
一人の青年将校(貴族らしい)が、さよに一目ぼれした。
さよは、現代ヨーロッパへ連れて行っても、見劣りしないぐらいの美少女だ。クイーンズイングリッシュを巧みに使いこなし、芸事に通じているから所作も美しい。おまけに最近は、妻のせいで常にロングドレスを纏っている。髪もタカラジェンヌ風に三つ編みにして流したり、結い上げたり、編み込みにしたりと美しい。
しかし、さよはダメだ。さよは、ウチの娘だからだ。江戸時代の他の女なら、いくらでもちょっかいを出しても構わないが、さよだけはダメだ。
凛太朗は、カピタンに猛然と抗議をした。
「Dr.ido 本人同士が好き合っているのだから反対するのは、おかしい。」
え?さよは、あの外人が好きなのか?寝耳に水だ。早速、妻を通してさよの気持ちを確かめた。
どうやらカピタンの言うことは、本当らしい。
それでもだ、それでもさよを手放すのは、心苦しい。
若い娘が家の中にいるのと、いないのとは大違いだ。以前は、いないのが当たり前だったが殺風景だと思わなかった。今は違う。さよがいない家は、砂漠よりひどいだろう。
「お父さん、もう諦めなさい。さよは、かぐや姫だったのよ。」
見かねたカピタンが提案してきた。
さよをカピタンの養女にして、さよの希望を聞き、イギリスの大学へ進学させ、青年将校のもとへ嫁がせる、というものだった。
さよの実父、家老と話し合いがもたれ、その線で決まった。
さよは、カピタン一行が、江戸へ行き戻ってくるまで、裏口診療所で暮らすことになった。
それまでに嫁入り道具をそろえなきゃ、と妻は張り切っていた。
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