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67衝撃
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「救国の聖女様」という乙女ゲームでは、オリヴィアは、学園を追い出された後、国外追放になりマルベールで魔物を退治して、マルベール国の王子様と結婚するという筋書き。
「アンダルシアに咲く赤いバラ」のゲームでは、主人公のオリヴィアは、聖女様に覚醒し、バーモンド殿下と結婚して幸せになるという筋書き。
どちらのゲームも、オリヴィアが聖女様に覚醒するところは同じ。悪役令嬢がマーガレット・マリンストーンであることも同じ。
悪役令嬢のマーガレットは、オリヴィアを虐めた咎で、国外追放になった後の話は描かれていない。
ニッポンの少女たちは、どうしてこんな単純なストーリーに夢中になるのかわからない。
スリリングでもなければ、セクシーでもない主人公の相手役の王子はどれもイケメンだが、ただ顔がいいだけのバカにしか見えない頼りない男だというのに。
マリリンが「救国の聖女様」だというから、先入観を持っていたが、二つのゲームをやり遂げてみると、案外、「アンダルシアに咲く赤いバラ」のほうが近い設定かもしれない。
そして天寿を全うしたとしても、マリリンと同じようにもう一つの乙女ゲームの中にまた転生してしまう可能性がある。
だからこそ、乙女ゲームを手に入れ、このスパイラルから脱却して、せめてニッポン人として転生したい。
それには、今どうするべきか?
今すぐゲームオーバーにする必要はないだろう。マーガレットが悪役令嬢だということはわかる。だから悪役令嬢が公爵令嬢と言う強い立場で、先手を打たれていたのだろう。
あのレイプの夜、あのままニッポンに留まり、神野太郎の愛人として生きる手もあっただろうが、あえてせず、本当のことを打ち明け協力者に仕立て上げた。
この世界は魔法が使えることは便利だが、女として生きていくには、甚だ不便である。かといって、男ならどうかと言えば、これも家柄や身分で、雲泥の差がある。剣と学問の両方ができなければ、なかなか身が立てられない。
考え事をしていると、何やらモヤモヤした気分になってくる。こういう時は、考えることをやめ、オンナに……いや、オトコに身を委ねる。一時の快楽が頭脳をスッキリさせる場合もある。
歴史的に見て、英雄は好色なのもそのせいかもしれない。
鏡の中から、研究室の中を覗くと、何やらいろいろな人の出入りがある。今日は、太郎は忙しいのか?それとも何かあったのだろうか?
オリヴィアは自分に隠蔽魔法をかけ、鏡の外へ出てみると、どう見ても引っ越し作業をしているような様子。
前世、研究室を出ていくことはなかった。それなのに、引っ越し作業をしている。
これは、一体どういうことだ。
それに太郎の姿も見当たらない。
作業をしているうちの一人が
「この姿見、どうしますかね?」
「牧野先生は、そういうのお好きだから、そのままにしておこう。」
なに?牧野先生と言えば、同期のライバルではないか?俺と教授選挙を争った仲だというのに、さてはあ奴、何か仕出かして、研究職に飛ばされでもしたのだろうか?
「おお!ここか、新しい研究室というのは。なんでもメリケン大学から美人の研究生が来ているという噂があるぞ。まだ、彼女は来ていないようだな。」
え?わたくしのこと?あれは、夢ではなかったのか?だったら、白衣を着て、このまま牧野に近づくことも可能だろう。
「しかし、神野の嫁も大胆なことをしたもんだな。あいつが女にモテるわけなかろうに、嫉妬して神野を刺し殺してしまったのだからな。」
ええ⁉ ウッソぉ~!
前世の死因を思い出せないのは、妻に刺殺されたからなのか?
今世の神野太郎とは、オリヴィアとそう言う関係だったから、女の勘と言う奴で、刺殺されても仕方がないが、前世の俺は神に誓って、潔白だった。女房以外の女と浮気など一度もない。
「アンダルシアに咲く赤いバラ」のゲームでは、主人公のオリヴィアは、聖女様に覚醒し、バーモンド殿下と結婚して幸せになるという筋書き。
どちらのゲームも、オリヴィアが聖女様に覚醒するところは同じ。悪役令嬢がマーガレット・マリンストーンであることも同じ。
悪役令嬢のマーガレットは、オリヴィアを虐めた咎で、国外追放になった後の話は描かれていない。
ニッポンの少女たちは、どうしてこんな単純なストーリーに夢中になるのかわからない。
スリリングでもなければ、セクシーでもない主人公の相手役の王子はどれもイケメンだが、ただ顔がいいだけのバカにしか見えない頼りない男だというのに。
マリリンが「救国の聖女様」だというから、先入観を持っていたが、二つのゲームをやり遂げてみると、案外、「アンダルシアに咲く赤いバラ」のほうが近い設定かもしれない。
そして天寿を全うしたとしても、マリリンと同じようにもう一つの乙女ゲームの中にまた転生してしまう可能性がある。
だからこそ、乙女ゲームを手に入れ、このスパイラルから脱却して、せめてニッポン人として転生したい。
それには、今どうするべきか?
今すぐゲームオーバーにする必要はないだろう。マーガレットが悪役令嬢だということはわかる。だから悪役令嬢が公爵令嬢と言う強い立場で、先手を打たれていたのだろう。
あのレイプの夜、あのままニッポンに留まり、神野太郎の愛人として生きる手もあっただろうが、あえてせず、本当のことを打ち明け協力者に仕立て上げた。
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考え事をしていると、何やらモヤモヤした気分になってくる。こういう時は、考えることをやめ、オンナに……いや、オトコに身を委ねる。一時の快楽が頭脳をスッキリさせる場合もある。
歴史的に見て、英雄は好色なのもそのせいかもしれない。
鏡の中から、研究室の中を覗くと、何やらいろいろな人の出入りがある。今日は、太郎は忙しいのか?それとも何かあったのだろうか?
オリヴィアは自分に隠蔽魔法をかけ、鏡の外へ出てみると、どう見ても引っ越し作業をしているような様子。
前世、研究室を出ていくことはなかった。それなのに、引っ越し作業をしている。
これは、一体どういうことだ。
それに太郎の姿も見当たらない。
作業をしているうちの一人が
「この姿見、どうしますかね?」
「牧野先生は、そういうのお好きだから、そのままにしておこう。」
なに?牧野先生と言えば、同期のライバルではないか?俺と教授選挙を争った仲だというのに、さてはあ奴、何か仕出かして、研究職に飛ばされでもしたのだろうか?
「おお!ここか、新しい研究室というのは。なんでもメリケン大学から美人の研究生が来ているという噂があるぞ。まだ、彼女は来ていないようだな。」
え?わたくしのこと?あれは、夢ではなかったのか?だったら、白衣を着て、このまま牧野に近づくことも可能だろう。
「しかし、神野の嫁も大胆なことをしたもんだな。あいつが女にモテるわけなかろうに、嫉妬して神野を刺し殺してしまったのだからな。」
ええ⁉ ウッソぉ~!
前世の死因を思い出せないのは、妻に刺殺されたからなのか?
今世の神野太郎とは、オリヴィアとそう言う関係だったから、女の勘と言う奴で、刺殺されても仕方がないが、前世の俺は神に誓って、潔白だった。女房以外の女と浮気など一度もない。
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