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43ゲート

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 身重の象を1頭、連れて帰ることにしたら、他の奥さんたちも黙ってはいない。

 「ズルイ!」と言っているかどうかは、わからないけど、自分たちも行きたそうにしている。アデセルは南国だから、別にいいか?でも生態系が替わることは困る。どんな影響があるか計り知れないから。

 オリヴィアが悩んでいることも、どこ吹く風でジャングルの中から奥さんたちが子供を連れて、ゾロゾロやってくる。

 げ!本気か!

 ライオンちゃんから説得してもらおうと、ライオンちゃんのほうを見ると、まんざらでもなさそうな顔をしている。

 領地の森の中なら、住める?うーん、どうかなぁ。

 巨象でも潜れるぐらいのゲートを作って、そのゲートに魔力を流し、アデセルの領地と結ぶことにしようか?

 それなら、まず奥さんたちのストレスも緩和されるだろう。身重の象さんにも負担にならないはず。

 どこかに、いいゲートはないかと探していると、ふと辺境領のゲートを思いつく。辺境領の入り口のゲートと辺境伯邸の入り口のゲート、2つが必要だからちょうどいい。

 オリヴィアは思いついたら、即実行の性格で、すぐさま辺境領へ飛ぶと入り口付近に王家の兵士がいたが、無視を決め込まれている。だって、ムームーを着ている聖女様なんて、ありえないでしょ?普通。

 でも急にもたれていた門扉がなくなったから、怪訝な顔をしてこちらを見ている。

 だから、アイテムカバンに入れるだけ入れたら、今度は辺境伯邸があったところまで引き返し、またゲートを引き剥がしたのだ。あとは、オアシスに向かって、飛び、もう片方のゲートは、アデセルの森の近くまで行って、降ろす。

 最初は、ライオンちゃんに通ってもらう。その後を象さんが通り、その後は普通の奥さんたちがぞろぞろと後に続く。そして、最後は、オリヴィアで、アデセルでの様子をうかがう。

 気候が温暖なせいか、奥さんたちは気に入っているような感じがする。

 森の入り口で、奥さんたちを見送ってから、再び侯爵邸のほうへ向かうと、待ち構えていたお父様やガブリエルに詰め寄られてしまう。

 「遅かったではないか?アンダルシア王家に見つからなかったか?」

 「たぶん、見つかったと思うけど、相手がシカトしていたから、こっちからわざわざ言うのも変だしね。そのまま門扉をオアシスと森の入り口まで、運んだのよ。」

 「スプーンよりも重いものを持ったことがないお嬢様が、門扉などと重いものを一人で持たれたのでございますか?おいたわしや。」

 「このアイテムカバンがあるから、重さは感じないのよ。」

 「それにしても、そんなお仕事をお嬢様一人に押し付けて、あの兵士どもはいったい何をしているものなのか?あれではまるで給料ドロボーではないのか?」

 「ガブリエル、それは言い過ぎですわよ。」

 「はい。申し訳ございません。ですが、今後は、力仕事をやめてくださいませ。お嬢様には、私たち使用人がおります。またスカイダウン家にも、立派な護衛騎士がおりますゆえに、お嬢様に力仕事などもってのほかでございますれば……。」

 「わかったわよ。ありがとう。」

 長い説教になりそうだったので、途中で遮る。

 今日は、なんだか疲れてしまったので、早めに自室にこもりホットミルクを飲んで眠ることにしたのだ。

 温かい国から、そこそこ暑い国へ行き、さらに寒いアンダルシア王都と辺境の寒冷地へ行き、それからオアシス、アデセルの森と目まぐるしく動いた。

 明日は、アデセルの王都へ行き、司祭様に会って、今日のことを報告しようと思う。

 「絨毯1000枚完売しました。」とでも、報告しようかしらね。
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