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ツバサが頭を抱えているので、僕は次の動画を再生させた。動画が再生されると、再びアーネルトの動画が流れた。彼の表情が今までの時と比べてどこか喜んでいるように見えた。
ムッツーとタッツーを薬でうまく眠らせた事に嬉々としていた。その眠らせた薬が二度と目が覚めない程強い薬であることを得意げに説明し、身体の機能は支障をきたすものではないから安心して欲しいとも言っていた。さらに実験体はまだ二人いるので、もしうまく動作しなかったとしても問題ないと言っていた。このムッツーとタッツーは体格から人体作成胚用としてまずは活用すると言うのだった。
「人体作成胚用? いや、それにまだ他に二人いる?」
聞きなれない言葉とムッツーとタッツー以外に囚われている人がいる事を知った。それと同時に睡眠薬を投与された事から胸のあたりに言い寄れぬ苦しさがあった。それが不安から来るものなのか恐怖から来るものなのかわからなかった。
動画ではムッツーとタッツーが眠らされたあとの場面に切り替わった。アーネルトやアンネイと同じ服を来た人たちが即座に持ち、移動ベッドの上に乗せられた。移動しながらアーネルトはこれから実験する内容を喋りながら、二人を映していた。彼女たちは職員が持つ刃物で服を切り裂かれ無理やり脱がされ、裸にさせられていた。
「え、どう……して?」
ハルミンの声が後ろから聞こえた。そのどうしてという問いは何に対してのどうしてなのか、なぜ服を無理やり脱がすのか、それともその一連の行為の事についてのどうしてなのか、僕にはわからなかった。ただ、胸糞だけが悪くなっていった。
そのあと真っ白い部屋に様々な機器と円筒のケースがある場所にムッツーとタッツーが移動させられると、二人は、別の白いベッドのような場所に寝かされ、丸坊主にされた後に機械が頭を切り開かれていった。彼女たちの髪の毛は無残に剃られていった。それが頭を切り開くためだったと知った。
あまりにもショッキングな動画で、僕は思わずたじろいでしまった。
「ひぐっ」
「い、いや……」
ツバサとマナチの小さな悲鳴が聞こえた。
ほとばしる血潮があたりを鮮血で染めるものの、周りは誰も気にせず、露出した脳に機械が針とチューブがついたものを刺していった。刺されるたびに、身体がビクッビクッと動いていた。全て刺し終えると機械は脚を切断し、円状のケースに収納され、下半身は円状ケースの下部にある機械と繋がれていった。
機械と繋がれる際にアンエイが不快極まる言葉を言うのだった。
「処女喪失が機械になっちゃったけれど、まあ、これからたくさん子どもを産むし、どうでもいいか」
ムッツーの方を見ながら笑みを浮かべるアンネイだった。
「あ、こっちの子もキレイな状態だったのね、ふふっ」
タッツーの方を見て、アンネイは笑っていた。
「これで僕らの種族を増やす事が出来る。今日はとても嬉しい日だ。アッハッハッハ」
アーネルトの笑い声の後に、周りの職員も笑い、おめでとうと言い合っていた。
僕は動画を閉じた。
僕たちは全員、怒りに震えていたと思う。
ツバサとジュリは泣きながら、許さないとぶつぶつと言っていた。
マナチは唸りながら、泣き、しゃがみ込んでいた。そして拳を地面に叩きつけていた。
ハルミンはムッツーとタッツーを乾いた目で見ていた。
僕は呼吸が荒くなっているのを抑えようと必死になっていた。
アーネルトが前に言っていた、不老だと言っていた事をふいに思い出す。この街に子どもと老人がいないこと、ゾンビで人が減ったこと、どうやって自分たちを増やすのか、性行為をすれば子どもが産まれるんじゃないのかと思っていた。だが、彼らは人の形をしているが人間なのか? 不老の人間は僕がいた世界にはいない。
「ツバサ、マナチ……僕たちがいた世界に不老の人間なんていなかったよな……」
「あた、当たり前じゃないですか、ううっ」
「いない、そんな人はいないッ」
僕がそんな当たり前の事を言うと二人は何か気づき、ムッツーとタッツーが入った円状ケースを見た。
「人体作成胚……二人は、つまり自分たちの種族を作る機械にされた、ってことか!!」
気づいていたら叫んでいた。前が見えない程、涙が溢れ、僕はその場で泣き崩れていた。思えば、子どもと老人がいないこと、どうやって彼らはゾンビで減った仲間を補うのか、同じ人の見た目をしているから、考えもしなかった。別の異世界から街ごと転移したとして、どうして自分たちと同じ人間だと思ってしまっていたのだろうかと悔んだ。
僕は異世界のことをまるで何も知らない。
「ヨーちゃん、ヨーちゃんっ!」
気が付いたら、マナチが僕のことを抱きしめていた。
「わ、私も、わからなかった……知らなかった、こんな相手なんて知らない」
ツバサも泣きながらマナチと同じように僕を抱きしめていた。その横にジュリもいた。
「こんな生物知らない、私もアニメや本や映画とか見たことないよ、無理だよこんなのっ」
「ムッツー、タッツー……大丈夫だよ、って言ってよ。私、もっとがんばるからさ…ムッツー、タッツー……ねぇ……ねぇ、ってばさ」
僕は涙で滲んだ視界に映ったハルミンがムッツーとタッツーが入った円状ケースを見ながら自分を抱きしめているのを見て胸が苦しくて張り裂けそうになった。ムッツーとタッツーの方を見て、僕はただ謝る事しかできなかった。
「ごめん……ごめ、ごめん……」
ムッツーとタッツーを薬でうまく眠らせた事に嬉々としていた。その眠らせた薬が二度と目が覚めない程強い薬であることを得意げに説明し、身体の機能は支障をきたすものではないから安心して欲しいとも言っていた。さらに実験体はまだ二人いるので、もしうまく動作しなかったとしても問題ないと言っていた。このムッツーとタッツーは体格から人体作成胚用としてまずは活用すると言うのだった。
「人体作成胚用? いや、それにまだ他に二人いる?」
聞きなれない言葉とムッツーとタッツー以外に囚われている人がいる事を知った。それと同時に睡眠薬を投与された事から胸のあたりに言い寄れぬ苦しさがあった。それが不安から来るものなのか恐怖から来るものなのかわからなかった。
動画ではムッツーとタッツーが眠らされたあとの場面に切り替わった。アーネルトやアンネイと同じ服を来た人たちが即座に持ち、移動ベッドの上に乗せられた。移動しながらアーネルトはこれから実験する内容を喋りながら、二人を映していた。彼女たちは職員が持つ刃物で服を切り裂かれ無理やり脱がされ、裸にさせられていた。
「え、どう……して?」
ハルミンの声が後ろから聞こえた。そのどうしてという問いは何に対してのどうしてなのか、なぜ服を無理やり脱がすのか、それともその一連の行為の事についてのどうしてなのか、僕にはわからなかった。ただ、胸糞だけが悪くなっていった。
そのあと真っ白い部屋に様々な機器と円筒のケースがある場所にムッツーとタッツーが移動させられると、二人は、別の白いベッドのような場所に寝かされ、丸坊主にされた後に機械が頭を切り開かれていった。彼女たちの髪の毛は無残に剃られていった。それが頭を切り開くためだったと知った。
あまりにもショッキングな動画で、僕は思わずたじろいでしまった。
「ひぐっ」
「い、いや……」
ツバサとマナチの小さな悲鳴が聞こえた。
ほとばしる血潮があたりを鮮血で染めるものの、周りは誰も気にせず、露出した脳に機械が針とチューブがついたものを刺していった。刺されるたびに、身体がビクッビクッと動いていた。全て刺し終えると機械は脚を切断し、円状のケースに収納され、下半身は円状ケースの下部にある機械と繋がれていった。
機械と繋がれる際にアンエイが不快極まる言葉を言うのだった。
「処女喪失が機械になっちゃったけれど、まあ、これからたくさん子どもを産むし、どうでもいいか」
ムッツーの方を見ながら笑みを浮かべるアンネイだった。
「あ、こっちの子もキレイな状態だったのね、ふふっ」
タッツーの方を見て、アンネイは笑っていた。
「これで僕らの種族を増やす事が出来る。今日はとても嬉しい日だ。アッハッハッハ」
アーネルトの笑い声の後に、周りの職員も笑い、おめでとうと言い合っていた。
僕は動画を閉じた。
僕たちは全員、怒りに震えていたと思う。
ツバサとジュリは泣きながら、許さないとぶつぶつと言っていた。
マナチは唸りながら、泣き、しゃがみ込んでいた。そして拳を地面に叩きつけていた。
ハルミンはムッツーとタッツーを乾いた目で見ていた。
僕は呼吸が荒くなっているのを抑えようと必死になっていた。
アーネルトが前に言っていた、不老だと言っていた事をふいに思い出す。この街に子どもと老人がいないこと、ゾンビで人が減ったこと、どうやって自分たちを増やすのか、性行為をすれば子どもが産まれるんじゃないのかと思っていた。だが、彼らは人の形をしているが人間なのか? 不老の人間は僕がいた世界にはいない。
「ツバサ、マナチ……僕たちがいた世界に不老の人間なんていなかったよな……」
「あた、当たり前じゃないですか、ううっ」
「いない、そんな人はいないッ」
僕がそんな当たり前の事を言うと二人は何か気づき、ムッツーとタッツーが入った円状ケースを見た。
「人体作成胚……二人は、つまり自分たちの種族を作る機械にされた、ってことか!!」
気づいていたら叫んでいた。前が見えない程、涙が溢れ、僕はその場で泣き崩れていた。思えば、子どもと老人がいないこと、どうやって彼らはゾンビで減った仲間を補うのか、同じ人の見た目をしているから、考えもしなかった。別の異世界から街ごと転移したとして、どうして自分たちと同じ人間だと思ってしまっていたのだろうかと悔んだ。
僕は異世界のことをまるで何も知らない。
「ヨーちゃん、ヨーちゃんっ!」
気が付いたら、マナチが僕のことを抱きしめていた。
「わ、私も、わからなかった……知らなかった、こんな相手なんて知らない」
ツバサも泣きながらマナチと同じように僕を抱きしめていた。その横にジュリもいた。
「こんな生物知らない、私もアニメや本や映画とか見たことないよ、無理だよこんなのっ」
「ムッツー、タッツー……大丈夫だよ、って言ってよ。私、もっとがんばるからさ…ムッツー、タッツー……ねぇ……ねぇ、ってばさ」
僕は涙で滲んだ視界に映ったハルミンがムッツーとタッツーが入った円状ケースを見ながら自分を抱きしめているのを見て胸が苦しくて張り裂けそうになった。ムッツーとタッツーの方を見て、僕はただ謝る事しかできなかった。
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