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遠くに見える新たな街は廃墟の街と比べて、マシに見えた。だけど、僕たちにとってあの街が安全かどうかは生存確率が教えてくれた。一歩近づくにつれて、100%だった生存確率が1%刻みで下がっていった。つまり、安全ではないということだ。
「これからどうするか、話をしよう。あの街を突っ切って光りの方に向かうか、迂回して光りの方に向かうか」
「迂回した方がよくないか?」
僕としては、あの街に寄る理由がないと思っていた。衣食住が不思議なアーミーナイフによって、恩恵がある以上、街で何をするんだという考えだった。
「この世界が何なのか、手がかりは得られると思います」
ツバサは物怖じせず、思ったことを言った。廃墟の街であったベェスチティの後、ツバサとジュリはあまり物怖じをしなくなった。
「私は知りたい。この世界が何なのか、手がかりがわかれば、いいかな」
片目を失ったハルミンは、僕の方を見て言った。廃墟の街から気が付くと僕のことをよく見ている気がする。そして、目が合うと逸らされる。たぶん、やさしくしなかったから根に持ってるんだろう。すまないな、マナチ一筋なんだ。
「私は、迂回できるなら迂回したい」
マナチが言うとその発言が気になったのかタッツーが聞いた。
「できるなら、というのはどういう意味なのかしら?」
「え、いやその……あの街に入るなら、防具を着こまないといけないから、嫌だなぁと思っただけ」
タッツーがその答えを聞いて、キョトンとする。マナチはあの厚ぼったい装備は嫌いだって言っていたっけ、たしかかわいくないから。
「あ、そ、そうね。そういうことね、でもほら、あの街ならもしかしたら服があるかもしれないわ」
「だったら、行ってもいいけれど……でもボロボロなものが置いてそう」
マナチはあまり期待していないのか、街へ行くのに乗る気にはならなかった。
「ジュリはどう思っているんだ? 私はちなみに迂回したいと思っている」
ムッツーがジュリに問いかけると、ジュリは遠くに見える街をジーッと見た後に答えた。
「もしも、自分たちの住んでいる世界よりも遥か未来だったら、異世界だったら、どちらにしても私たちがあの街で誰かに出会った場合あまり自分たちにとっていい事にはならなさそうと思ったから、迂回したい」
「それなら私も迂回したいわね」
タッツーはジュリが言った自分たちがこの世界にとって遺物である以上、基本的に歓迎されないと思っているという視点がささっていた。
「そうだな、ベェスチティのような生物だった場合、好意的に受け入れられるつもりだったが、自分たちの価値観からする吸収というか洗脳だったりしたからな……」
「いったん、迂回しながら街を遠目に見つつ、様子を見るとか?」
僕が迂回する方向にもっていこうとした。遠目に見る限り、今までいた廃墟の街と比べて高層ビルがあり、明らかにちゃんとした街に見えた。砂利の砂漠、瓦礫の山、廃墟の街と毛並みが違う事から何かよくわからない気持ち悪さがあった。
「様子を見るにしても、行くか行かないかどうやって決める?」
「む、たしかに」
ムッツーから言われ、行かないようにしていたので言葉に詰まってしまった。
「それなら生存確率が高い方を選んで行動するのはどうでしょうか?」
ツバサが言うと周りが頷き、方針が決まった感じがした。
「街に入る事になった場合、そこで誰かと接触した際に私たちの事はどう説明する?」
僕はあらかじめこういった事を決めておいた方がいいと思った。さっきのジュリの言っていた事じゃないが、僕たちが異質な存在だった場合、ペラペラと喋った先にあるのは利用される可能性が高いと思った。元居た世界でのアーミーナイフがあったら、悪さし放題だしね。
「アカネみたいにいきなり接触された時に、対応決めておかないとまた気が付いたら、ってことはあり得るからな」
「可能な限り濁して、言わない。って事にしましょう」
ムッツーがアカネの出来事を言ったあとにタッツーが方針を言い、周りがそれで行こうという事になった。
+
各自、準備をし迂回する方向で歩き始めたが、すぐさま生存確率がだだ下がっていき、街へ向かう事になった。
「なあ、ツバサ。これってなんでだと思う?」
「うーん、もしかしたらタイムリミットみたいな制限があって、迂回すると帰る道が閉ざされてしまうから最短で進むしかない、という事かも?」
「あるいは、迂回する方向に地下に住まう化物がいて気づかぬ間に襲われてしまうとか……」
ジュリが手をワキワキさせながら冗談を言った」
「それはあり得るかもしれない」
ツバサは冗談とは思わず、答えた。
「ほら、映画とかで足音や音に反応して地面から襲ってくる化物がいるじゃない? ベェスチティのような化物がいたんだから、いない方がおかしいわ」
「うえぇ、そう言われると嫌だなぁ」
「となるとやはり街へ目指すのが無難かもしれないか」
ツバサとジュリと話をしていて、街にどんなのが待ち受けているのか、話ながら歩き向かった。
「これからどうするか、話をしよう。あの街を突っ切って光りの方に向かうか、迂回して光りの方に向かうか」
「迂回した方がよくないか?」
僕としては、あの街に寄る理由がないと思っていた。衣食住が不思議なアーミーナイフによって、恩恵がある以上、街で何をするんだという考えだった。
「この世界が何なのか、手がかりは得られると思います」
ツバサは物怖じせず、思ったことを言った。廃墟の街であったベェスチティの後、ツバサとジュリはあまり物怖じをしなくなった。
「私は知りたい。この世界が何なのか、手がかりがわかれば、いいかな」
片目を失ったハルミンは、僕の方を見て言った。廃墟の街から気が付くと僕のことをよく見ている気がする。そして、目が合うと逸らされる。たぶん、やさしくしなかったから根に持ってるんだろう。すまないな、マナチ一筋なんだ。
「私は、迂回できるなら迂回したい」
マナチが言うとその発言が気になったのかタッツーが聞いた。
「できるなら、というのはどういう意味なのかしら?」
「え、いやその……あの街に入るなら、防具を着こまないといけないから、嫌だなぁと思っただけ」
タッツーがその答えを聞いて、キョトンとする。マナチはあの厚ぼったい装備は嫌いだって言っていたっけ、たしかかわいくないから。
「あ、そ、そうね。そういうことね、でもほら、あの街ならもしかしたら服があるかもしれないわ」
「だったら、行ってもいいけれど……でもボロボロなものが置いてそう」
マナチはあまり期待していないのか、街へ行くのに乗る気にはならなかった。
「ジュリはどう思っているんだ? 私はちなみに迂回したいと思っている」
ムッツーがジュリに問いかけると、ジュリは遠くに見える街をジーッと見た後に答えた。
「もしも、自分たちの住んでいる世界よりも遥か未来だったら、異世界だったら、どちらにしても私たちがあの街で誰かに出会った場合あまり自分たちにとっていい事にはならなさそうと思ったから、迂回したい」
「それなら私も迂回したいわね」
タッツーはジュリが言った自分たちがこの世界にとって遺物である以上、基本的に歓迎されないと思っているという視点がささっていた。
「そうだな、ベェスチティのような生物だった場合、好意的に受け入れられるつもりだったが、自分たちの価値観からする吸収というか洗脳だったりしたからな……」
「いったん、迂回しながら街を遠目に見つつ、様子を見るとか?」
僕が迂回する方向にもっていこうとした。遠目に見る限り、今までいた廃墟の街と比べて高層ビルがあり、明らかにちゃんとした街に見えた。砂利の砂漠、瓦礫の山、廃墟の街と毛並みが違う事から何かよくわからない気持ち悪さがあった。
「様子を見るにしても、行くか行かないかどうやって決める?」
「む、たしかに」
ムッツーから言われ、行かないようにしていたので言葉に詰まってしまった。
「それなら生存確率が高い方を選んで行動するのはどうでしょうか?」
ツバサが言うと周りが頷き、方針が決まった感じがした。
「街に入る事になった場合、そこで誰かと接触した際に私たちの事はどう説明する?」
僕はあらかじめこういった事を決めておいた方がいいと思った。さっきのジュリの言っていた事じゃないが、僕たちが異質な存在だった場合、ペラペラと喋った先にあるのは利用される可能性が高いと思った。元居た世界でのアーミーナイフがあったら、悪さし放題だしね。
「アカネみたいにいきなり接触された時に、対応決めておかないとまた気が付いたら、ってことはあり得るからな」
「可能な限り濁して、言わない。って事にしましょう」
ムッツーがアカネの出来事を言ったあとにタッツーが方針を言い、周りがそれで行こうという事になった。
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各自、準備をし迂回する方向で歩き始めたが、すぐさま生存確率がだだ下がっていき、街へ向かう事になった。
「なあ、ツバサ。これってなんでだと思う?」
「うーん、もしかしたらタイムリミットみたいな制限があって、迂回すると帰る道が閉ざされてしまうから最短で進むしかない、という事かも?」
「あるいは、迂回する方向に地下に住まう化物がいて気づかぬ間に襲われてしまうとか……」
ジュリが手をワキワキさせながら冗談を言った」
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「ほら、映画とかで足音や音に反応して地面から襲ってくる化物がいるじゃない? ベェスチティのような化物がいたんだから、いない方がおかしいわ」
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