236 / 270
*婚約初夜2
しおりを挟む熱い舌の擦れ合う感触。上顎を舌先で擽られ、風真も真似して舌を動かした。
アールの吐息が聞こえる。気持ちいいのかなと思うと、もっと気持ちよくしたくて。
「ぁ……」
だがそこで唇が離される。名残惜しげに追って差し出した舌を、アールが小さく啄んだ。
押し倒され、バスローブの紐を解かれる。アールが息を呑む気配。酸素の足りない頭で視線を下に向ければ、顎を掴まれ、またキスをされた。
「んっ、ん……きもち、ぃ……」
とろとろにとろかされるキス。全身から力が抜ける。甘い桃の香りがして、ぬるりとしたものが後孔に触れた。
「ふ……ぁ、ぅ」
ゆっくりと埋め込まれていく指。何度か抜き挿ししたそれはすぐに二本に増え、ぐるりとナカを掻き混ぜられた。
「うぁっ……、やっ、それだめっ」
手を伸ばし、アールの腕を掴む。だが動きは止まらず、イヤイヤと頭を振った。
掻き回す度に指先が前立腺を掠める。溢れるほどに垂らされた液体が泡立ち、淫猥な音を立て、聴覚まで犯していく。
アールの綺麗な指が、あんなところに入っている背徳感。駄目だと訴えると指を増やされ、腹の中を圧迫された。
逃げを打つ腰を抱き寄せられ、逃げる事を許されない。それなのに、優しい動きでナカをぐちゃぐちゃにされると、……たまらない。
「ひぅっ、あっ、んんっ」
ぎゅうっとアールの腕を掴み、喘ぐ。
体の中まで暴かれ、支配される感覚がたまらない。傷付けようとすれば出来る状況で、こんなにも優しく触れてくれる。
愛されている。
こんなにも懸命に、理性を繋ぎ止めて……。
「あっ……アールっ、もう、挿れてっ……」
こんなにも愛してくれる人を、愛したい。
繋がりたい。
ひとつに、なりたい。
「っ……」
グッと奥歯を噛みしめ、アールが体を起こす。離れる体を、風真は両手で引き寄せた。
「フウマっ……」
縋るように抱きつく風真の腕。
行かないで。寂しい。耳元で囁かれ、繋ぎ止めていた理性の糸がぷつりと切れた。
「ッ――……!!」
風真の望む通りに、一息に突き挿れる。
待ち望んでいたとばかりに甘く絡み付く内壁。何故、理性に拘っていたのか。不思議でたまらなくなる。愛しい人を悲しませる理性など、必要ないというのに。
「フウマ……」
名を呼び、ナカを擦ると、風真はふにゃりと嬉そうに笑った。
「アール、……大好き、だよ」
「私も、フウマを愛している」
抱き合い、唇を重ねる。
(俺の中、アールでいっぱいだ……)
愛しさと多幸感で涙が溢れ、ぎゅうっとアールに抱きついた。
「んあっ、ぁ」
緩く揺らされ、徐々に激しくなる抽挿。ぐちゃぐちゃと響く粘着質な音。
淫猥な音と、目の前で揺れる綺麗な金の髪。綺麗なアールの顔と……鋭い光を灯す、瞳。
「ぁ……ぁ、ッ――……!」
視線がぶつかり、体の奥から熱が込み上げる。下肢からは何も出ずに絶頂を迎え、きつく内壁を締め上げた。
「くっ……」
アールの呻く声に、内壁は嬉しそうにうねり、絡みつく。
(あ……。アール、感じてくれてる……)
ナカでびくりと自身が震え、風真はとろりと蕩けた笑みを見せる。もっと、もっと感じてほしい。気持ちいい顔をしてるアールを、もっと見たい。
「んっ……、ぁ、ひッ! ひゃ、あぁんッ」
もっと、と腰を揺らすと、ギリギリまで引き抜いたソレで奥を穿たれた。
(おっきい声、出ちゃう……)
聞こえちゃうかな。溶ける思考の中で、ふと冷静に考える。
だが護衛は、扉の向かい側に移動していた。大声を出しても届かないかもしれない。もし聞こえても、きっと聞こえない位置まで移動してくれる。聞こえないふりを、してくれる。
(護衛さんにもお礼、しなきゃな)
冷静に考えられたのはそこまで。
ガツンと音が響きそうなほどに穿たれ、目の前に星が散った。腹の上に吐き出された熱いものが、体を揺さぶられる度にぽたぽたとシーツに落ちる。
「フウマ……、私の、フウマ」
吐息混じりの声。熱に掠れた声で名を呼ばれ、愛しさに胸が締めつけられた。
(俺の……俺の、婚約者……)
婚約したんだ。
そう考えた途端、ぶわっと体の奥から熱が溢れた。
「っぁ、な、なにっ」
全身が熱い。体内のアールが、肌に触れる手の感触が、吐息が、何倍にも感じる。
「からだっ、へんっ……」
感じ過ぎて、怖い。
怖いのに、内壁がうねり、きゅうきゅうと愛しげにアール自身を締め付けた。
「っ……」
「ひッ、うぁ、あぁッ」
小さく呻いたアールにきつく抱きしめられ、激しく腰を打ち付けられる。奥も浅いところも全て刺激され、途方もない快感が背筋を駆け上がる。
「イっちゃうっ……いくっ、イくぅッ……」
頭を振り、涙を零し快楽に喘ぐ。何度も達する感覚が襲い、粘度のない体液が胸まで濡らした。
体の奥に熱い飛沫が打ち付けられる。どくどくと脈打つ力強さに悦びを覚えたところで、ふっと目の前が真っ暗になった。
意識を飛ばしていたのは一瞬。体内から圧迫感が消えたところで意識は浮上した。
アールのそれが抜かれても、まるで甘く締めつけるように、ひく、と内壁が震える。その度に体が小さく跳ねた。
(きもちくて、びりびりする……)
「まだ達しているのか」
「ひっ……声、だめっ……」
「ふ……、可愛いな」
「ひゃぅッ、あ、ぁっ」
耳元で囁かれただけで体がビクビクと跳ねる。ナカがきゅうぅっと締まり、何も出さずに絶頂を迎えた。
「だめっ、まだイってるぅっ……」
めそ、と泣いてしまう。ずっと気持ちいいのが終わらない。
「私でそんなに感じて……いい子だ」
髪を撫でられる感触にすら反応してしまう。
「こんなに蕩けて、愛らしいな」
(どんな本で勉強したんだよ~っ)
あらぬところを触りながらその台詞、少しおじさんぽい、と思ってもそれはアールの教材の問題。
指の腹で撫で、つぷっと指先を埋めては抜き、感触を楽しむように指先で捏ねた。
それだけの刺激で、小さく達する感覚が終わらない。
(ずっとイってる……けど、もどかしいっ……)
「いっそひと思いに挿れてっ……」
「ああ。フウマの、望む通りに」
「ッ――!!」
質量のあるものに貫かれ、喉を反らせて喘いだ。
挿れられただけで潮を吹き散らし、ぎゅうぎゅうとナカを締め上げる。アールの背に爪を立て、ガクガクと震えた。
「フウマ、……私の子を孕め」
「ひ……ぁ、あ゛っ……」
「孕ませてやる」
譫言のように囁かれ、体の奥がきゅうっと甘く収縮する。
「ぁ……ら、め……りゃ、ぁ、あぁ……」
呂律は回らず、突かれる度に先端からはぴゅく、とさらさらの体液が吹き出す。
「あ……ぁ、あ……」
開きっぱなしの口から力ない嬌声が漏れ、ちらりと覗く赤い舌にアールが噛みついた。
体の中も、奥も、声も、舌も、全てアールに食べられていく。
(しあわせ……だ、な……)
ぜんぶ、アールのものになれる。
ずっと、一緒だ。
21
お気に入りに追加
840
あなたにおすすめの小説

【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

男子高校に入学したらハーレムでした!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
ゆっくり書いていきます。
毎日19時更新です。
よろしくお願い致します。
2022.04.28
お気に入り、栞ありがとうございます。
とても励みになります。
引き続き宜しくお願いします。
2022.05.01
近々番外編SSをあげます。
よければ覗いてみてください。
2022.05.10
お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。
精一杯書いていきます。
2022.05.15
閲覧、お気に入り、ありがとうございます。
読んでいただけてとても嬉しいです。
近々番外編をあげます。
良ければ覗いてみてください。
2022.05.28
今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。
次作も頑張って書きます。
よろしくおねがいします。


鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。

塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。
そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。

異世界転移して出会っためちゃくちゃ好きな男が全く手を出してこない
春野ひより
BL
前触れもなく異世界転移したトップアイドル、アオイ。
路頭に迷いかけたアオイを拾ったのは娼館のガメツイ女主人で、アオイは半ば強制的に男娼としてデビューすることに。しかし、絶対に抱かれたくないアオイは初めての客である美しい男に交渉する。
「――僕を見てほしいんです」
奇跡的に男に気に入られたアオイ。足繁く通う男。男はアオイに惜しみなく金を注ぎ、アオイは美しい男に恋をするが、男は「私は貴方のファンです」と言うばかりで頑としてアオイを抱かなくて――。
愛されるには理由が必要だと思っているし、理由が無くなれば捨てられて当然だと思っている受けが「それでも愛して欲しい」と手を伸ばせるようになるまでの話です。
金を使うことでしか愛を伝えられない不器用な人外×自分に付けられた値段でしか愛を実感できない不器用な青年
日本一のイケメン俳優に惚れられてしまったんですが
五右衛門
BL
月井晴彦は過去のトラウマから自信を失い、人と距離を置きながら高校生活を送っていた。ある日、帰り道で少女が複数の男子からナンパされている場面に遭遇する。普段は関わりを避ける晴彦だが、僅かばかりの勇気を出して、手が震えながらも必死に少女を助けた。
しかし、その少女は実は美男子俳優の白銀玲央だった。彼は日本一有名な高校生俳優で、高い演技力と美しすぎる美貌も相まって多くの賞を受賞している天才である。玲央は何かお礼がしたいと言うも、晴彦は動揺してしまい逃げるように立ち去る。しかし数日後、体育館に集まった全校生徒の前で現れたのは、あの時の青年だった──
Switch!〜僕とイケメンな地獄の裁判官様の溺愛異世界冒険記〜
天咲 琴葉
BL
幼い頃から精霊や神々の姿が見えていた悠理。
彼は美しい神社で、家族や仲間達に愛され、幸せに暮らしていた。
しかし、ある日、『燃える様な真紅の瞳』をした男と出逢ったことで、彼の運命は大きく変化していく。
幾重にも襲い掛かる運命の荒波の果て、悠理は一度解けてしまった絆を結び直せるのか――。
運命に翻弄されても尚、出逢い続ける――宿命と絆の和風ファンタジー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる